2014年 02月 20日
反論はその場ですべし |
図書館の子どもコーナーに行った。
息子たちはDVDを借りるのを楽しみにしているので、
まっしぐらにDVDの棚を目指した。
その棚のすぐ近くでは、どこかのムッシュウが図書館の人と立ち話中。
ムッシュウの声が大きいので、聞くつもりはなくとも話が耳に入って来た。
こういうアニメが子どもの本離れの原因ですよ。
テレビをつければ日本のアニメを放送している、DVDはある、
それがまったく駄目というわけじゃないが、
こういう環境で子どもが本に手を伸ばすわけがない。
息子たちは「日本のアニメ」という言葉を耳にしてびくっとする。
びくっと反応した息子たちをムッシュウも視界に捉えて、
それが明らかにアジア人の風貌を持った母子だったので、
それ以上はキツい意見は言えなくなったのかもしれない、
なんとなく話を切り上げて部屋を出て行った。
ムッシュウが言うことも一理ある。
でも、彼は問題を完全にごっちゃに考えている。
日本のアニメが悪いわけでもなければ、
テレビがあることが悪いことなのでもない。
だって、選択肢はこちらにあるのだから。
子どもにアニメを与えるのは大人だ。
子どもをテレビの前に座らせるのも大人だ。
大人が楽しく集まっている時、
子どもはしばしば邪魔にならない場所に追いやられる。
そして、飽きることがないようにと大人はテレビをつけるのである。
朝、大人は出勤前の準備で忙しい。
先に子どもの用意をすませて、
自分の用意ができるまではテレビの前に座らせておく。
ヴァカンスに行く車の中で、列車の中で、
大人はタブレット経由で子どもにアニメを見せる。
ゲームで遊ばせておく。
こうしておけばとりあえず静かに過ごせるから。
これが日常ならば、
子どもはテレビがあるのは当たり前、と思うだろう。
これは大人がそう仕向けたことだ。
子どもは自分ではそんなことはできない。
子どもがつまらなそうにしているからテレビでもつけてやれば、
こう考える大人がいかに多いことか。
わたしはそちらが直接の原因だと思うけれどな。
‥‥というようなことを、割り込んで表明できるようになったら、
わたしもかなりフランスに馴染んだということになるのだろうけれど、
反論はほとんどの場合心の中にとどまったまま。
馴染んだ習慣はなかなか変えられない。
こっそりブログに書いたって、肝心の相手には伝わらないやね。
息子たちはDVDを借りるのを楽しみにしているので、
まっしぐらにDVDの棚を目指した。
その棚のすぐ近くでは、どこかのムッシュウが図書館の人と立ち話中。
ムッシュウの声が大きいので、聞くつもりはなくとも話が耳に入って来た。
こういうアニメが子どもの本離れの原因ですよ。
テレビをつければ日本のアニメを放送している、DVDはある、
それがまったく駄目というわけじゃないが、
こういう環境で子どもが本に手を伸ばすわけがない。
息子たちは「日本のアニメ」という言葉を耳にしてびくっとする。
びくっと反応した息子たちをムッシュウも視界に捉えて、
それが明らかにアジア人の風貌を持った母子だったので、
それ以上はキツい意見は言えなくなったのかもしれない、
なんとなく話を切り上げて部屋を出て行った。
ムッシュウが言うことも一理ある。
でも、彼は問題を完全にごっちゃに考えている。
日本のアニメが悪いわけでもなければ、
テレビがあることが悪いことなのでもない。
だって、選択肢はこちらにあるのだから。
子どもにアニメを与えるのは大人だ。
子どもをテレビの前に座らせるのも大人だ。
大人が楽しく集まっている時、
子どもはしばしば邪魔にならない場所に追いやられる。
そして、飽きることがないようにと大人はテレビをつけるのである。
朝、大人は出勤前の準備で忙しい。
先に子どもの用意をすませて、
自分の用意ができるまではテレビの前に座らせておく。
ヴァカンスに行く車の中で、列車の中で、
大人はタブレット経由で子どもにアニメを見せる。
ゲームで遊ばせておく。
こうしておけばとりあえず静かに過ごせるから。
これが日常ならば、
子どもはテレビがあるのは当たり前、と思うだろう。
これは大人がそう仕向けたことだ。
子どもは自分ではそんなことはできない。
子どもがつまらなそうにしているからテレビでもつけてやれば、
こう考える大人がいかに多いことか。
わたしはそちらが直接の原因だと思うけれどな。
‥‥というようなことを、割り込んで表明できるようになったら、
わたしもかなりフランスに馴染んだということになるのだろうけれど、
反論はほとんどの場合心の中にとどまったまま。
馴染んだ習慣はなかなか変えられない。
こっそりブログに書いたって、肝心の相手には伝わらないやね。
by poirier_AAA
