2017年 09月 02日
歌の力 |
子どもを歯科検診に連れて行った。
痛いことはされないとわかっていても、歯医者は嫌いらしい。
歯医者に向かう道で息子Aが言った。
ママン、どんなにイヤか、どんなに怖いか、この気持ちわかる?
ボクの心臓はドキドキだよ。
あんまり驚いて、ひっくり返るかと思った。
心臓がドキドキしている、
これを息子Aはポルトガル語で言ったのである。
ポルトガルでは挨拶言葉しか発しなかったくせに。
えええ〜っ、いつの間にそんなことが言えるようになったの!?
聞けば、歌で覚えたという。
よく聞いているポルトガルのポピュラー曲の中に、
そっくりそのままこのセリフが出てくるのだそうだ。
ふ〜ん、こういう音楽を聴くのも意外に役に立つんだねぇ。
そう思ってあらためて歌詞カードを眺めてみると、
易しくてすぐに使える文型の宝庫のよう。
〜したい(君と踊りに行きたい)
〜しようよ(一緒に踊ろうよ)
もし〜だったら(反実仮想:もし君がここにいたら)
こういう恋愛を歌った歌は、聞いているとウンザリする。
「いい男を探しているなら、僕みたいな男を選べばいい」とか、
「君の手が僕の手を離れると、僕はすぐサウダードを感じる」とか、
はっきり言って後ろ足で砂をかけたいようなセリフばかり。
しかしこの極甘歌詞の中に、生きるための必須単語&文型が満載なのだった。
一方、わたしは最近ファドを聴いている。
フェルナンド・ペソアの詩を歌うファド曲があると知り、
聴いてみたら気に入って、このところかなり頻繁に聴いている。
こちらに出てくる歌詞はだいぶ文学的である。
灰色の空から雨粒が落ちてくる、だの、
それだけの価値があるのだろうか?いや価値のないことなんてない、とか、
聴いていると言葉は気持ちいいが、さほど実用的ではないかな。
そういえば、わたしの語学には歌がいつもあったなぁと思いだした。
英語のときは「You are my sunshine」。
ドイツ語のときは「Der Lindenbaum(菩提樹)」。
韓国語のときは「無窮花(ムグンファ)の歌」。
フランス語では「さくらんぼの実る頃」を習った。
ポルトガル語で最初に覚えたのは童謡の「sapo(カエル)」だった。
意味もわからず音で覚えた歌が、今でも記憶に残っているのだから不思議だ。
歌に引かれてここまできた、という感じもする。
一度聞いたら耳について離れなくなったファド。
「ポルトガルの海」
by poirier_AAA
| 2017-09-02 20:01
| 言葉を学ぶ
|
Comments(4)
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Mtonosama at 2017-09-03 05:24
本当に語学習得には歌が一番ですね。
私の時は英語はビートルズでした。
ああ、ファド。
いいですねぇ。
6月に亡くなった友人とポルトガルへ行った時にファドのライブを聴きました。
ナザレの海岸にも行ったのですが、黒い服を着た女性がファドを唄っているようなところだろうな、と勝手に思い込んでいたら、とってもカラフルな観光地でちょっとがっかりしました。
私の時は英語はビートルズでした。
ああ、ファド。
いいですねぇ。
6月に亡くなった友人とポルトガルへ行った時にファドのライブを聴きました。
ナザレの海岸にも行ったのですが、黒い服を着た女性がファドを唄っているようなところだろうな、と勝手に思い込んでいたら、とってもカラフルな観光地でちょっとがっかりしました。
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Ich
at 2017-09-03 11:47
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あー、懐かしき歌!ファドの旋律は人の心を哀愁へと導く稀な音楽。そしてフェルナンド・ペソアへの想いが私の魂を揺さぶります^^
(それに致しましても恋愛歌のセリフから‘後ろ足で砂をかけたいようなセリフ’には笑わせて戴きました。)
(それに致しましても恋愛歌のセリフから‘後ろ足で砂をかけたいようなセリフ’には笑わせて戴きました。)
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poirier_AAA at 2017-09-05 15:52
> Mtonosamaさん、こんにちは。
ビートルズといえば(というか、全然関係ないですけど)、サイモン&ガーファンクルの歌を最初に聞いたときはすごく感動しました。えーっ、こんなに英語が聞き取れるなんて!と。パセリ、セージ、ローズマリー アンド タイムとか、よく歌っていましたよ。
ナザレは、わたしもちょっとイメージと違いました。
でも、女性がたくましいのは確かですね。あっちでもこっちでも、貸しアパートやお土産品を売ろうとする女性たちが威勢良く声をあげていたことをよく覚えています。そういえばナザレはスカートが可愛いんですよね。
ビートルズといえば(というか、全然関係ないですけど)、サイモン&ガーファンクルの歌を最初に聞いたときはすごく感動しました。えーっ、こんなに英語が聞き取れるなんて!と。パセリ、セージ、ローズマリー アンド タイムとか、よく歌っていましたよ。
ナザレは、わたしもちょっとイメージと違いました。
でも、女性がたくましいのは確かですね。あっちでもこっちでも、貸しアパートやお土産品を売ろうとする女性たちが威勢良く声をあげていたことをよく覚えています。そういえばナザレはスカートが可愛いんですよね。
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poirier_AAA at 2017-09-05 15:56
> Ichさん、こんにちは。
ファドはまだ聴き始めたばかりなのですが、どうも苦手なタイプの曲が多いような印象です。
後ろに後ろに引っ張られる感じの歌い方があまり好きではないようで。。。
ここで紹介した曲は、歌詞は苦しみや悲しみを歌っていても、リズムがはっきりしていて明るめなので好きなのです。そういう曲もいくつか見つけて(しかもペソアの詩なのです!)、ちょっと嬉しいです。
ファドはまだ聴き始めたばかりなのですが、どうも苦手なタイプの曲が多いような印象です。
後ろに後ろに引っ張られる感じの歌い方があまり好きではないようで。。。
ここで紹介した曲は、歌詞は苦しみや悲しみを歌っていても、リズムがはっきりしていて明るめなので好きなのです。そういう曲もいくつか見つけて(しかもペソアの詩なのです!)、ちょっと嬉しいです。