2018年 03月 09日
なくなった指輪 |
指輪がみつからない。
よりによって結婚指輪である。
2週間前の日曜日、わたしは外出前に青くなった。
そもそもアクセサリーは苦手なのだ。
指輪、ネックレス、イヤリング、ブレスレット、みな苦手。
唯一の例外は耳朶につけられる小さいピアスだ。
炊事や掃除の邪魔になるので結婚指輪も普段はしない。
でも外出時、特に夫の親戚に会う時には結婚指輪を忘れないようにしている。
アクセサリー用の小さな袋に入れて携帯し、
親戚の家に到着する前に指輪をはめ、
帰りの車に乗ったら直ちに外して袋にしまう。
家に帰ったらその小袋をいつもの場所にしまう。
そのいつもの場所に指輪を取りに行ったら、その小袋がなかった。
置く場所と言ったらここしかないのに、ない。
さてはバッグの中に入れっぱなしだったか?
服のポケットに入れてしまったのだろうか?
思いつく限りのところをさがしても、みつからない。
自分の行動パターンから考えると信じ難いことで、途方にくれた。
家族には言えなかった。
ママンはどうして結婚指輪をしていないの?と言う子どもたちである。
これじゃあママンが結婚していないみたいでいやだなぁ、と。
そのうえ指輪をなくしたなどと言えば、非難轟々大騒ぎだ。
夫はわたしの指輪嫌いは知っているから、それについては何も言わない。
でも、さすがに記念の品をなくしたと知ったらひどくがっかりするだろう。
それだけはなんとしても避けたい。
とにかく気づかれぬうちに見つけ出すしかない。
それから2週間というもの、わたしは家中を捜しまわった。
まさかね〜と思うような隅にも鼻をつっこみ、手を突っ込み、
クローゼットの夏服のポケットまで探った。
それでも出てこないので、知らぬうちに落としたかとすら思うようになった。
その指輪が、指輪を入れた小袋が、あっさりみつかった。
それも、何回も何回も確認したはずのいつもの引き出しにあった。
隠れるようにひっそりと、でもきちんとあった。
狐につままれたような気がした。
ワケガワカラナイ。
訳がわからないなりにすうっと胃のつかえがとれた。
やれ、よかった。
ふと、子どもの頃に読んだ本のことを思い出した。
捜しても捜しても出てこなかったものが急に見つかることがあったら、
魔女のいたずらと思うべし。
そのまま喜んで手に取ると変な呪いをもらってしまうことがあるので、
まじょ、まじょ、まじょ、と3回唱えてから手を触れよ、とあったっけ。
少女向けのなんちゃって豆知識みたいな本だったから、信憑性はまったくない。
でも、今回ばかりは試してみてもいいかも、と思ってしまった。
そのくらい不思議な、説明がつかない失せ物だった。
あぁもう、見つかってよかった。
胸撫で下ろして迎える週末である。
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by poirier_AAA
| 2018-03-09 20:00
| 日々の断片
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