2018年 10月 12日
カバリエ逝く |
10月6日、モンセラート・カバリエが亡くなりました。
訃報からこちら、あらためてカバリエを聴き直しています。
好きなオペラ歌手はたくさんいて、
それぞれが個性的なので順番をつけることなどできないのですが、
カバリエの声は間違いなくその中でも最も好きな部類に入ります。
なんといっても声自体が美しい。
細くてしなやかでツヤがある、極上の絹糸のごとき声です。
しかも繊細で可憐で、人を包み込むような温もりがある。
一度この手触り(耳触り)を知ってしまったら、
もう他の声で代替することはできないよね、と思います。
特に、高音部でのピアニシモの美しさ、
どこまで息が続くんだ?と驚かされるほどの長いフレージングは、
もうカバリエの独壇場ではないでしょうか?
例えばこれです。
「トゥーランドット」リューのアリア「Signore ascolta」
2:05から聴いてみてください。
特に2:20以降です。どこで息しているの?と思いますよ。
さらに最後の高音なんて10秒を軽く超えて続いているのに、
その最後の最後で長いクレッシェンドができるなんて!?
本当に驚異的、としか形容できないのです。
ヴェルディ「レクイエム」から「Libera me」
ヴェルディのレクイエムを歌うソプラノとしては、
カバリエは少し軽い気がするのですが、
この部分(Libera me)はとてもいいと思いました。
特に最後、2:40以降は昇天してしまいそうな素晴らしさです。
これもすごくいいです。
「ラ・トラヴィアータ」から「不思議だわ〜花から花へ」
ダイナミックでありながら、
彼女の声は「弱さ」「もろさ」を感じさせるのです。
その「弱さ」が主人公の揺れる心に似合うなぁと思います。
いろいろ紹介したいと思う動画はたくさんあるのですが、
挙げ始めるとキリがなくなりそうなので、
ひとつだけ、最後に一番好きな曲を挙げておきます。
「ジャンニ・スキッキ」から「わたしのお父さん」
この曲をこの声でこの歌い方で聴くと、
幸福感で胸がいっぱいになります。
「寝たら死ぬぞ」とか「あとは本人の気力だけが頼りです」
という場面に自分が置かれた時に耳元でこの曲を流されたら、
もう思い残すことは何もないわ、と
あっさり命を手離してしまうかもしれない。
強い毒を持つ可憐な花のような一曲です。
by poirier_AAA
| 2018-10-12 22:18
| この人あり
|
Comments(6)
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Mtonosama at 2018-10-13 04:44
ああ、お陰様で朝から良い気持ちにさせていただきました♬
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at 2018-10-13 06:54
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Ich
at 2018-10-13 16:45
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カヴァリエが亡くなったのですね。懐かしい歌声をUpしてくださり嬉しいです。娘時代、椿姫のレコードを何回もかけて一緒に歌ったことを思い出しております。こうして聴き直すと何て美しいんでしょう\(~o~)/
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poirier_AAA at 2018-10-15 22:47
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poirier_AAA at 2018-10-15 22:54
> kagikomeさん、こんにちは。
Les Choristesといえば、子ども達が小学校で習って家で歌ってくれたことがあります。
あの頃は本当のボーイソプラノですごい高い声が出ていたなぁと、今はすごく懐かしいです。
Les Choristesといえば、子ども達が小学校で習って家で歌ってくれたことがあります。
あの頃は本当のボーイソプラノですごい高い声が出ていたなぁと、今はすごく懐かしいです。
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poirier_AAA at 2018-10-15 23:07
> Ichさん、こんにちは。
カバリエのヴィオレッタ、素敵ですよね。
プッチーニの娘役も、この人が歌うと本当にいじらしく愛らしくて、大好きです。
こんな歌手がいてくれてありがとう!という気持ちです。
カバリエのヴィオレッタ、素敵ですよね。
プッチーニの娘役も、この人が歌うと本当にいじらしく愛らしくて、大好きです。
こんな歌手がいてくれてありがとう!という気持ちです。