2015年 02月 04日
新鮮な(?)驚き、その2 |
読みたい本があって、近所の小さい本屋に行った。
この本屋は店舗面積からいったらとても小さいのだけれど、
主に学生を対象にした本屋なので、
古典名作の類いの品揃えがすごくいい。
目当ての本が並んでいそうな棚の前に立っていたら、
男の子2人に声をかけられた。
「何をお探しですか。お手伝いしますよ」
いや〜、あまりにも少年少年した子たちだったので(家の子の丈を伸ばした感じ)
一瞬なにか冗談を言われているのかと思った。
でも、相手がどこまでも真面目な顔を崩さないのを見てハッとした。
そうか、この子たちもスタージュ(研修)生だ!
そういうことならせっかくだから手伝ってもらいましょうと、答えた。
「スタンダールの本を探しているのだけれど」
それを聞いてわたしの近くに立っていた少年が言った。
「それは、、、、、、、著者の名前でしょうか?」
「そうですね、、、、、、」
えーっ、あなたのお国が誇る著名な作家の1人でしょ、知らないの〜?
とは言わなかったけれど、
いや〜魂消た。
中学生くらいだと、まだスタンダールなんて名前も知らないかな。
彼の隣に立っていた子が本棚に目を走らせ始めた。
「スタンダール、、、S だったらここらへんだけど、、、」
いや、そこらへんはまだRだと思うな。
だって、わたしの目の前でSが始まっているんだもの。
Sをどんどん辿って、わたしの方が先にお目当ての本を見つけてしまった。
「あった、見つけたわ。どうもありがとう」
「どういたしまして」
中学生の研修だから仕方ないのかもしれないけれど、
うむむ〜、おばさんはまた一言言いたくなってしまったよ。
本屋で働くならさ、せめて並んでいる本の作家名とか作品名を眺めておこうよ。
お客さんがいない時におしゃべりしていないで、棚を端からゆっくり見て行くのだ。
何処にどんな本があるかな、この本はおもしろいのかな、とか考えながら。
そうしたらきっと商品に愛着が出て来るよ。
まぁ確かに商品は多いよね。八百屋の比じゃないことは認める。
でも、でもせめて、自分の国の文学史に太字で出て来る作家の名前くらい
覚えようとしたっていいんじゃないかな〜。
だってさ〜、フランスから飛行機で12時間かかるような遠い国に住む
フランス語を全然知らない人たちだって、
スタンダールといえば「赤と黒」とか知っているんだもの。
、、、、、というわけで、
次はどんな研修生と出会えるかしらと、
だんだん楽しみになって来た世話焼きおばさんなのである。
頑張れ、青少年たち!
この本屋は店舗面積からいったらとても小さいのだけれど、
主に学生を対象にした本屋なので、
古典名作の類いの品揃えがすごくいい。
目当ての本が並んでいそうな棚の前に立っていたら、
男の子2人に声をかけられた。
「何をお探しですか。お手伝いしますよ」
いや〜、あまりにも少年少年した子たちだったので(家の子の丈を伸ばした感じ)
一瞬なにか冗談を言われているのかと思った。
でも、相手がどこまでも真面目な顔を崩さないのを見てハッとした。
そうか、この子たちもスタージュ(研修)生だ!
そういうことならせっかくだから手伝ってもらいましょうと、答えた。
「スタンダールの本を探しているのだけれど」
それを聞いてわたしの近くに立っていた少年が言った。
「それは、、、、、、、著者の名前でしょうか?」
「そうですね、、、、、、」
えーっ、あなたのお国が誇る著名な作家の1人でしょ、知らないの〜?
