2015年 01月 06日
リスク |
義両親から聞くポルトガルの世間話が面白い。
この間は、銀行を信用しない人の話が出た。
村に「オレは銀行は絶対に信用しない」という男の人がいたそうだ。
で、その人はタンス貯金ならぬ旅行鞄貯金をしていた。
財産が入った鞄を盗まれたらいけないと、物置の奥深くにしまって、
それで安心したのか、いつしか鞄に財産を入れていたことも忘れてしまった。
しばらくして「海外旅行に行くから鞄を貸して」と人に頼まれて、
鞄の中味をあらためることもなくホイホイ貸してしまったのだとか。
その男性がラッキーだったのは、鞄を借りた人が正直者だったこと。
こんなものが入っていたよ!とそっくりそのまま持って来てくれたそうだ。
小金欲しさに身内の老人の家に盗みに入るというイヤな話もよく聞く昨今、
相手がちゃんとした人で本当によかった、という結論。
もう1人は紙幣を袋に入れ、旅行鞄ならぬ家畜用の餌(牧草)の中に埋めた。
で、やっぱり隠したことを忘れてしまった。
結果はどうなったかというと、(予想もつくでしょう)牛に食べられてしまった!
あるとき、牛がもぐもぐと紙幣を噛んでいるのをみつけて、大慌てしたそうだ。
で、とりあえず牛の口からはみ出ているお札をひったくって、
銀行に駆け込んだ。
部分的に牛に食べられてしまったのだが、まだお金として使えるだろうか?
銀行はお札を検分して答えた。
残念ですが、紙幣の番号部分が欠けているのでもう使えません。
財産だったはずのものが、ただの紙切れ(&牛の栄養)になった。
お札を食べた牛はやがて殺されて食卓に上ったそうだが、
この男性からしたら「旨くなければ許さん!」の気持ちだっただろう。
さて、この2つの話の教訓は何かというと、
銀行のリスクも確かにあるけど(ポルトガルはいま大変だし)
タンス貯金を忘れてしまう自分側のリスクも結構高いんだよね、だ。
先日古い家計簿の間から紙幣を1枚ぺらりと見つけたばかりのわたしなので、
人のことを笑ってはいられない。
隠したお金のことを忘れてしまったということは、
当面の生活に困らないだけの余裕はあったということだから、
ものすごく大きな不運の部類には入らないかもしれないけれど、
あの田舎で、あの不景気な中で、
一所懸命貯めたお金だろうにと思うと、笑いながらもちょっと切ない。
タンス貯金しなくても、銀行に預けなくても、
とりあえず自分の手元で忘れずに管理していられる範囲のお金で、
人生を一切合切賄えたらいいのになんて、どうしようもないことを考えてしまう。
牛がお札を食べた話で白ヤギさんと黒ヤギさんの手紙の歌を思い出し、
話して聞かせたらおおいにウケた。
ポルトガルの田舎生活では、ヤギのリスク(?)もまだ健在だ。
この間は、銀行を信用しない人の話が出た。
村に「オレは銀行は絶対に信用しない」という男の人がいたそうだ。
で、その人はタンス貯金ならぬ旅行鞄貯金をしていた。
財産が入った鞄を盗まれたらいけないと、物置の奥深くにしまって、
それで安心したのか、いつしか鞄に財産を入れていたことも忘れてしまった。
しばらくして「海外旅行に行くから鞄を貸して」と人に頼まれて、
鞄の中味をあらためることもなくホイホイ貸してしまったのだとか。
その男性がラッキーだったのは、鞄を借りた人が正直者だったこと。
こんなものが入っていたよ!とそっくりそのまま持って来てくれたそうだ。
小金欲しさに身内の老人の家に盗みに入るというイヤな話もよく聞く昨今、
相手がちゃんとした人で本当によかった、という結論。
もう1人は紙幣を袋に入れ、旅行鞄ならぬ家畜用の餌(牧草)の中に埋めた。
で、やっぱり隠したことを忘れてしまった。
結果はどうなったかというと、(予想もつくでしょう)牛に食べられてしまった!