| 2014-02-20 01:37
| 日々の断片
|
Comments(13)
Commented
by
germanmed at 2014-02-20 07:23
全く同感です。一人遊びができて大人の邪魔をしない子がいい子、という図式があって、自分が面倒臭いからテレビやコンピューターに子どもの相手をさせている大人の、何と多い事か。
声が枯れるまで読み聞かせさせられて、でも私が読むのをしょっちゅう遮っては質問やコメントを挟んだり、言葉を繰り返して言って覚えていく様子を見ては、「うん、それが対話の始まりだよな。テレビやCDでは待ったり答えたりしてくれないもの、おかしいよなー」と思いました。
そんな梨の木さんの息子さん達なら、きっとそのうち割って入って反論してくれるようになるので、梨の木さんはブログに専念でいいと思います。ふふ。
声が枯れるまで読み聞かせさせられて、でも私が読むのをしょっちゅう遮っては質問やコメントを挟んだり、言葉を繰り返して言って覚えていく様子を見ては、「うん、それが対話の始まりだよな。テレビやCDでは待ったり答えたりしてくれないもの、おかしいよなー」と思いました。
そんな梨の木さんの息子さん達なら、きっとそのうち割って入って反論してくれるようになるので、梨の木さんはブログに専念でいいと思います。ふふ。
0
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-20 10:36
伝わっても変わらないかも。
と考えるのが日本のオジサンかな。
と考えるのが日本のオジサンかな。
Commented
by
milletti_naoko at 2014-02-20 19:46
幼い頃、親といっしょに読書をした経験があると、読書が暮らしの一部となり、生涯本を読み続ける習慣がつき、読書を愛する大人になるようだ。というのが、約20年前に勤めていた、図書貸し出し数が他校に比べて倍だった高校で、生徒や保護者に対するアンケートを実施した研究結果でした。『星の王子さま』にもあるように、いつの世も大人は忙しがってきたのでしょうが、共働きの家庭も多く、電気製品が便利になって生み出された時間を吸収して余る余暇活動や幼児にも追われ、皆が忙しがって、本当に大切なこと、子供と一緒に過ごすことをなおざりにしつつあることも、おっしゃるように、読書離れの大きな原因だと思います。週末や学校の休みに、姪たちと接するだけでも、子供が複数いると、なかなか用事が進まないという事情も推測できます。そうして親自体が、読書に費やす時間が減ってきていることも、やはり子供は親の言うことではなくすることをまねるので、読書離れが進む原因のような気もします。(つづく)
Commented
by
milletti_naoko at 2014-02-20 19:46
(上からの続きです。長くなってすみません。)高校入試の課題で「読書の大切さ」が課題だったとき、「読書をすると国語の成績が上がるから」という悲しい作文のなんと多かったことか。自分では本を読まないので、本を読む本当の楽しさは伝えられず、効用だけを語る中学校の先生や親御さんが多いのでしょう。
フランスではイタリアと違って、子供を読書に誘う環境がスーパーでも家庭でも整っている、クリスマスには本を贈ろうなどという記事をイタリアでよく見かけるのですが、そうすると、フランスでも読書離れが進んでいるんですね。
今回の考察を踏まえて、梨の木さん、次回はきっと反論がきちんとできますよ。
フランスではイタリアと違って、子供を読書に誘う環境がスーパーでも家庭でも整っている、クリスマスには本を贈ろうなどという記事をイタリアでよく見かけるのですが、そうすると、フランスでも読書離れが進んでいるんですね。
今回の考察を踏まえて、梨の木さん、次回はきっと反論がきちんとできますよ。
Commented
by
fusk
at 2014-02-21 06:05
x
息子は子供の頃。百科事典や図鑑しか興味を持たなかったので
本が嫌いなのかと思っていましたが。こう言う事も個人差かと ほっておいたら16歳位で突然目覚めて?読み出しました。
家にテレビもパソコンも無かったからかもしれません。
反論。。。。
例え日本語でも、私はおそらくやらないなあ。。。。。日本人だから?でしょうか。
本が嫌いなのかと思っていましたが。こう言う事も個人差かと ほっておいたら16歳位で突然目覚めて?読み出しました。
家にテレビもパソコンも無かったからかもしれません。
反論。。。。
例え日本語でも、私はおそらくやらないなあ。。。。。日本人だから?でしょうか。
Commented