とは言わなかったけれど、
いや〜魂消た。
中学生くらいだと、まだスタンダールなんて名前も知らないかな。
彼の隣に立っていた子が本棚に目を走らせ始めた。
「スタンダール、、、S だったらここらへんだけど、、、」
いや、そこらへんはまだRだと思うな。
だって、わたしの目の前でSが始まっているんだもの。
Sをどんどん辿って、わたしの方が先にお目当ての本を見つけてしまった。
「あった、見つけたわ。どうもありがとう」
「どういたしまして」
中学生の研修だから仕方ないのかもしれないけれど、
うむむ〜、おばさんはまた一言言いたくなってしまったよ。
本屋で働くならさ、せめて並んでいる本の作家名とか作品名を眺めておこうよ。
お客さんがいない時におしゃべりしていないで、棚を端からゆっくり見て行くのだ。
何処にどんな本があるかな、この本はおもしろいのかな、とか考えながら。
そうしたらきっと商品に愛着が出て来るよ。
まぁ確かに商品は多いよね。八百屋の比じゃないことは認める。
でも、でもせめて、自分の国の文学史に太字で出て来る作家の名前くらい
覚えようとしたっていいんじゃないかな〜。
だってさ〜、フランスから飛行機で12時間かかるような遠い国に住む
フランス語を全然知らない人たちだって、
スタンダールといえば「赤と黒」とか知っているんだもの。
、、、、、というわけで、
次はどんな研修生と出会えるかしらと、
だんだん楽しみになって来た世話焼きおばさんなのである。
頑張れ、青少年たち!
by poirier_AAA
| 2015-02-04 03:39
| 日々の断片
|
Comments(8)
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Mtonosama at 2015-02-04 07:08
その研修ってどのくらいの期間続くのでしょうか。
なんか可愛くっていいな。
なんか可愛くっていいな。
0
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saheizi-inokori at 2015-02-04 10:00
中学の時だったかなあ、西宮甲子園口にある祖父の本屋の店番をやりました。
エロ本のあるところをいちばん最初に見つけました。
こっそり借りていって二階の部屋で眺めました^^。
ウィタ・セクスアリスです。
エロ本のあるところをいちばん最初に見つけました。
こっそり借りていって二階の部屋で眺めました^^。
ウィタ・セクスアリスです。
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fusk
at 2015-02-04 18:21
x
本好きでない子供が本屋の売り子をするのかなあ。
ただし今。日本で何歳ぐらいの人なら.スタンダール?「赤と黒」って出て来るでしょうか?
昨日大岡昇平を読んでいたので
スタンダールを読みなおそうかと思っていました。笑。
ただし今。日本で何歳ぐらいの人なら.スタンダール?「赤と黒」って出て来るでしょうか?
昨日大岡昇平を読んでいたので
スタンダールを読みなおそうかと思っていました。笑。
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poirier_AAA at 2015-02-04 23:55
>Mtonosamaさん、こんにちは。
たぶん1週間、せいぜい2週間くらいじゃないでしょうか。そんなに長くはないと思います。
そうそう、可愛くっていいですよね。がんばれ〜と言いたくなっちゃう。
つい研修生を探してキョロキョロしてしまうのです。
たぶん1週間、せいぜい2週間くらいじゃないでしょうか。そんなに長くはないと思います。
そうそう、可愛くっていいですよね。がんばれ〜と言いたくなっちゃう。
つい研修生を探してキョロキョロしてしまうのです。
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poirier_AAA at 2015-02-05 00:00
>saheiziさん、こんにちは。
残念ながら、この本屋にはエロ本はなさそうです。
でも、だいたい古今東西の名作にはそれなりの恋愛場面が出てきますよね。あからさまじゃないけれど、あからさまじゃない分、妙に想像力を刺激して止まないというか。そういうシーンでもウィタ・セクスアリスになりうるかなぁ。
残念ながら、この本屋にはエロ本はなさそうです。
でも、だいたい古今東西の名作にはそれなりの恋愛場面が出てきますよね。あからさまじゃないけれど、あからさまじゃない分、妙に想像力を刺激して止まないというか。そういうシーンでもウィタ・セクスアリスになりうるかなぁ。
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poirier_AAA at 2015-02-05 00:06
>fuskさん、こんにちは。
