2015年 11月 13日
フィジャック(Figeac) |
前に書いたサン・シール・ラポピーからフィジャックまで、
地図上で見るとせいぜい50キロくらいしかない。
高速道路なら30分もかからずに着くところなれど、
ここには高速道路はなし。
ときおりトラクターも通れば羊の群れが道を横切ることもある
セレ川渓谷か、あるいはロット川渓谷の一本道しかない。
50キロの道を1時間かけて走る。
そうして着いたフィジャックは、中世の街並みを残しながら、
一方ではどこにでもあるチェーン店も軒を並べる街だった。
ここを訪ねようと思ったのは他でもない、
ヒエログリフを解読した、あのシャンポリオンがこの街の生まれで、
彼の名を冠した珍しい「文字」の博物館があると聞いたからだった。
ここが期待した以上に面白かった。
博物館の規模としてはそれほど大きくはないのだけれども、
適度な大きさでよくまとまっている分、
また「文字」というものに特化している分、じっくり勉強できて面白い。
世界には、文字を生んだ文明が5つあった。
最も早く文字が生まれたのが、紀元前4千年のエジプトとシュメール。
そこから1000年遅れ、紀元前3千年にインダス。
そして紀元前2千年以降に中国とオルメカ。
その1つ1つについて展示があり説明がなされているのだが、
やはりエジプトとシュメールに最も力が注がれていて、
他の3つについてはいささか簡単に済まされている感じもした。
逆に、アルファベットの変遷などは細かく示されていて面白かった。
博物館の入り口で、子ども向けの見学ノートのようなものが売られている。
年齢別に3種類あって、小学校低学年、高学年、中学生以上だったと思う。
展示物を見学しながら、問題を解いたり絵を描いたりしながらノートを埋めていく。
楽しみながら学べる仕掛け。
うちの子たちは、よせばいいのに中学生以上のが面白そうだと選び、
途中でわからなくなって親に泣きついてきた。
おかげで親も一緒に展示説明を熟読することができてよかった反面、
自分で読みたかったところにはあまり時間を割くことができなくて、無念。
博物館内は現代的にきれいに整えられており、
窓はこんなふうに文字をとおり抜けた光が差し込むようになっていた。 展示パネルにもこんなふうに影が映る。 元々の建物の石壁は残し、前面にガラス壁を一枚おいて説明書きを載せている。
洞窟に残る古代の人の絵にもどきどきを感じたけれど、
こうして文字の歴史を追うのも、また同じようにロマンを感じる。
この博物館には昼食休みがあって見学者は退場させられてしまう。
でも、チケットは1日有効なので出されても慌てず、また午後に戻るべし。
館内はフラッシュ無しなら撮影可能。
それから見学ノートは、全部やりおえたことを出口で報告すると、
A4の紙に印刷した「修了証」に名前を書いたものを貰える。
博物館の裏手には「Place des écritures(文字の広場)」があり、
ロゼッタストーンの巨大なコピーの上を歩けるようになっている。
デモティック(古代エジプト民衆文字)を踏みつける息子の足。
シャンポリオン博物館のサイトはこちら。
地図上で見るとせいぜい50キロくらいしかない。
高速道路なら30分もかからずに着くところなれど、
ここには高速道路はなし。
ときおりトラクターも通れば羊の群れが道を横切ることもある
セレ川渓谷か、あるいはロット川渓谷の一本道しかない。
50キロの道を1時間かけて走る。
そうして着いたフィジャックは、中世の街並みを残しながら、
一方ではどこにでもあるチェーン店も軒を並べる街だった。
ここを訪ねようと思ったのは他でもない、
ヒエログリフを解読した、あのシャンポリオンがこの街の生まれで、
彼の名を冠した珍しい「文字」の博物館があると聞いたからだった。
ここが期待した以上に面白かった。
博物館の規模としてはそれほど大きくはないのだけれども、
適度な大きさでよくまとまっている分、
また「文字」というものに特化している分、じっくり勉強できて面白い。
世界には、文字を生んだ文明が5つあった。
最も早く文字が生まれたのが、紀元前4千年のエジプトとシュメール。
そこから1000年遅れ、紀元前3千年にインダス。
そして紀元前2千年以降に中国とオルメカ。
その1つ1つについて展示があり説明がなされているのだが、
やはりエジプトとシュメールに最も力が注がれていて、
他の3つについてはいささか簡単に済まされている感じもした。
逆に、アルファベットの変遷などは細かく示されていて面白かった。
博物館の入り口で、子ども向けの見学ノートのようなものが売られている。
年齢別に3種類あって、小学校低学年、高学年、中学生以上だったと思う。
展示物を見学しながら、問題を解いたり絵を描いたりしながらノートを埋めていく。