at 2014-02-21 07:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:11
>germanmedさん、こんにちは。
自分の子どもを見ていると感じるのですが、子どもが親にまとわりついてくる時期なんてそれほど長くは続かないのです。小学生くらいになると学校(社会)との関わりの割合がどんどん大きくなってきますし。
そのたかだか10年がそんなに惜しいか、とわたしは言いたくなってしまうんです。だって、大人って40年を越えて同じ会社で働く人もいれば、35年間住宅ローンを抱え続けたりしますよね。それと比べると子どもとの10年間がいかに喜びに満ちていることか。
そりゃあ確かに騒々しいですし家の中も汚れますけど(笑)、この時間を大切にしたいです。男の子だからそのうちしゃべってくれなくなるかもと思いながら、今はせっせとおしゃべりを楽しんでいるところですよ。
自分の子どもを見ていると感じるのですが、子どもが親にまとわりついてくる時期なんてそれほど長くは続かないのです。小学生くらいになると学校(社会)との関わりの割合がどんどん大きくなってきますし。
そのたかだか10年がそんなに惜しいか、とわたしは言いたくなってしまうんです。だって、大人って40年を越えて同じ会社で働く人もいれば、35年間住宅ローンを抱え続けたりしますよね。それと比べると子どもとの10年間がいかに喜びに満ちていることか。
そりゃあ確かに騒々しいですし家の中も汚れますけど(笑)、この時間を大切にしたいです。男の子だからそのうちしゃべってくれなくなるかもと思いながら、今はせっせとおしゃべりを楽しんでいるところですよ。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:15
>tocotoco-o3poさん、こんにちは。
話し言葉はその場で立ち消えてしまいますが、書き言葉は残ります。そういう意味ではちょっと同列には考えられないですね。
フランスには、もう40年くらい前から日本のアニメが入っていて、人気があるのです。先日は「グレンダイザー」という日本のテレビアニメがDVDボックスになっているのを見つけてびっくりしました。
話し言葉はその場で立ち消えてしまいますが、書き言葉は残ります。そういう意味ではちょっと同列には考えられないですね。
フランスには、もう40年くらい前から日本のアニメが入っていて、人気があるのです。先日は「グレンダイザー」という日本のテレビアニメがDVDボックスになっているのを見つけてびっくりしました。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:19
>saheiziさん、こんにちは。
相手の意見を変えるのが目的ではない、ような気がします。
とりあえず自分の意見を言うこと、それがひょっとしたら相手に再考のキッカケを与えることになるかもしれませんし。
こういう街角の意見交換は、大人の娯楽のひとつだと感じています。
相手の意見を変えるのが目的ではない、ような気がします。
とりあえず自分の意見を言うこと、それがひょっとしたら相手に再考のキッカケを与えることになるかもしれませんし。
こういう街角の意見交換は、大人の娯楽のひとつだと感じています。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:38
>milletti_naokoさん、こんにちは。
現代社会ってものが溢れているんですよね。テレビとかゲームだけではありません。クリスマスだ誕生日だと理由を付けて、大人は子どもにたっぷりと贈り物をしますし。物がなくて困る、自分で工夫してなんとか凌ぐ、という経験のない子もとてもおおいのではないでしょうか。それだけ身の回りが騒々しかったら、ちょっと本でも読んでみようか、と考えるチャンスも巡って来ないのではないかと思うのです。
読書は、わたしにとっては純粋に娯楽です。読みたいから読む、それ以上でもそれ以下でもないと思っています。だから正直に言いますと「読書の大切さ」というタイトルを出されたら、強烈に反発していたと思います(笑)。だって「読書=大切」と既に答えが出てしまっていますから。内容は書く前から呈示されているじゃないか、と。それよりもフランスの哲学の試験風に「読書は人生に必要な行動であるか?」というようなタイトルにしてもらえると、俄然書く気がでてくると思うんですよね。
現代社会ってものが溢れているんですよね。テレビとかゲームだけではありません。クリスマスだ誕生日だと理由を付けて、大人は子どもにたっぷりと贈り物をしますし。物がなくて困る、自分で工夫してなんとか凌ぐ、という経験のない子もとてもおおいのではないでしょうか。それだけ身の回りが騒々しかったら、ちょっと本でも読んでみようか、と考えるチャンスも巡って来ないのではないかと思うのです。