野菜を触ったことのないような女の子が八百屋に研修に行くくらいなので、本なんか読まない子が本屋に行くこともあるんじゃないかな〜と思いました。
でもたしかに、今どきは日本とアメリカが戦争したことも、ホロコーストがあったことも知らない子がいるそうですから、スタンダールで「赤と黒」なんて出て来ないかもしれませんね。
スタンダール、少しだけ読み始めました。想像していたよりずっと読み易いフランス語だったので、かなり嬉しいです。
野菜を触ったことのないような女の子が八百屋に研修に行くくらいなので、本なんか読まない子が本屋に行くこともあるんじゃないかな〜と思いました。
でもたしかに、今どきは日本とアメリカが戦争したことも、ホロコーストがあったことも知らない子がいるそうですから、スタンダールで「赤と黒」なんて出て来ないかもしれませんね。
スタンダール、少しだけ読み始めました。想像していたよりずっと読み易いフランス語だったので、かなり嬉しいです。
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kanafr at 2015-02-05 00:57
いやあ、ビックリですね。
梨の木さんのこの記事を読んで、うろ覚えだったらいけないので№2に確認しましたけど、やはり、すでにスタージュする年齢だったらスタンダールは課題図書の一つだったそうで、当然その年齢だったら、知らない筈はないそうです。以前梨の木さんに聞かれて№2が中学生の時に読んだ本の作者名にもあったと思います。
最近、ブックオフに行った時に店員の方同士でお客様からお電話で「深沢七郎の本で言われたけれど何の分野を探したらいいの?」という会話を聞いてビックリしました。あまりにも右往左往していらっしゃるので「楢山節考を書いた小説家ですよ」と言ったら「アッ、その本の事聞かれました」でした。
日本人もフランス人もドンドン名作を読まない時代になっているんでしょうかしら。
梨の木さんのこの記事を読んで、うろ覚えだったらいけないので№2に確認しましたけど、やはり、すでにスタージュする年齢だったらスタンダールは課題図書の一つだったそうで、当然その年齢だったら、知らない筈はないそうです。以前梨の木さんに聞かれて№2が中学生の時に読んだ本の作者名にもあったと思います。
最近、ブックオフに行った時に店員の方同士でお客様からお電話で「深沢七郎の本で言われたけれど何の分野を探したらいいの?」という会話を聞いてビックリしました。あまりにも右往左往していらっしゃるので「楢山節考を書いた小説家ですよ」と言ったら「アッ、その本の事聞かれました」でした。
日本人もフランス人もドンドン名作を読まない時代になっているんでしょうかしら。
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poirier_AAA at 2015-02-05 02:02
>kanafrさん、こんにちは。
ほんと、いやあビックリですよね。
でも、つい先だって50−26の暗算がすっと出来ない子に会ったばかりだったので、まあどっこいどっこいかな、とも思いました。
でも、この子たちはスタージュだからまぁ笑って許せるとしても、ブックオフのその店員はイカンでしょう。本屋の店員が、深沢七郎が何の分野かわからないなんて、情けなや〜。その人が知らないことも情けないけれど、それで本屋の店員が務まるという現実が一層情けなく感じます。
名作は確かに売れなくなっているんでしょうね(特に日本では)。わたしが子どものころは各社の文庫本に世界の名作の類いがずらっと名前を連ねていたものですが、最近は名作を見つけるのが逆に難しくなりました。そのかわり、現代物の軽い小説とか、世界で「売れている」本がずらりと並ぶようになりました。
自分が年とったからかもしれませんが、やっぱり名作と呼ばれる本にはそれだけの理由があるのだと最近つくづく感じています。若くて感性が豊かな時に、そういう本と接する機会があった方がいいですよね。
ほんと、いやあビックリですよね。
でも、つい先だって50−26の暗算がすっと出来ない子に会ったばかりだったので、まあどっこいどっこいかな、とも思いました。
でも、この子たちはスタージュだからまぁ笑って許せるとしても、ブックオフのその店員はイカンでしょう。本屋の店員が、深沢七郎が何の分野かわからないなんて、情けなや〜。その人が知らないことも情けないけれど、それで本屋の店員が務まるという現実が一層情けなく感じます。
名作は確かに売れなくなっているんでしょうね(特に日本では)。わたしが子どものころは各社の文庫本に世界の名作の類いがずらっと名前を連ねていたものですが、最近は名作を見つけるのが逆に難しくなりました。そのかわり、現代物の軽い小説とか、世界で「売れている」本がずらりと並ぶようになりました。
自分が年とったからかもしれませんが、やっぱり名作と呼ばれる本にはそれだけの理由があるのだと最近つくづく感じています。若くて感性が豊かな時に、そういう本と接する機会があった方がいいですよね。