2013年 08月 03日
不景気のあおり |
毎年毎年通っているポルトガルですが、
同じように長閑な時間が流れているように見えても、
細かいところで少しずつ変化があります。
1年ぶりにお気に入りの村のレストランに行ってみました。
これまでは昼食時でもアラカルトで料理を選べる店だったのに、
今年は定食(3種類のメニュー)から選ぶように変わっていました。
アペリティフの小皿と選んだ1品とデザートとコーヒー、
これ全部で大人1人8.5ユーロです。
パリで8ユーロなんて、サンドイッチ定食くらいしか買えません。
これだけお腹いっぱい食べられて、この値段でやっていけるのか?と思いますが、
まわりにはもっと安いレストランがあるので、ここは苦戦しているらしいです。
ふと気がつくと確かに来ているのはヴァカンス客がほとんど。
この近隣で、庶民がお昼を食べに行くのに抵抗がない値段は
どうやら7ユーロ台らしいのです。(飲み物代は別)
不景気で失業率もすごく高いポルトガルですから、
庶民が出費を抑えようとする気持ちはよくわかります。
そんな中でお客に来てもらうためには値段を低く抑えるしかありません。
かといって、これだけの質の食事を提供しながら、
この値段でどうやって材料費と人件費を捻出しているのだろうと、
わたしたちは本当に心配になってしまうのです。
こんな田舎のレストランです。
材料だって地元で調達しているはず。
大量生産の野菜ではなくて、人が確かに手をかけて育てた野菜です。
しかも、定食とはいえ注文してから焼いてくれる料理です。
デザートも数は少ないし田舎風だけど自家製です。
炭火で焼いた肉や魚、きちんと人の手が作ったスープや付け合わせ、
フライドポテトだって冷凍じゃないものを揚げているという、
そりゃあ洗練されているとはお世辞にも言えないけれど、
恥ずかしくない「まともな」仕事をしている人達です。
こんなふうに一所懸命「まともな」仕事をしても
一日わずかしか収入を得られない人がたくさんいるのです。
一方、一日中椅子に座ってパソコンを眺めて、
自分では何一つ作り出さないくせに、
一瞬のうちに何万ユーロと稼いでしまう人もいます。
労働に貴賤なしというけれど、
こういう世の中ってなんだか変だと思わないではいられません。
ものをつくるって、一朝一夕ではできない尊い仕事なのに。
どうしてそれが安く買いたたかれてしまうんだろう。
思うことはただひとつ。
このお店、頑張って欲しい。
真面目に働いている人達が、
この先もちゃんと生きてゆけますように。
これが今年の1人分。(豚肉と牛肉の炭火焼)
日本人女性にとっては大盛りかもしれないけれど、
このくらいならぺろりと食べられるわたくしであります。
数年前と比べると盛りがかな〜り少なくなっていて、ちょっと寂しい。
P.S. 昨日からネットが急にサクサク使えるようになりました。
この違いってなんなのだろう? 明日は如何に?
同じように長閑な時間が流れているように見えても、
細かいところで少しずつ変化があります。
1年ぶりにお気に入りの村のレストランに行ってみました。
これまでは昼食時でもアラカルトで料理を選べる店だったのに、
今年は定食(3種類のメニュー)から選ぶように変わっていました。
アペリティフの小皿と選んだ1品とデザートとコーヒー、
これ全部で大人1人8.5ユーロです。
パリで8ユーロなんて、サンドイッチ定食くらいしか買えません。
これだけお腹いっぱい食べられて、この値段でやっていけるのか?と思いますが、
まわりにはもっと安いレストランがあるので、ここは苦戦しているらしいです。
ふと気がつくと確かに来ているのはヴァカンス客がほとんど。
この近隣で、庶民がお昼を食べに行くのに抵抗がない値段は
どうやら7ユーロ台らしいのです。(飲み物代は別)
不景気で失業率もすごく高いポルトガルですから、
庶民が出費を抑えようとする気持ちはよくわかります。
そんな中でお客に来てもらうためには値段を低く抑えるしかありません。
かといって、これだけの質の食事を提供しながら、
この値段でどうやって材料費と人件費を捻出しているのだろうと、
わたしたちは本当に心配になってしまうのです。
こんな田舎のレストランです。
材料だって地元で調達しているはず。
大量生産の野菜ではなくて、人が確かに手をかけて育てた野菜です。
しかも、定食とはいえ注文してから焼いてくれる料理です。
デザートも数は少ないし田舎風だけど自家製です。
炭火で焼いた肉や魚、きちんと人の手が作ったスープや付け合わせ、
フライドポテトだって冷凍じゃないものを揚げているという、
そりゃあ洗練されているとはお世辞にも言えないけれど、
恥ずかしくない「まともな」仕事をしている人達です。
こんなふうに一所懸命「まともな」仕事をしても
一日わずかしか収入を得られない人がたくさんいるのです。
一方、一日中椅子に座ってパソコンを眺めて、
自分では何一つ作り出さないくせに、
一瞬のうちに何万ユーロと稼いでしまう人もいます。
労働に貴賤なしというけれど、
こういう世の中ってなんだか変だと思わないではいられません。
ものをつくるって、一朝一夕ではできない尊い仕事なのに。
どうしてそれが安く買いたたかれてしまうんだろう。
思うことはただひとつ。
このお店、頑張って欲しい。
真面目に働いている人達が、
この先もちゃんと生きてゆけますように。
日本人女性にとっては大盛りかもしれないけれど、
このくらいならぺろりと食べられるわたくしであります。
数年前と比べると盛りがかな〜り少なくなっていて、ちょっと寂しい。
P.S. 昨日からネットが急にサクサク使えるようになりました。
この違いってなんなのだろう? 明日は如何に?