あるとき、牛がもぐもぐと紙幣を噛んでいるのをみつけて、大慌てしたそうだ。
で、とりあえず牛の口からはみ出ているお札をひったくって、
銀行に駆け込んだ。
部分的に牛に食べられてしまったのだが、まだお金として使えるだろうか?
銀行はお札を検分して答えた。
残念ですが、紙幣の番号部分が欠けているのでもう使えません。
財産だったはずのものが、ただの紙切れ(&牛の栄養)になった。
お札を食べた牛はやがて殺されて食卓に上ったそうだが、
この男性からしたら「旨くなければ許さん!」の気持ちだっただろう。
さて、この2つの話の教訓は何かというと、
銀行のリスクも確かにあるけど(ポルトガルはいま大変だし)
タンス貯金を忘れてしまう自分側のリスクも結構高いんだよね、だ。
先日古い家計簿の間から紙幣を1枚ぺらりと見つけたばかりのわたしなので、
人のことを笑ってはいられない。
隠したお金のことを忘れてしまったということは、
当面の生活に困らないだけの余裕はあったということだから、
ものすごく大きな不運の部類には入らないかもしれないけれど、
あの田舎で、あの不景気な中で、
一所懸命貯めたお金だろうにと思うと、笑いながらもちょっと切ない。
タンス貯金しなくても、銀行に預けなくても、
とりあえず自分の手元で忘れずに管理していられる範囲のお金で、
人生を一切合切賄えたらいいのになんて、どうしようもないことを考えてしまう。
牛がお札を食べた話で白ヤギさんと黒ヤギさんの手紙の歌を思い出し、
話して聞かせたらおおいにウケた。
ポルトガルの田舎生活では、ヤギのリスク(?)もまだ健在だ。
by poirier_AAA
| 2015-01-06 18:37
| 日々の断片
|
Comments(8)
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fusk
at 2015-01-06 19:22
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昨夜。須賀敦子の「トリエステの坂道」を読んでいました。
1970年代の話だから。今とは比べられないかもしれませんが
その頃のミラノの庶民はやっぱり銀行を信じてない。
へそくりは札をくるくる巻いて輪ゴムでぱちんとめて
ベットの下に?かくしていたらしい。
「銀行なんて金持ちが行く所さ」と言う姑の言葉。
今でもイタリアの庶民なら言いそうな言葉ですね。
1970年代の話だから。今とは比べられないかもしれませんが
その頃のミラノの庶民はやっぱり銀行を信じてない。
へそくりは札をくるくる巻いて輪ゴムでぱちんとめて
ベットの下に?かくしていたらしい。
「銀行なんて金持ちが行く所さ」と言う姑の言葉。
今でもイタリアの庶民なら言いそうな言葉ですね。
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cazorla at 2015-01-06 19:25
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poirier_AAA at 2015-01-07 17:49
>fuskさん、こんにちは。
今のミラノなら、ほとんどパリと変わらないかもしれませんね。東京ほど「何でも便利!」ではないにしろ、適度に現代的な生活を送っているのじゃないでしょうか。
これがポルトガルの田舎に行くと、未だに30年40年前の感覚を持って生きている人たちがいるのです。銀行を信じないだけでなく、政府とか自治体のサービスなんかもほとんど信じていない。そんなのに頼る気はないとばかりに、親類縁者や隣近所のネットワークを駆使して、お互いに助け合っているんですよ。で、そういうやり方が、むかし東京から直接行った時にはものすごくプリミティブに見えたのです。フランスに住み慣れた今は、逆にものすごく理にかなった生活の仕方(基本的な共同体の在り方)なんじゃないかと思われたりして。
まぁ、貯め込んだお金のことを忘れてしまうリスクは常にあるんですけど(笑)。
今のミラノなら、ほとんどパリと変わらないかもしれませんね。東京ほど「何でも便利!」ではないにしろ、適度に現代的な生活を送っているのじゃないでしょうか。
これがポルトガルの田舎に行くと、未だに30年40年前の感覚を持って生きている人たちがいるのです。銀行を信じないだけでなく、政府とか自治体のサービスなんかもほとんど信じていない。そんなのに頼る気はないとばかりに、親類縁者や隣近所のネットワークを駆使して、お互いに助け合っているんですよ。で、そういうやり方が、むかし東京から直接行った時にはものすごくプリミティブに見えたのです。フランスに住み慣れた今は、逆にものすごく理にかなった生活の仕方(基本的な共同体の在り方)なんじゃないかと思われたりして。
まぁ、貯め込んだお金のことを忘れてしまうリスクは常にあるんですけど(笑)。
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poirier_AAA at 2015-01-07 18:05
>cazorlaさん、こんにちは。
カソルラさんのお住まいのあたりでは、こんな長閑な話はないですか?
