2016年 06月 11日
火星 |
火星に人を送る計画があるという。
世間話の中でそんな話が出たとき、相手が言った。
火星で生きることになった人は、何を信じるんだろう?
何を信じるんだろう?
地球から自分の信じる神様を連れていくのだろうか。
地球とは全く違う環境で、
帰ろうと、帰りたいと思っても帰る手段のない場所で、
自分以前にそこで生きた人間がいない場所で、
自分が慣れ親しんだものがほぼなにひとつない場所で、
人は何を頼りに生きるのだろう?
ひょっとしたら、
むかしヨーロッパからアメリカに渡った人も
日本からブラジルに、大陸に渡った人も、彼らを見送った人も、
同じような不安を抱いただろうか。
なにもかも自分が始めるしかない。
それをロマンと呼ぶのだろうか?
今のわたしには死刑よりもさらに残酷な刑のようにも感じられる。
ふっとクリストフ・バタイユの「安南」のことを思い出した。
自分が信じてきたものが熱帯の生命力に飲み込まれていく。
それを前にして揺らぐ宣教師たち。
大変に短くて淡々とした話なのだけれど、ちょっと忘れがたい。
火星といえば、萩尾望都の「スターレッド」もある。
日本人の親を持ってもフランスで育てばフランス人になってしまうように、
地球人の親の子でも火星で育てば火星に適応した人間に育つ。
やがて地球人と火星人が交流する時代が来るのかな。
火星は、眺めるだけの存在であったらよかったのにと思う。
世間話の中でそんな話が出たとき、相手が言った。
火星で生きることになった人は、何を信じるんだろう?
何を信じるんだろう?
地球から自分の信じる神様を連れていくのだろうか。
地球とは全く違う環境で、
帰ろうと、帰りたいと思っても帰る手段のない場所で、
自分以前にそこで生きた人間がいない場所で、
自分が慣れ親しんだものがほぼなにひとつない場所で、
人は何を頼りに生きるのだろう?
ひょっとしたら、
むかしヨーロッパからアメリカに渡った人も
日本からブラジルに、大陸に渡った人も、彼らを見送った人も、
同じような不安を抱いただろうか。
なにもかも自分が始めるしかない。
それをロマンと呼ぶのだろうか?
今のわたしには死刑よりもさらに残酷な刑のようにも感じられる。
ふっとクリストフ・バタイユの「安南」のことを思い出した。
自分が信じてきたものが熱帯の生命力に飲み込まれていく。
それを前にして揺らぐ宣教師たち。
大変に短くて淡々とした話なのだけれど、ちょっと忘れがたい。
火星といえば、萩尾望都の「スターレッド」もある。
日本人の親を持ってもフランスで育てばフランス人になってしまうように、
地球人の親の子でも火星で育てば火星に適応した人間に育つ。
やがて地球人と火星人が交流する時代が来るのかな。
火星は、眺めるだけの存在であったらよかったのにと思う。
by poirier_AAA
| 2016-06-11 03:00
| 日々の断片
|
Comments(6)
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Mtonosama at 2016-06-11 06:49
私、火星に住みたくないです。だって、熱いんでしょ?
先日JAXAで実物大の宇宙ステーションを見た時も、こんな狭いところでフワフワ浮遊しながら暮らすのはいやだなあと心の底から思いました。
青い地球は見てみたい気もするけど。
先日JAXAで実物大の宇宙ステーションを見た時も、こんな狭いところでフワフワ浮遊しながら暮らすのはいやだなあと心の底から思いました。
青い地球は見てみたい気もするけど。
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fusk-en25 at 2016-06-11 09:44
私の祖父母は明治40年頃に、奈良県と三重県の県境の山間の村からアメリカ渡ってオレゴン州で10年暮らしていますが。
どうだったんでしょうね。その頃のその気分。
そんなに古くなくても私たちが1973年にパリに来た頃。
親たちは水杯のイメージの宴会を料理屋で開きましたよ。。。笑。
どうだったんでしょうね。その頃のその気分。
そんなに古くなくても私たちが1973年にパリに来た頃。
親たちは水杯のイメージの宴会を料理屋で開きましたよ。。。笑。
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poirier_AAA at 2016-06-13 17:19
>Mtonosamaさん、こんにちは。
火星って暑いんですか? 地球より遠いから気温は低くなるのかなぁと思っていました。
わたしも行きたくないです。自由に外に出られないような場所で、しかもフワフワ浮遊しながら暮らすんですか?地球が懐かしくて気が狂っちゃいますよ、わたしなら。うーん、死ぬなら地球で死にたいです。。。
火星って暑いんですか? 地球より遠いから気温は低くなるのかなぁと思っていました。
わたしも行きたくないです。自由に外に出られないような場所で、しかもフワフワ浮遊しながら暮らすんですか?地球が懐かしくて気が狂っちゃいますよ、わたしなら。うーん、死ぬなら地球で死にたいです。。。