by poirier_AAA
| 2013-08-03 19:03
| ポルトガル
|
Comments(8)
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at 2013-08-04 00:29
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Mtonosama at 2013-08-04 06:27
わ~い、ポルトガルの食情報始まりました♪
この量で普通盛りですか?
ヨーロッパに行くといつも食べきれないわけですよね。
ポルトガル食事情とスイス食事情がどのくらい違うか
わからないけれど、チューリッヒ出身、日本在住のスイス人が
アメリカ西海岸へ行って、その食事の量の多さに
カルチャーショックを受けたそうです。
いったいどれほどの量だったんでしょう。
世界は広いな。ああ、また旅行をしたいなぁ。
この量で普通盛りですか?
ヨーロッパに行くといつも食べきれないわけですよね。
ポルトガル食事情とスイス食事情がどのくらい違うか
わからないけれど、チューリッヒ出身、日本在住のスイス人が
アメリカ西海岸へ行って、その食事の量の多さに
カルチャーショックを受けたそうです。
いったいどれほどの量だったんでしょう。
世界は広いな。ああ、また旅行をしたいなぁ。
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wildrose53 at 2013-08-04 15:38
美味しそうです。素朴な、誤魔化しのない、ちゃんと作られたご馳走ですね。
手間隙かけて生まれるものが、もっとも尊いと信じています。
今日、義母がじゃが芋の収穫をしました。
お天道さまのご都合に合わせるしかない、ちいさな畑のあるじが、祈りをこめて育てた一年分のじゃが芋。
こういうものを食べることのできる幸せに感謝しています。
経済、経済と騒ぐこの国も、こうしたまっとうな人たちが支えているのにね。
ポルトガルのこのお店、どうか、がんばって!
手間隙かけて生まれるものが、もっとも尊いと信じています。
今日、義母がじゃが芋の収穫をしました。
お天道さまのご都合に合わせるしかない、ちいさな畑のあるじが、祈りをこめて育てた一年分のじゃが芋。
こういうものを食べることのできる幸せに感謝しています。
経済、経済と騒ぐこの国も、こうしたまっとうな人たちが支えているのにね。
ポルトガルのこのお店、どうか、がんばって!
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fusk
at 2013-08-06 23:00
x
ほんとうに。パリの安食堂でも考えられない値段ですね。
そしてこんな風な素朴なレストランがどんどん無くなる。
スペイン国境に近い鄙びた村で。
ここ数年ヴァカンスを過ごしたのですが。
村の広場からキャフェやパン屋や万屋が無くなっていく。
経済効率や老人が少なくなるからなんでしょうけれど。
なんとなく寂しい気がしてなりません。
そしてこんな風な素朴なレストランがどんどん無くなる。
スペイン国境に近い鄙びた村で。
ここ数年ヴァカンスを過ごしたのですが。
村の広場からキャフェやパン屋や万屋が無くなっていく。
経済効率や老人が少なくなるからなんでしょうけれど。
なんとなく寂しい気がしてなりません。
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poirier_AAA at 2013-08-10 17:38
>鍵コメさん、こんにちは。
返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
義両親が簡単な農園みたいなことをしているので、野菜を育てるのにどれだけ手間がかかるか、家畜1頭をどれだけ世話しているか、よく見えるのです。それをきちんと料理してくれる人がいて、サービスしてくれる人がいて、でそれが8ユーロの定食になるのかと思うと、なんだかいたたまれない気がするのですよね。あの時間と手間はなんだったのだろう、と。
楽をしてお金が稼げれば、それは誰だってそちらに行きたくなりますよね。それもわかるんですけど、だからといって人の手間まで安く買いたたくなよ、と言いたくなってしまいます。
ランチ、美味しそうでしょう?実際美味しいんですよ。特に炭火で焼いた肉が最高です。
返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
義両親が簡単な農園みたいなことをしているので、野菜を育てるのにどれだけ手間がかかるか、家畜1頭をどれだけ世話しているか、よく見えるのです。それをきちんと料理してくれる人がいて、サービスしてくれる人がいて、でそれが8ユーロの定食になるのかと思うと、なんだかいたたまれない気がするのですよね。あの時間と手間はなんだったのだろう、と。
