2011年 01月 03日
うつりかわり |
年末年始は家族で集まる機会に事欠きません。久しぶりに会う人がまた、いろいろなニュースを届けてくれます。
どこそこの子が結婚が決まったとか、あと数ヶ月で2人目の子どもが生まれるカップルがいるとかといった良い話がある一方で、離婚の話とか相続争いが原因で関係を絶った兄弟姉妹の噂も入ってきます。
ショックだったのは、わたしたちの結婚式に来てくれた、わたしたちと同世代の夫婦がついに離婚してしまったことでした。彼らには3人の子どもがいます。わたしたちの結婚した年に3人目が生まれ、赤ちゃんを連れて式に出てくれたのです。結婚式後の宴会では、ダンスが下手なわたしたち夫婦を見かねて、奥さんが夫を、旦那さんがわたしをリードして踊らせてくれたりしました。公式の宴会のあとは若いカップルだけが集まって朝8時まで大騒ぎ。夜明けの寒い海岸でみんなで震えながらシャンパンを飲んだりしたのです。
2年くらい前の夏休みに会った時、前と様子が違うことにすぐ気がつきました。それまでは端で見ていてドキドキするくらい仲のいいカップルだったのに、その年は業務連絡程度しか言葉を交わそうとしません。
その後いろいろあって、一時はもとのさやに収まるかと思われたものの、やはり一度離れてしまった心を結びつけるのは並大抵のことではなかったと見えます。
可哀想なのは子どもたちです。この数年間、家庭を気にしなくなった母親に替わって年上の女の子がずっと下の子の面倒を見ていたのだそうです。中学生で勉強も大事な時期なのに、彼女は下の子の世話をするので落ち着いて勉強することもできません。それでも本当に心根の優しい子なのです。お父さんとお母さんのどちらも大好きで、もはや交流することもなくなってしまった父方と母方の親戚の間に立って、健気に親を庇う発言をしているのだそうです。
こういう話を聞くのは辛いです。
知り合った当時から仲違いしていたのならまだしも、一緒に楽しく過ごした良い思い出がある人たちです。こちらは今でも暖かいものを心に抱いているのに、彼らは今、そんな思い出のことは考えたくもない、一刻も早く忘れたいと思っているのかもしれません。
人と人との関係に、第三者であるわたしが口を挟むことはできません。人はみな、それぞれ違った立場で生きていて、様々な考え方をするものです。そんな人間同士が、何かほんの小さなすれ違いをキッカケに心が離れてしまう。それぞれが生きて毎日少しずつ変化している以上、関係が良くなったり悪くなったりすることがあるのも、ある意味当然の成り行きだと言えます。
それでも、関係を断ち切った人の話を聞くのは辛い。
当人同士はもっと辛くてもっと大変な思いを味わっているはずで、それとは比ぶべくもないとわかっていても、それでも辛い。どちらも大切な人なので、余計に辛い。彼らの傍にいて毎日の生活の中でその気持ちを味わっている子どもたちのことを考えると、本当にやりきれなくなります。わたしでできることがあるなら、どんなことでもしたい。でもこれは第三者が不用意に介入していい問題でもありません。
遠い故郷の風景や家族、友人たちが、いつまでも変わらず昔のようでいて欲しいと願うのは、離れて暮らす者のエゴだと言われても仕方ありません。その場で生きていない傍観者の無責任な期待ともいえるのです。人の心が離れてしまうことだってやはり仕方ないのです。
でも、できることならせっかくできた縁は大事にしたい。風土と先祖から脈々と受け継いで来た物だって己の都合で簡単に壊してしまいたくはない。人間の一生なんてほんの一瞬のこと。その一瞬のあいだに生まれた人や物との無数の関係は、信じられないほどの偶然が重なって生まれた奇跡みたいなものです。自分の人生にこの先何が待ち構えているのか、当然ながら予想はつきません。だから今はせめて、あなたのことが大事だと折に触れて相手に伝える努力を惜しむまいと思うのです。
どこそこの子が結婚が決まったとか、あと数ヶ月で2人目の子どもが生まれるカップルがいるとかといった良い話がある一方で、離婚の話とか相続争いが原因で関係を絶った兄弟姉妹の噂も入ってきます。
