2023年 03月 26日
助けて!同音異義語の海に溺れる |
日本の映画情報を眺めているときに、ふっとひとつのタイトルに目が止まった。
「シン・仮面ライダー」
はて、この「シン」はなんだろうか?
一番ありそうな線としては「新」。あるいは「真」かな。
でも「信」だってあるかもしれないし「神」とか「心」もなくはない。
まさか「震」ではないだろうし、「辛」とか「慎」、「寝」だったら笑える。
「伸」だったらヒーローの成長譚になりそうだし、
「鍼」ならばキャラクター武装した鍼灸院。
いっそ一気に飛んで英語の「sin」とか。。。さすがにないか。。。
とにかく、すっかり首を傾げてしまったのである。日本語、同音異義語が多すぎる。漢字の音読みはコンテクストがわからないと、もうアレかコレかの海にずぶずぶ入り込んでしまう。
あるいはこういうものも、日本に住んでいて意識しないままに日々山のような情の波に洗われているときなら多少は察することができたのかもしれない。でも、日本を離れて16年。日本社会の常識からは遠くなってしまった今では、察するということができなくなってしまったし。
なんでわざわざカタカナにするかな?と製作者には文句を言いたい。でも、何が「シン」なのかわからないのがいいと思って狙ってつけているとしたら、これは大成功だ。
日本語ってこういうときに困るんだよなぁと思ったけれど、考えてみたらフランス語も似たようなものだった。コンテクストがわからず、字面も見えないままで単語を聞かされたら、判別できないものがすごく多い。有名なところではこれ。
Je veux un avocat.
これは弁護士が欲しいという意味にもなるし、アボカドが欲しいという意味にもなる。コンテクストがわからないままに聞いたら、弁護士探しならスーパーで、みたいな変な話にもなりかねない。
下の3つも、発音だけ聞いたら全部同じでセッタンヌフ。でも意味は全然違う。
C'est un oeuf.(これは卵です)
Sept un neuf.(719)
C'est un neuf.(これは新しいものです)
わたしたちの頭は超高速コンピューターだ。ある音を聞いたら、その音が意味することの選択肢を瞬時にずらずらっと並べ上げる。そのうえでコンテクストから一番ふさわしい意味を選び取って、間をおかずに自分がすべき反応を決める。それが人の標準装備なんだから、本当にすごいよねぇと思う。
by poirier_AAA
| 2023-03-26 17:30
| 言葉を学ぶ
|
Comments(2)
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by
ひかり
at 2023-03-27 08:26
x
いやあ、わたしも、この「シン」には「?」です
「シン・ゴジラ」あたりからでしょうかね…
意図がわからないです。(って調べてみる気も起きないですが)
記号にしか見えないです…
フランス語もまた、難しそうですね…
「シン・ゴジラ」あたりからでしょうかね…
意図がわからないです。(って調べてみる気も起きないですが)
記号にしか見えないです…
フランス語もまた、難しそうですね…
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Commented
by
poirier_AAA at 2023-03-27 22:09
> ひかりさん、こんにちは。
ええっ、ひかりさんもご存知ではない?むぅ、残念です。
フランス語はそれでも字で書けば絶対に意味はわかるのでいいんですけど、日本語はねぇ、カタカナやひらがなで書かれてしまったら、もう絶対にわからないじゃないですか。誰なんでしょうね、こんなタイトルをつけたのは?これ、もし海外に売るときにはどういうタイトルにするんでしょうか。映画の内容よりもタイトルが気になるわ。。。
ええっ、ひかりさんもご存知ではない?むぅ、残念です。
フランス語はそれでも字で書けば絶対に意味はわかるのでいいんですけど、日本語はねぇ、カタカナやひらがなで書かれてしまったら、もう絶対にわからないじゃないですか。誰なんでしょうね、こんなタイトルをつけたのは?これ、もし海外に売るときにはどういうタイトルにするんでしょうか。映画の内容よりもタイトルが気になるわ。。。