楽をしてお金が稼げれば、それは誰だってそちらに行きたくなりますよね。それもわかるんですけど、だからといって人の手間まで安く買いたたくなよ、と言いたくなってしまいます。
ランチ、美味しそうでしょう?実際美味しいんですよ。特に炭火で焼いた肉が最高です。
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poirier_AAA at 2013-08-10 17:43
>mtonosamaさん、こんにちは。
なかなか返事が書けなくて申し訳ありませんでした。
これ、まごうことなく「普通盛り」です。これでも去年よりだいぶ軽くなったような気がするくらいです。前は大食いの人向きの普通盛り、今年は大食いの人にはちょっと軽めかな?という感じの普通盛りですかね。
旅行中のフランス人と話す機会があって、ポルトガルの食事はおいしいけど量が多くて毎回フォアグラ用の鴨になった気分がすると話したら、激しく同意されました。ポルトガルでは1日1食でも足りる(ほど1回の量が多い)というフランス人が結構いるんですよ。
なかなか返事が書けなくて申し訳ありませんでした。
これ、まごうことなく「普通盛り」です。これでも去年よりだいぶ軽くなったような気がするくらいです。前は大食いの人向きの普通盛り、今年は大食いの人にはちょっと軽めかな?という感じの普通盛りですかね。
旅行中のフランス人と話す機会があって、ポルトガルの食事はおいしいけど量が多くて毎回フォアグラ用の鴨になった気分がすると話したら、激しく同意されました。ポルトガルでは1日1食でも足りる(ほど1回の量が多い)というフランス人が結構いるんですよ。
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poirier_AAA at 2013-08-10 17:50
>wildroseさん、こんにちは。
そちらでもジャガイモの収穫が終わりましたか。こちらもいま、倉庫にジャガイモがいっぱい転がっていますよ。
じゃがいもって、美味しいですよね。日本ではあんまり思ったことがありませんでしたが、こちらに来て芋の美味しさに目覚めました。美味しくって、つい食べ過ぎてしまうのです。
芋もコメも他の野菜も果物も、みんな出来る時期が決まっているんですよね。それが、今は1年中お金さえ出せば買えるようになってしまって。肉も魚もすっかりきれいになった状態で買えちゃいますし。ほんとはそうじゃないのにね。
土に近い生活をしていると、学ぶことがいっぱいあります。そういう環境を少しでも経験できてありがたいと思います。
そちらでもジャガイモの収穫が終わりましたか。こちらもいま、倉庫にジャガイモがいっぱい転がっていますよ。
じゃがいもって、美味しいですよね。日本ではあんまり思ったことがありませんでしたが、こちらに来て芋の美味しさに目覚めました。美味しくって、つい食べ過ぎてしまうのです。
芋もコメも他の野菜も果物も、みんな出来る時期が決まっているんですよね。それが、今は1年中お金さえ出せば買えるようになってしまって。肉も魚もすっかりきれいになった状態で買えちゃいますし。ほんとはそうじゃないのにね。
土に近い生活をしていると、学ぶことがいっぱいあります。そういう環境を少しでも経験できてありがたいと思います。
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poirier_AAA at 2013-08-10 17:55
>fuskさん、こんにちは。
こういうものを食べてしまうと、パリの(フランスの)あの値段ばっかり高くて味のない食事はなんなのだ?と言いたくなってしまいますね。うちの家族が(フランスでは)外食嫌いな理由がわかるような気もします。
スペインもポルトガルも、どんどん庶民の元気がなくなっているような気がして心配なのです。成金っぽいチャラチャラした人たちがいくらお金をばらまいたところで、街の雰囲気は悪くなるばかり。やっぱり広場や店が地元のおじさんおばさんや子どもたちでにぎわう街じゃないと駄目なんですよね。
こういうものを食べてしまうと、パリの(フランスの)あの値段ばっかり高くて味のない食事はなんなのだ?と言いたくなってしまいますね。うちの家族が(フランスでは)外食嫌いな理由がわかるような気もします。
スペインもポルトガルも、どんどん庶民の元気がなくなっているような気がして心配なのです。成金っぽいチャラチャラした人たちがいくらお金をばらまいたところで、街の雰囲気は悪くなるばかり。やっぱり広場や店が地元のおじさんおばさんや子どもたちでにぎわう街じゃないと駄目なんですよね。