読書は、わたしにとっては純粋に娯楽です。読みたいから読む、それ以上でもそれ以下でもないと思っています。だから正直に言いますと「読書の大切さ」というタイトルを出されたら、強烈に反発していたと思います(笑)。だって「読書=大切」と既に答えが出てしまっていますから。内容は書く前から呈示されているじゃないか、と。それよりもフランスの哲学の試験風に「読書は人生に必要な行動であるか?」というようなタイトルにしてもらえると、俄然書く気がでてくると思うんですよね。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:49
naokoさん、続きです。
たしかにフランスは大きめのスーパーなら本も売っていたりしますね。イタリアにはありませんか?ただ、これが読書を勧める役にたっているかというと、些か疑わしい気もするのです。読みやすい本、ベストセラー、子ども関係ならキャラクター系がどうしても多くなってしまいますから、結局商業路線での品揃えなんですよね。いわゆる街の本屋さんに入る人は、やはり限られているような気がします。
反論できるできないというより、意見交換を楽しむ気があるかないか、かもしれません。延々としたおしゃべりがまだ面倒くさいのです。
たしかにフランスは大きめのスーパーなら本も売っていたりしますね。イタリアにはありませんか?ただ、これが読書を勧める役にたっているかというと、些か疑わしい気もするのです。読みやすい本、ベストセラー、子ども関係ならキャラクター系がどうしても多くなってしまいますから、結局商業路線での品揃えなんですよね。いわゆる街の本屋さんに入る人は、やはり限られているような気がします。
反論できるできないというより、意見交換を楽しむ気があるかないか、かもしれません。延々としたおしゃべりがまだ面倒くさいのです。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 20:58
>fuskさん、こんにちは。
そんな、fuskさんのように本に囲まれていらっしゃる方の近くで育って、本が嫌いになるはずがありませんよ。毎日が宝の山に囲まれているような感じですもの。本当にうらやましいです。
それに百科事典って面白いですよ。わたしも小さい頃よく読みました。百科事典とか図鑑の文章って、今のもの(子どもに媚びているもの)はどうかわかりませんが、素っ気ないようで妙に情熱的に細かかったりして、下手な子ども向けの本より楽しいんです。
わたしはおしゃべりですが、フランス人のおしゃべり好きには負けます。彼らの議論も、きっと延々と喋り続けたいからするんだろうなぁ、なんて思いながら見ています。
そんな、fuskさんのように本に囲まれていらっしゃる方の近くで育って、本が嫌いになるはずがありませんよ。毎日が宝の山に囲まれているような感じですもの。本当にうらやましいです。
それに百科事典って面白いですよ。わたしも小さい頃よく読みました。百科事典とか図鑑の文章って、今のもの(子どもに媚びているもの)はどうかわかりませんが、素っ気ないようで妙に情熱的に細かかったりして、下手な子ども向けの本より楽しいんです。
わたしはおしゃべりですが、フランス人のおしゃべり好きには負けます。彼らの議論も、きっと延々と喋り続けたいからするんだろうなぁ、なんて思いながら見ています。
Commented
by
poirier_aaa at 2014-02-22 21:21
>鍵コメさん、こんにちは。
なるほど、そういう勉強の仕方がありましたか。
わたしは頭の中で自分の理屈を練り上げるだけで満足してしまい、別に人に聞いてもらわなくてもいいやと思ってしまうんです。そこらへんがいまひとつ言葉が上手くならない理由かもしれませんね。
本を読む子どもがいい親子関係の中で育っているかと言うと、そんな単純な話ではないだろうと思っています。ただ、本を読むことを知っていれば、それによって助けられることもあるでしょう。それが上手く作用してくれるといいのですが。
なるほど、そういう勉強の仕方がありましたか。
わたしは頭の中で自分の理屈を練り上げるだけで満足してしまい、別に人に聞いてもらわなくてもいいやと思ってしまうんです。そこらへんがいまひとつ言葉が上手くならない理由かもしれませんね。
本を読む子どもがいい親子関係の中で育っているかと言うと、そんな単純な話ではないだろうと思っています。ただ、本を読むことを知っていれば、それによって助けられることもあるでしょう。それが上手く作用してくれるといいのですが。