ショックだったのは、わたしたちの結婚式に来てくれた、わたしたちと同世代の夫婦がついに離婚してしまったことでした。彼らには3人の子どもがいます。わたしたちの結婚した年に3人目が生まれ、赤ちゃんを連れて式に出てくれたのです。結婚式後の宴会では、ダンスが下手なわたしたち夫婦を見かねて、奥さんが夫を、旦那さんがわたしをリードして踊らせてくれたりしました。公式の宴会のあとは若いカップルだけが集まって朝8時まで大騒ぎ。夜明けの寒い海岸でみんなで震えながらシャンパンを飲んだりしたのです。
2年くらい前の夏休みに会った時、前と様子が違うことにすぐ気がつきました。それまでは端で見ていてドキドキするくらい仲のいいカップルだったのに、その年は業務連絡程度しか言葉を交わそうとしません。
その後いろいろあって、一時はもとのさやに収まるかと思われたものの、やはり一度離れてしまった心を結びつけるのは並大抵のことではなかったと見えます。
可哀想なのは子どもたちです。この数年間、家庭を気にしなくなった母親に替わって年上の女の子がずっと下の子の面倒を見ていたのだそうです。中学生で勉強も大事な時期なのに、彼女は下の子の世話をするので落ち着いて勉強することもできません。それでも本当に心根の優しい子なのです。お父さんとお母さんのどちらも大好きで、もはや交流することもなくなってしまった父方と母方の親戚の間に立って、健気に親を庇う発言をしているのだそうです。
こういう話を聞くのは辛いです。
知り合った当時から仲違いしていたのならまだしも、一緒に楽しく過ごした良い思い出がある人たちです。こちらは今でも暖かいものを心に抱いているのに、彼らは今、そんな思い出のことは考えたくもない、一刻も早く忘れたいと思っているのかもしれません。
人と人との関係に、第三者であるわたしが口を挟むことはできません。人はみな、それぞれ違った立場で生きていて、様々な考え方をするものです。そんな人間同士が、何かほんの小さなすれ違いをキッカケに心が離れてしまう。それぞれが生きて毎日少しずつ変化している以上、関係が良くなったり悪くなったりすることがあるのも、ある意味当然の成り行きだと言えます。
それでも、関係を断ち切った人の話を聞くのは辛い。
当人同士はもっと辛くてもっと大変な思いを味わっているはずで、それとは比ぶべくもないとわかっていても、それでも辛い。どちらも大切な人なので、余計に辛い。彼らの傍にいて毎日の生活の中でその気持ちを味わっている子どもたちのことを考えると、本当にやりきれなくなります。わたしでできることがあるなら、どんなことでもしたい。でもこれは第三者が不用意に介入していい問題でもありません。
遠い故郷の風景や家族、友人たちが、いつまでも変わらず昔のようでいて欲しいと願うのは、離れて暮らす者のエゴだと言われても仕方ありません。その場で生きていない傍観者の無責任な期待ともいえるのです。人の心が離れてしまうことだってやはり仕方ないのです。
でも、できることならせっかくできた縁は大事にしたい。風土と先祖から脈々と受け継いで来た物だって己の都合で簡単に壊してしまいたくはない。人間の一生なんてほんの一瞬のこと。その一瞬のあいだに生まれた人や物との無数の関係は、信じられないほどの偶然が重なって生まれた奇跡みたいなものです。自分の人生にこの先何が待ち構えているのか、当然ながら予想はつきません。だから今はせめて、あなたのことが大事だと折に触れて相手に伝える努力を惜しむまいと思うのです。
by poirier_AAA
| 2011-01-03 19:36
| 日々の断片
|
Comments(3)
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by
kanafr at 2011-01-04 09:09
息子がまだ小学生の頃、同級生の中での離婚している家族や未婚で出産している数の多さにビックリした事があります。
