2011年 02月 20日
味をつける |
毎日毎日食事の用意をしていると、どうしても手のうちに入った、レシピを見なくてもできてしまう料理の登場回数が多くなります。でも、それでは食事に対するわくわく感が無くなってしまいます。だから同じ素材でも調理方法を変えたり、味付けを替えてみたり、ない頭をしぼって工夫を試みる毎日です。最近はネットにもレシピが惜しげなく載せられているので、あれやこれやと比較もできてとても便利ですよね。
そんなわけで日本のレシピ・サイトを参考にすることも多いのですが、実はしばらく前から気になっていることがあります。
日本の家庭料理のレシピって、使う調味料の量が多いのでは?
もちろん、日本のおかずは白いご飯と一緒に食べるのが前提なので、多少味がしっかり目のほうが美味しく感じることはわかります。でも、あまり作り込み過ぎたら、素材の味が消えてしまいます。
でもフランス料理だってたっぷりソースをかけるじゃない、と仰るかたもいらっしゃるでしょう。たしかにそうです。でも、フランスもこと家庭料理に関しては、味付けや調理方法はぴっくりするくらいシンプルで素材の味がダイレクトに出ているものが多い気がするのです。
例えば塊肉を焼くとき。日本だったら塩胡椒を始めとしていろいろなものを擦り込んだり、醤油や酒などで下味を付けるのが、ほとんど当然のお約束です。でも例えば塩胡椒や下味を付けるのを忘れたとしても、こんがりと焼き色がついた肉の旨味があるんですよ。いい色に焼き上がった肉はそれだけでも美味しいです。塩気が足りないと思う人は、食べる時にちょいと美味しい塩を振りかけるとか、マスタードを付けて食べるとか、それで結構美味しく食べられます。
同じく鶏肉や牛肉を塊のまま香味野菜と一緒に煮込んでいくと、塩を入れなくとも素晴らしい滋味溢れるスープが取れます。わたしは野菜でも肉でも最初は塩を入れません。十分に煮込んだ後で加減を見ながら塩を加え「味を整え」て仕上げるだけです。
フランスに来たばかりの最初の数ヶ月、まったく日本の調味料を持たないで過ごしているうちに、こんなふうに最低限の調味料(塩こしょう)で料理しても十分美味しく食べられることに気がつきました。そして、そのあとで読むようになったフランスの家庭料理のレシピも、基本的にはそれと何も変わらないことに気がつきました。
肉も野菜もそれだけで味に力があるんですよ。
だから、そんな料理に醤油のような強い味をたくさん加えたり、野菜や肉で美味しく味が出るはずのスープに必ずコンソメを入れたりするのは、なんだか勿体ないなぁなどと思ってしまいます。焼肉も豚の角煮も大好きで時々食べたくなるけれど、果たして肉が好きなのかタレの味が好きなのか、自分でも判然としません。
肉にたっぷりと味を付けて食べる和風(あるいはアジア風)料理は、こちらの人に言わせると「肉の味がわからないじゃない」。お寿司を醤油の中にどぼんと浸して食べる西洋人を見て日本人が「あんなことしたら魚の味が消えちゃう」と思う感覚と近いような気がします。日本人が新鮮な魚は刺身か塩焼きが一番と思うように、こちらの人たちは肉は熟れ加減と焼き加減を調節してシンプルに焼いて食べるのが一番、と思っているのかもしれません。どちらにも一理あって、だから魚や野菜が得意な和食からはその料理方法を、肉や煮込みが得意な西洋料理からはその調理方法を、いいとこ取りでいただいています。
昨夜は鶏の手羽元を焼き付けてからタレに絡めて照り焼きにしてみました。上手い具合に美しくテリも出て香りも良し。器に中高に盛り上げて仕上げに白ごまをぱらり。プレゼンテーションはバッチリだと思っていたんですが・・・・子どもには嫌われました。柔らかく煮た皮がイヤなんですって。彼らが好きなのは、塩胡椒だけで皮をパリッと焼き上げた鶏肉なんですよ。この柔らかく煮上がった甘辛味と白いご飯の組み合わせが美味しいのにねぇ。料理人の苦労、子知らず、なんだから。
そんなわけで日本のレシピ・サイトを参考にすることも多いのですが、実はしばらく前から気になっていることがあります。
日本の家庭料理のレシピって、使う調味料の量が多いのでは?