もっとも、これは60代70代くらいの人の話で、若い世代(20代から40代くらい)になると、お金を隠しておくような余裕すらなくてキリキリ舞いしている人が多い印象です。去年の夏にポルトガルに行ったときも、不景気で将来の希望が持てないと複数の人が話していました。ポルトガルだけじゃなく、スペインも似たような感じですよね。
え〜100万円出て来たら嬉しいですよ。家族4人で豪華旅行に行かれる。(でも、本当に出て来たらそんなに派手には使えないのです。気が小さいから)
カソルラさんのお住まいのあたりでは、こんな長閑な話はないですか?
もっとも、これは60代70代くらいの人の話で、若い世代(20代から40代くらい)になると、お金を隠しておくような余裕すらなくてキリキリ舞いしている人が多い印象です。去年の夏にポルトガルに行ったときも、不景気で将来の希望が持てないと複数の人が話していました。ポルトガルだけじゃなく、スペインも似たような感じですよね。
え〜100万円出て来たら嬉しいですよ。家族4人で豪華旅行に行かれる。(でも、本当に出て来たらそんなに派手には使えないのです。気が小さいから)
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cazorla at 2015-01-07 20:08
隠してるのは黒いお金らしいです。 それはけっこう多い。
でも老人たちは 銀行に持って行って ついでに 畑でできたピーマンを市場の倍の値段で売ってる。銀行員に。
にこにこして買っているのは かなり預金をもっているのだろうと想像してます。 おとなりのばあさん。 私にもうりつけようとしたんで 夫がセニョーラ ピーマン と呼んでます。
でも老人たちは 銀行に持って行って ついでに 畑でできたピーマンを市場の倍の値段で売ってる。銀行員に。
にこにこして買っているのは かなり預金をもっているのだろうと想像してます。 おとなりのばあさん。 私にもうりつけようとしたんで 夫がセニョーラ ピーマン と呼んでます。
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poirier_AAA at 2015-01-09 19:55
>cazorlaさん、こんにちは。
黒いお金が申告しないお金ということなら、そういうお小遣い稼ぎみたいなことは、ポルトガルでもフランスでも結構ありますね。
でも、市場の倍はふっかけすぎ(笑)。それで買っちゃう方も買っちゃう方だと思うけれど。スペインだから、やっぱり赤ピーマンとか料理にたくさん使うのでしょうか。
黒いお金が申告しないお金ということなら、そういうお小遣い稼ぎみたいなことは、ポルトガルでもフランスでも結構ありますね。
でも、市場の倍はふっかけすぎ(笑)。それで買っちゃう方も買っちゃう方だと思うけれど。スペインだから、やっぱり赤ピーマンとか料理にたくさん使うのでしょうか。
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cazorla at 2015-01-10 20:10
ばいと言ってもスペイン 食べ物が安いので。。。
1ユーロが 2ユーロでした。 ピーマン いっぱい干してます。窓辺に。
1ユーロが 2ユーロでした。 ピーマン いっぱい干してます。窓辺に。
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poirier_AAA at 2015-01-12 18:41
>cazorlaさん、こんにちは。
フランスにもスペインの野菜や果物がたくさん入っています。値段は、たぶんパリ値段になっているからスペインで買うよりずいぶん高くなっていると思いますが(きっと1ユーロが2ユーロになってる)、それでもフランス産よりも安いかもしれません。フランス産って、それがブランドみたいなところがあるのです。
フランスにもスペインの野菜や果物がたくさん入っています。値段は、たぶんパリ値段になっているからスペインで買うよりずいぶん高くなっていると思いますが(きっと1ユーロが2ユーロになってる)、それでもフランス産よりも安いかもしれません。フランス産って、それがブランドみたいなところがあるのです。