大人達は“子供は慣れたもので、週末はパパの所普段は私と..”とか言っていましたが、決して子供は納得してその状況を受け入れているのではない事に気づかない大人が多い事、そして両方に気を使っている子供がどれだけ多いかを考えると胸が痛くなります。
その内少しづつ子供は心を閉ざしていくか、大人になろうと自分を意識づけていくかのどちらかです。
勿論親だって人間です。心の葛藤だってあるでしょう。昔と違ったと思う事もあるでしょう。でも相手が変わったように自分も変わった事に気づいていない人も多くいるように思います。相手を責める前に少しでも相手に優しさを見つける努力をするべきだと思うのです。
自分も相手の将来に責任を持つことが必要なんじゃないかと思います。
あなたの事が大事だと言葉にするのはとても必要ですよね。
言葉にしなくても分かるだろうという人がいますが、バカ言っているんじゃない!って私は思いますよ。超能力者じゃないんですから。
大人達は“子供は慣れたもので、週末はパパの所普段は私と..”とか言っていましたが、決して子供は納得してその状況を受け入れているのではない事に気づかない大人が多い事、そして両方に気を使っている子供がどれだけ多いかを考えると胸が痛くなります。
その内少しづつ子供は心を閉ざしていくか、大人になろうと自分を意識づけていくかのどちらかです。
勿論親だって人間です。心の葛藤だってあるでしょう。昔と違ったと思う事もあるでしょう。でも相手が変わったように自分も変わった事に気づいていない人も多くいるように思います。相手を責める前に少しでも相手に優しさを見つける努力をするべきだと思うのです。
自分も相手の将来に責任を持つことが必要なんじゃないかと思います。
あなたの事が大事だと言葉にするのはとても必要ですよね。
言葉にしなくても分かるだろうという人がいますが、バカ言っているんじゃない!って私は思いますよ。超能力者じゃないんですから。
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by
poirier_AAA at 2011-01-04 17:03
>Kanafrさん
そう、フランスは未婚も離婚も関係が複雑な複合家族もびっくりするくらい多いですよね。子ども向けの「両親が離婚してしまった」をテーマにした本の多いことにも驚きました。
でもどんなに事例が多かったとしても、子どもにとっては自分の馴染んだ家庭が唯一の居場所です。当の大人は何とでも気の晴らし様があるけれど、子どもの閉じた世界、大人に完全に依存した世界では逃げ場がありません。大人にどんな都合があったとしても、圧倒的に弱い立場にある子どもを思いやることだけは忘れてはいけないと思います。これは大人の責任です。
わたしも“肝心なことは口に出さないと伝わらないよ”派です。相手の耳に入るか、相手が自分の言葉を受け入れてくれるかは相手の問題で、ともかく自分としては可能な限り伝える努力をしようと思っています。
そう、フランスは未婚も離婚も関係が複雑な複合家族もびっくりするくらい多いですよね。子ども向けの「両親が離婚してしまった」をテーマにした本の多いことにも驚きました。
でもどんなに事例が多かったとしても、子どもにとっては自分の馴染んだ家庭が唯一の居場所です。当の大人は何とでも気の晴らし様があるけれど、子どもの閉じた世界、大人に完全に依存した世界では逃げ場がありません。大人にどんな都合があったとしても、圧倒的に弱い立場にある子どもを思いやることだけは忘れてはいけないと思います。これは大人の責任です。
わたしも“肝心なことは口に出さないと伝わらないよ”派です。相手の耳に入るか、相手が自分の言葉を受け入れてくれるかは相手の問題で、ともかく自分としては可能な限り伝える努力をしようと思っています。
Commented
at 2011-01-05 15:43
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