楽しみながら学べる仕掛け。
うちの子たちは、よせばいいのに中学生以上のが面白そうだと選び、
途中でわからなくなって親に泣きついてきた。
おかげで親も一緒に展示説明を熟読することができてよかった反面、
自分で読みたかったところにはあまり時間を割くことができなくて、無念。
博物館内は現代的にきれいに整えられており、
窓はこんなふうに文字をとおり抜けた光が差し込むようになっていた。
洞窟に残る古代の人の絵にもどきどきを感じたけれど、
こうして文字の歴史を追うのも、また同じようにロマンを感じる。
この博物館には昼食休みがあって見学者は退場させられてしまう。
でも、チケットは1日有効なので出されても慌てず、また午後に戻るべし。
館内はフラッシュ無しなら撮影可能。
それから見学ノートは、全部やりおえたことを出口で報告すると、
A4の紙に印刷した「修了証」に名前を書いたものを貰える。
博物館の裏手には「Place des écritures(文字の広場)」があり、
ロゼッタストーンの巨大なコピーの上を歩けるようになっている。
デモティック(古代エジプト民衆文字)を踏みつける息子の足。
シャンポリオン博物館のサイトはこちら。
by poirier_AAA
| 2015-11-13 18:00
| フランスを歩く
|
Comments(8)
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fusk-en25 at 2015-11-13 19:55
さすがにフランス?(笑、依怙贔屓?)
見せ方のうまい国だなあ、と。
どこの美術館。博物館に行っても思うのですが。
特にここ20年ほどは地方の小さな美術館が良くなりましたね。
車社会の発達で昔は中々行かなかったようなところにまで
行けるようになった。
そう思うと「車」もそう捨てたものでないか。。
ものは使いようだなと思ったりします。
見せ方のうまい国だなあ、と。
どこの美術館。博物館に行っても思うのですが。
特にここ20年ほどは地方の小さな美術館が良くなりましたね。
車社会の発達で昔は中々行かなかったようなところにまで
行けるようになった。
そう思うと「車」もそう捨てたものでないか。。
ものは使いようだなと思ったりします。
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poirier_AAA at 2015-11-13 20:50
>fuskさん、こんにちは。
フランスの美術館、博物館はやはりうまいなぁと思いますね。小さくても何をどう見せたいかということが、きちんと考えられている。それに慣れてしまうと、ルーブル美術館の常設展は「置いてあるだけ」(笑)。ただあそこは、あれだけの量の作品が「そこにある」というところに意義があるんですよね。
フランスもポルトガルも、地方の面白いところを訪ねようと思ったら車を使うしかない、完全に車社会ですね。車の臭いは好きじゃありませんけど、やっぱり便利さは捨てがたいです。とくに子連れ、荷物が多い時にはありがたいです。
フランスの美術館、博物館はやはりうまいなぁと思いますね。小さくても何をどう見せたいかということが、きちんと考えられている。それに慣れてしまうと、ルーブル美術館の常設展は「置いてあるだけ」(笑)。ただあそこは、あれだけの量の作品が「そこにある」というところに意義があるんですよね。
フランスもポルトガルも、地方の面白いところを訪ねようと思ったら車を使うしかない、完全に車社会ですね。車の臭いは好きじゃありませんけど、やっぱり便利さは捨てがたいです。とくに子連れ、荷物が多い時にはありがたいです。
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Mtonosama at 2015-11-14 06:16
白抜きの文字を通して差しこむ陽の光。
石に彫った文字。
ガラスに映り込んだ文字。
いいですね。
でも、昔の文字は美しいけれど読めません。
昔の文字は読めないというところで「100000年後の安全」
というフィンランドの核廃棄物最終処理施設の映画を思い出してしまいました。廃棄物は10万年も放射能を出し続けるけれど10万年後の人に「これは最終処理施設だ」と知らせるにはどんな言葉で知らせたらいいのだろう・・・
フィンランド語も英語も通じない時代になっているかもしれないんです。
言葉をテーマにした映画は結構ありますね。
なのに怖い映画を思い出してしまいました。
石に彫った文字。
ガラスに映り込んだ文字。
いいですね。
でも、昔の文字は美しいけれど読めません。
昔の文字は読めないというところで「100000年後の安全」