もちろん、日本のおかずは白いご飯と一緒に食べるのが前提なので、多少味がしっかり目のほうが美味しく感じることはわかります。でも、あまり作り込み過ぎたら、素材の味が消えてしまいます。
でもフランス料理だってたっぷりソースをかけるじゃない、と仰るかたもいらっしゃるでしょう。たしかにそうです。でも、フランスもこと家庭料理に関しては、味付けや調理方法はぴっくりするくらいシンプルで素材の味がダイレクトに出ているものが多い気がするのです。
例えば塊肉を焼くとき。日本だったら塩胡椒を始めとしていろいろなものを擦り込んだり、醤油や酒などで下味を付けるのが、ほとんど当然のお約束です。でも例えば塩胡椒や下味を付けるのを忘れたとしても、こんがりと焼き色がついた肉の旨味があるんですよ。いい色に焼き上がった肉はそれだけでも美味しいです。塩気が足りないと思う人は、食べる時にちょいと美味しい塩を振りかけるとか、マスタードを付けて食べるとか、それで結構美味しく食べられます。
同じく鶏肉や牛肉を塊のまま香味野菜と一緒に煮込んでいくと、塩を入れなくとも素晴らしい滋味溢れるスープが取れます。わたしは野菜でも肉でも最初は塩を入れません。十分に煮込んだ後で加減を見ながら塩を加え「味を整え」て仕上げるだけです。
フランスに来たばかりの最初の数ヶ月、まったく日本の調味料を持たないで過ごしているうちに、こんなふうに最低限の調味料(塩こしょう)で料理しても十分美味しく食べられることに気がつきました。そして、そのあとで読むようになったフランスの家庭料理のレシピも、基本的にはそれと何も変わらないことに気がつきました。
肉も野菜もそれだけで味に力があるんですよ。
だから、そんな料理に醤油のような強い味をたくさん加えたり、野菜や肉で美味しく味が出るはずのスープに必ずコンソメを入れたりするのは、なんだか勿体ないなぁなどと思ってしまいます。焼肉も豚の角煮も大好きで時々食べたくなるけれど、果たして肉が好きなのかタレの味が好きなのか、自分でも判然としません。
肉にたっぷりと味を付けて食べる和風(あるいはアジア風)料理は、こちらの人に言わせると「肉の味がわからないじゃない」。お寿司を醤油の中にどぼんと浸して食べる西洋人を見て日本人が「あんなことしたら魚の味が消えちゃう」と思う感覚と近いような気がします。日本人が新鮮な魚は刺身か塩焼きが一番と思うように、こちらの人たちは肉は熟れ加減と焼き加減を調節してシンプルに焼いて食べるのが一番、と思っているのかもしれません。どちらにも一理あって、だから魚や野菜が得意な和食からはその料理方法を、肉や煮込みが得意な西洋料理からはその調理方法を、いいとこ取りでいただいています。
昨夜は鶏の手羽元を焼き付けてからタレに絡めて照り焼きにしてみました。上手い具合に美しくテリも出て香りも良し。器に中高に盛り上げて仕上げに白ごまをぱらり。プレゼンテーションはバッチリだと思っていたんですが・・・・子どもには嫌われました。柔らかく煮た皮がイヤなんですって。彼らが好きなのは、塩胡椒だけで皮をパリッと焼き上げた鶏肉なんですよ。この柔らかく煮上がった甘辛味と白いご飯の組み合わせが美味しいのにねぇ。料理人の苦労、子知らず、なんだから。
by poirier_AAA
| 2011-02-20 21:16
| 味わう
|
Comments(2)
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kanafr at 2011-02-21 05:39
かなり前の話で恐縮ですが、久しぶり日本に帰国した時、あまりにも普通の野菜に味がなくビックリしました。
水がドンドン悪くなっている時だったかもしれませんが、こちらで和食もどきしか食べていないので、たびたびお寿司やさんや和食やさんに行きました。でもそういうところで、出されるお味噌汁やお吸い物を飲んでビックリ。
お出しやお味噌の香りじゃなく、なんか化学的な香りがし、思わずウッ!となって「なんか匂いがするね」と一緒に行った日本に住んでいる友人やおばや姪に聞いてみました。
でもみんなは、「な~んにも。美味しいね」と言ったのでこれまたビックリでした。
この経験は日本滞在中ずっと感じていて、味が濃くなったりピリ辛になるのは、野菜や肉の本来の味がないせいじゃないかなって思った事があります。
水がドンドン悪くなっている時だったかもしれませんが、こちらで和食もどきしか食べていないので、たびたびお寿司やさんや和食やさんに行きました。でもそういうところで、出されるお味噌汁やお吸い物を飲んでビックリ。
お出しやお味噌の香りじゃなく、なんか化学的な香りがし、思わずウッ!となって「なんか匂いがするね」と一緒に行った日本に住んでいる友人やおばや姪に聞いてみました。
でもみんなは、「な~んにも。美味しいね」と言ったのでこれまたビックリでした。
この経験は日本滞在中ずっと感じていて、味が濃くなったりピリ辛になるのは、野菜や肉の本来の味がないせいじゃないかなって思った事があります。
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poirier_AAA at 2011-02-21 07:06
>Kanafrさん、こんばんは。
そうかもしれませんね。先日の農業の話と繋がってくるのでしょうが、味よりも規格を大事にする流通システムの悪影響も大きいような気がします。安い輸入野菜も多く入って来ていますしね。わたしの実家は田舎なので、農家直送の季節の野菜も手に入ります。そういうのは不揃いだけれど全然味が違いますよね。
わたしはこちらに来た当初、肉のニオイが気になって困りました。日本にいた時は肉が臭うなんて考えたこともなかったのです。でも、多分臭う方が普通ですよね。こちらにいると、良くも悪くも「あるがまま」に触れることが多いと感じます。
そうかもしれませんね。先日の農業の話と繋がってくるのでしょうが、味よりも規格を大事にする流通システムの悪影響も大きいような気がします。安い輸入野菜も多く入って来ていますしね。わたしの実家は田舎なので、農家直送の季節の野菜も手に入ります。そういうのは不揃いだけれど全然味が違いますよね。
わたしはこちらに来た当初、肉のニオイが気になって困りました。日本にいた時は肉が臭うなんて考えたこともなかったのです。でも、多分臭う方が普通ですよね。こちらにいると、良くも悪くも「あるがまま」に触れることが多いと感じます。