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poirier_AAA at 2016-06-13 17:25
>fuskさん、こんにちは。
移住した人たちというのは、少なくともそこに大陸があるし住める環境があるとわかっているから移住に踏み切れたわけですけど、大航海時代の船乗りなんてあるのかどうかもわからない陸地を目指して船出したのでしょう?いやぁ、勇気がある人たちだったんだなぁ(無鉄砲とも言える?)と思って。
fuskさんたちが渡仏された頃も、今とは比べ物にならないくらい情報が少なかったですよね?ネットなんてもちろんないし。自分がfuskさんの立場だったらどう生きたかな?とちょっと考えてしまいます。
移住した人たちというのは、少なくともそこに大陸があるし住める環境があるとわかっているから移住に踏み切れたわけですけど、大航海時代の船乗りなんてあるのかどうかもわからない陸地を目指して船出したのでしょう?いやぁ、勇気がある人たちだったんだなぁ(無鉄砲とも言える?)と思って。
fuskさんたちが渡仏された頃も、今とは比べ物にならないくらい情報が少なかったですよね?ネットなんてもちろんないし。自分がfuskさんの立場だったらどう生きたかな?とちょっと考えてしまいます。
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まじ
at 2016-06-27 19:13
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梨の木さん、こんにちは。
フランスでも馴染むのや、自分の生活をつくるのに努力がいるのに、火星だなんて!
ほんとに大らか、オープン、ポジティブ!な気を持てなきゃ楽しめなさそうですね。
梨の木さんは、どうしても故郷が恋しいときはどうされてますか?
故郷は遠くにありて…とは言うものの、やはり近くで気軽に行ったり来たりできる様子を羨ましく思う時もあります。
または、お子さんが生まれ、自分自身の家族ができると変わるものなんでしょうか?
きっと、こういう事は、人に聞かず自分で考えるものなのかもしれませんが…梨の木さんはどう考えていらっしゃるのか知りたくて、聞いてしまいました。
フランスでも馴染むのや、自分の生活をつくるのに努力がいるのに、火星だなんて!
ほんとに大らか、オープン、ポジティブ!な気を持てなきゃ楽しめなさそうですね。
梨の木さんは、どうしても故郷が恋しいときはどうされてますか?
故郷は遠くにありて…とは言うものの、やはり近くで気軽に行ったり来たりできる様子を羨ましく思う時もあります。
または、お子さんが生まれ、自分自身の家族ができると変わるものなんでしょうか?
きっと、こういう事は、人に聞かず自分で考えるものなのかもしれませんが…梨の木さんはどう考えていらっしゃるのか知りたくて、聞いてしまいました。
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poirier_AAA at 2016-06-27 21:20
>まじさん、こんにちは。
まじさんに言われて初めて真剣に考えてみたのですけれど、
わたしは望郷の念に苛まれたことってひょっとしたら一度もないかもしれません。こう書くと我ながらものすごく冷たい人間じゃない?という気がするのですが(笑)
こちらで生まれ育った夫とその家族がいることは大きいでしょうね。子どもも半分はその血を引いているわけですし。例えば収入がなくても、社会にすっかり溶け込めていなくても、今の自分の居場所はここにしかないと、無意識に腹を据えているかもしれません。
あと、多少なりとも言葉ができてフランス人を知っていたことも大きいでしょうね。習慣も生活もぜんぜん違う、言葉もわからない字も読めない、そんな土地だったら(たとえばアラビア語の世界に行ったとしたら)今のように落ち着いた心持ちでいられたかどうか、、、自信がありませんよ。
だから火星も絶対無理だと思っているのです。
まじさんに言われて初めて真剣に考えてみたのですけれど、
わたしは望郷の念に苛まれたことってひょっとしたら一度もないかもしれません。こう書くと我ながらものすごく冷たい人間じゃない?という気がするのですが(笑)
こちらで生まれ育った夫とその家族がいることは大きいでしょうね。子どもも半分はその血を引いているわけですし。例えば収入がなくても、社会にすっかり溶け込めていなくても、今の自分の居場所はここにしかないと、無意識に腹を据えているかもしれません。
あと、多少なりとも言葉ができてフランス人を知っていたことも大きいでしょうね。習慣も生活もぜんぜん違う、言葉もわからない字も読めない、そんな土地だったら(たとえばアラビア語の世界に行ったとしたら)今のように落ち着いた心持ちでいられたかどうか、、、自信がありませんよ。
だから火星も絶対無理だと思っているのです。