というフィンランドの核廃棄物最終処理施設の映画を思い出してしまいました。廃棄物は10万年も放射能を出し続けるけれど10万年後の人に「これは最終処理施設だ」と知らせるにはどんな言葉で知らせたらいいのだろう・・・
フィンランド語も英語も通じない時代になっているかもしれないんです。
言葉をテーマにした映画は結構ありますね。
なのに怖い映画を思い出してしまいました。
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poirier_AAA at 2015-11-14 07:39
>Mtonosamaさん、こんにちは。
その通り、わずか5000年前の文字が読めないのですよね。おっとそれどころじゃありません、自分の国の言葉で書いてあるはずの江戸時代の浮世絵の文字だって全部読めないんです。その時代によって何が大事か、何が危険を知らせる色かというのも変わってくるでしょうし。一体どうやってメッセージを残したらいいんでしょうね。その映画には解決策は出てくるのでしょうか?
実はちょうどチェルノブイリに関する本の感想を書いていたところでした。自然が素晴らしい、歴史の重さを感じる、その一方でとんでもない時代に突入してしまった現実を考えないではいられません。
その通り、わずか5000年前の文字が読めないのですよね。おっとそれどころじゃありません、自分の国の言葉で書いてあるはずの江戸時代の浮世絵の文字だって全部読めないんです。その時代によって何が大事か、何が危険を知らせる色かというのも変わってくるでしょうし。一体どうやってメッセージを残したらいいんでしょうね。その映画には解決策は出てくるのでしょうか?
実はちょうどチェルノブイリに関する本の感想を書いていたところでした。自然が素晴らしい、歴史の重さを感じる、その一方でとんでもない時代に突入してしまった現実を考えないではいられません。
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kitaoni at 2015-11-14 08:39
親と一緒にただ見て、通り過ぎるのではなく自分で考えて、見て、描いて....... 記憶にも残るし何かのキッカケにもなる、見せ方が上手いですね。
パリは発砲、爆発が続いて連続テロかと........ 不安な事と思いますがお気をつけてください。
パリは発砲、爆発が続いて連続テロかと........ 不安な事と思いますがお気をつけてください。
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at 2015-11-14 08:49
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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poirier_AAA at 2015-11-15 00:12
>kitaoniさん、こんにちは。
こういうこともやはり歴史の積み重ねなのでしょうね。フランスでは美術館や博物館も広く若い世代に解放されていますし、どのように学ばせるかという方向性もきちんとあるのが素晴らしいです。
とはいえ、そんな文化施設もこの週末は全部閉館です。日常生活の場でこんなことが起こる、、、、恐怖が足元から這い上がってきます。いつになったら平常が戻ってくるのかわからないのも落ち着きません。
ご心配いただいて、本当にありがとうございました。
こういうこともやはり歴史の積み重ねなのでしょうね。フランスでは美術館や博物館も広く若い世代に解放されていますし、どのように学ばせるかという方向性もきちんとあるのが素晴らしいです。
とはいえ、そんな文化施設もこの週末は全部閉館です。日常生活の場でこんなことが起こる、、、、恐怖が足元から這い上がってきます。いつになったら平常が戻ってくるのかわからないのも落ち着きません。
ご心配いただいて、本当にありがとうございました。
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poirier_AAA at 2015-11-15 00:16
>鍵コメさん、こんにちは。
心配してくださってありがとう。
我が家は全員無事で、家にこもっています。
怖いですよね。無差別ですから。。。
それでも生活は続き、わたしはもし籠城が続くことになったら何日食料が保つかと考えているところです。
心配してくださってありがとう。
我が家は全員無事で、家にこもっています。
怖いですよね。無差別ですから。。。
それでも生活は続き、わたしはもし籠城が続くことになったら何日食料が保つかと考えているところです。