2013年 02月 10日
映画三昧 |
図書館から借りて来たDVD、
返却期限が迫っていたので、今週は集中的に観ました。
そんな映画の覚書。
【Les nuits de la pleine lune】(満月の夜)
エリック・ロメールの「喜劇と格言」シリーズの1つ。
製作は1984年。伊丹監督の「タンポポ」とぴったり同じ頃。
片方は80年代のパリで、もう片方は東京で。
そう思って比べてみると面白い。
ルキーニが見たくて借りた映画だったけれど、
パスカル・オジエというふわっふわの女性に目が釘付け。
恋人に縛られたくない、と自分独り用のアパルトマンを確保する彼女。
拘束されるのが嫌いなの。愛しているならそれを理解してくれなきゃ、
そう彼女は可愛く主張するのだけれど、
自分の主張ばかりで相手の主張には耳をかさない。
恋人の心が離れて行ってしまうのも、むべなるかな。
いつものことながら、ロメールの視線は意地悪だ。
この人って女性に幻想を持っていないんだろうな、と思う。
女性の若さや老い、ありのままの不格好さや見栄や愛嬌を見て取る人だ。
とことん我が儘な女性たちが、つぶさに観察されて、
でも、なぜだかだんだんと愛らしく見えて来る。
それがこの人の作る映画の面白いところ。
ルキーニは、いや〜な奴の役だった。
こういういやらしさを演ずることにかけて、彼はすごく上手い。
【Le ruban blanc】(白いリボン)
ミヒャエル・ハネケ監督の2009年の作品。
公開時に見逃してしまったので、DVDを見つけた時にとびついた。
すごく良かった。
白黒の映像の美しさにノックアウトされた。
どのカットも完璧な絵になる映像。
ほとんど笑わない、緊張した人の顔が美しかった。
いわゆる美醜という枠を越えた、人の顔の美しさ。
アウグスト・ザンダーの写真を思い出した。
語られない言葉、
語り尽くされない言葉、
映像が語る言葉。
じわじわと垣間見えてくる村人たちの姿。
心理戦のような作品が、いかにもハネケ監督作品で。
これはこーで、あれはあーだよね、
と、言語化してしまったら
目にしたばかりの世界が霧消してしまいそうな気がする。
こわくて、はかなくて、荒々しくて、静かな作品。
映画とは関係ないけれど、
最近子どものプチ反抗期に手を焼いているわたしは、
どうしたらあんなに静かな子どもになるんだろうと、
彼の時代の親子関係に思いを馳せたのであった。
【Johnny English - Le retour】
(ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬)
2011年、オリバー・パーカー監督。
Mr. ビーンのローワン・アトキンソンが主演する、
英国スパイ、ジョニー・イングリッシュの第2作目。
スカッと笑えるバカバカしさ。
ロメールにハネケの後には、こういう笑いが必要じゃない?
英語で聞くのが面倒だったので、フランス語吹替えで観た。
フランス語では「en」という綴りは「オン」という鼻母音になる。
ジョニ・オングリッシュ。
オングリッシュかぁ‥‥、と最後まで違和感がまとわりついた。
この3本と「タンポポ」と。全部で4本。
図書館からは1回に4本DVDが借りられるのです。
返却期限が迫っていたので、今週は集中的に観ました。
そんな映画の覚書。
【Les nuits de la pleine lune】(満月の夜)
エリック・ロメールの「喜劇と格言」シリーズの1つ。
製作は1984年。伊丹監督の「タンポポ」とぴったり同じ頃。
片方は80年代のパリで、もう片方は東京で。
そう思って比べてみると面白い。
ルキーニが見たくて借りた映画だったけれど、
パスカル・オジエというふわっふわの女性に目が釘付け。
恋人に縛られたくない、と自分独り用のアパルトマンを確保する彼女。
拘束されるのが嫌いなの。愛しているならそれを理解してくれなきゃ、
そう彼女は可愛く主張するのだけれど、
自分の主張ばかりで相手の主張には耳をかさない。
恋人の心が離れて行ってしまうのも、むべなるかな。
いつものことながら、ロメールの視線は意地悪だ。
この人って女性に幻想を持っていないんだろうな、と思う。
女性の若さや老い、ありのままの不格好さや見栄や愛嬌を見て取る人だ。
とことん我が儘な女性たちが、つぶさに観察されて、
でも、なぜだかだんだんと愛らしく見えて来る。
それがこの人の作る映画の面白いところ。
ルキーニは、いや〜な奴の役だった。
こういういやらしさを演ずることにかけて、彼はすごく上手い。
【Le ruban blanc】(白いリボン)
ミヒャエル・ハネケ監督の2009年の作品。
公開時に見逃してしまったので、DVDを見つけた時にとびついた。
すごく良かった。
白黒の映像の美しさにノックアウトされた。
どのカットも完璧な絵になる映像。
ほとんど笑わない、緊張した人の顔が美しかった。
いわゆる美醜という枠を越えた、人の顔の美しさ。
アウグスト・ザンダーの写真を思い出した。
語られない言葉、
語り尽くされない言葉、
映像が語る言葉。
じわじわと垣間見えてくる村人たちの姿。
心理戦のような作品が、いかにもハネケ監督作品で。
これはこーで、あれはあーだよね、
と、言語化してしまったら
目にしたばかりの世界が霧消してしまいそうな気がする。
こわくて、はかなくて、荒々しくて、静かな作品。
映画とは関係ないけれど、
最近子どものプチ反抗期に手を焼いているわたしは、
どうしたらあんなに静かな子どもになるんだろうと、
彼の時代の親子関係に思いを馳せたのであった。
【Johnny English - Le retour】
(ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬)
2011年、オリバー・パーカー監督。
Mr. ビーンのローワン・アトキンソンが主演する、
英国スパイ、ジョニー・イングリッシュの第2作目。
スカッと笑えるバカバカしさ。
ロメールにハネケの後には、こういう笑いが必要じゃない?
英語で聞くのが面倒だったので、フランス語吹替えで観た。
フランス語では「en」という綴りは「オン」という鼻母音になる。
ジョニ・オングリッシュ。
オングリッシュかぁ‥‥、と最後まで違和感がまとわりついた。
この3本と「タンポポ」と。全部で4本。
図書館からは1回に4本DVDが借りられるのです。
by poirier_AAA
| 2013-02-10 18:54
| 観る・鑑賞する
|
Comments(4)
Commented
by
saheizi-inokori at 2013-02-10 21:43
「白いリボン」はよかった。
内容は忘れましたが。
内容は忘れましたが。
0
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by
fusk
at 2013-02-11 02:49
x
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by
poirier_AAA at 2013-02-11 16:39
Commented
by
poirier_AAA at 2013-02-11 17:05
>fuskさん、こんにちは。
また少し寒さが戻ってきましたね。
「ゆったり」という言葉は、家族がいる週末には使えないんですよ〜。とにかく賑やかで忙しくて、全然落ち着けません。
それに昨日は大仕事があって、半日台所にかかり切りでした。
でも、こんなふうに寒いときは台所の温かさの中で過ごすのもいいですよね。オーブンの温かさが嬉しい季節です。
また少し寒さが戻ってきましたね。
「ゆったり」という言葉は、家族がいる週末には使えないんですよ〜。とにかく賑やかで忙しくて、全然落ち着けません。
それに昨日は大仕事があって、半日台所にかかり切りでした。
でも、こんなふうに寒いときは台所の温かさの中で過ごすのもいいですよね。オーブンの温かさが嬉しい季節です。