2018年 02月 26日
人前で話す 〜 À voix haute |
子どもと一緒に映画館で見たかった映画がある。
でも、誘ったら「つまらなそうだからいや」と断られてしまった。
そのDVDが図書館にあったので、いそいそと借りてきた。
パリ郊外のサン=ドニ大学で毎年行われている弁論大会。
これに参加希望する学生たちが、大会前の6週間、特別に訓練を受ける。
その様子と大会当日の様子を追った、これはドキュメンタリー映画。
サン=ドニと言えばこれはもう移民の町だ。
「アメリ」のフランスを夢見る人たちがこれを観たら、
こんなのはフランスじゃない、と思うかもしれない。
そのくらい参加者の顔ぶれが多様なのである。
フランス人の姓名を持つ、肌の白い青年もいる。
ヴェールを被ったイスラム教の女性もいる。
ホームレスの経験のある黒人男性もいる。
子どもの頃に東欧から移民してきた女性もいる。
そんな若者たちが、
弁護士や詩人やボイストレーナーやらの講義を受けて、
少しずつ話術を磨いて行く。
人に話を聞いてもらおうと思ったら、
まずは自分に自信を持とう。
汚い、人が耳をふさいでしまうような言葉は避けよう。
耳に心地よいリズムや音を巧く使おう。
体を使おう。
その訓練の様子がとても興味深く、
また最初は見知らぬ他人の集まりだった学生たちが、
訓練を通じて仲間として助け合い、気持ちを通わせて行く様子も、
教える側学ぶ側ともに興奮で目をキラキラさせている様子も、
観ていて無性に嬉しく、幸せな気持ちになったのだった。
「こんなのつまらなそう」と言っていた子どもたちも、
いつのまにかソファに座り込んで、結局最後まで観た。
すごくおもしろかったそうである。
そう、いまフランスで教育を受けているキミたちにとっては、
これは別な世界の出来事じゃないものね。
すごくよかった。
予告編をみているだけで、またみたくなってしまうくらい。
À voix haute(2016)
監督:Stéphane de Freitas, Ladj Ly
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by poirier_AAA
| 2018-02-26 19:01
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