2010年 11月 10日
Gilles Paquet-Brenner「Elle s'appelait Sarah」 |
本を読んでから映画を見ようと頑張って読み終わったものの、あまりにも小説に心を揺さぶられてしまったので逆に映画を見るのが怖くなっていました。‥‥が、やっぱり行ってきました
「Elle s'appelait Sarah」。
この映画は先頃開催された東京国際映画祭でも上映されて賞をとったようです。邦題は「サラの瞳」。ちなみに邦訳されている本のタイトルは「サラの鍵」。ちょっとややこしいですね。
フランスでの上映は先月の13日からで、公開後もう1ヶ月も経っています。メジャーな映画館での上映はもう終わってしまい、小さな映画館に回されてしまっています。ほとんど貸し切りで見られるんじゃないかと思っていましたら、意外にも人気があるようで、特にお年を召したカップル中心に結構観客がいました。
映画自体の話をするのは、ちょっと難しいです。
だって、小説を読んじゃってますから。
映画で端折られている細部まで知っていますから。
ペーパーバックにして400ページの語るべき内容がたんまり入った作品を、2時間弱にまとめているのです。ある程度大胆に話を構成し直さなければならないことはわかります。でも、小説を知っているわたしは細部を記憶で補いながら見ているから話の流れもクリアなのですが、小説も読んでいない、ヴェル・ディヴのことも全く知らないという人が見た場合、話がきちんと伝わるのかどうか、これがわたしにはわからないのです。フランス人ならば歴史は知っています。だから話の真意が伝わり易い。けれど、まったく予備知識のない日本人や他の国の人が見た場合はどんなふうに伝わるんでしょうね。
でも、調べてみたら東京国際映画祭でも評判が良かったみたいなので、映画は映画として語るべき内容をきちんと伝えているということなんだと思います。
主人公のジュリアを演じたのはクリスティン・スコット=トーマス。アメリカ人という設定だけれど、彼女の顔つきと雰囲気は完全に欧州人だと思いました。信じるところに従って突き進んでいく芯の強さや繊細さがよく出ていて、好感が持てました。フランス語も違和感なしです。
それから、もう1人の主人公サラを演じた少女メリュジーヌ・マイヤンスも上手かったと思います。
全く本筋とは離れてしまいますが、ジゼル・カザドシュ(「la tête en friche」のおばあちゃん)の姿を見られたのが、個人的にはとても嬉しかった。彼女の雰囲気やしゃべり方がとても好きなんです。
映画自体は(多分)良く出来てい(るんだと思い)ますが、映画だけじゃなくて、できれば原作を読んでみて欲しいなぁと、やっぱり思ってしまいました。あー、全然映画のお勧めになっていませんね。いえ、映画の出来が悪いと言いたいのではないのです。それどころかとてもきちんと作ってあるのです。でも、その完成度をもってしても原作のダイジェスト版に過ぎないと申しましょうか、映画が良かったと思う人には是非原作を手に取ってみて欲しいと思わないではいられないのでした。
予告編はこちらでどうぞ。
http://www.commeaucinema.com/bandes-annonces/elle-s-appelait-sarah,164362
同じサイトで関係者のインタビュー映像が見られるのですが、それによると、作者がこの小説を書き上げた当時は出版を受け付けてくれる出版社がいなかったんだとか。それが2年後にようやく出版にこぎつけた途端、あっという間にベストセラーになったんだそうです。こんなに力のある作品でも、ひょっとしたら埋もれて日の目を見ることがなかったのかと思うと、なんだか巡り合わせの不思議を感じてしまいます。
本の感想はこちらで書いています。
「Elle s'appelait Sarah」。
この映画は先頃開催された東京国際映画祭でも上映されて賞をとったようです。邦題は「サラの瞳」。ちなみに邦訳されている本のタイトルは「サラの鍵」。ちょっとややこしいですね。
フランスでの上映は先月の13日からで、公開後もう1ヶ月も経っています。メジャーな映画館での上映はもう終わってしまい、小さな映画館に回されてしまっています。ほとんど貸し切りで見られるんじゃないかと思っていましたら、意外にも人気があるようで、特にお年を召したカップル中心に結構観客がいました。
映画自体の話をするのは、ちょっと難しいです。
だって、小説を読んじゃってますから。
映画で端折られている細部まで知っていますから。
ペーパーバックにして400ページの語るべき内容がたんまり入った作品を、2時間弱にまとめているのです。ある程度大胆に話を構成し直さなければならないことはわかります。でも、小説を知っているわたしは細部を記憶で補いながら見ているから話の流れもクリアなのですが、小説も読んでいない、ヴェル・ディヴのことも全く知らないという人が見た場合、話がきちんと伝わるのかどうか、これがわたしにはわからないのです。フランス人ならば歴史は知っています。だから話の真意が伝わり易い。けれど、まったく予備知識のない日本人や他の国の人が見た場合はどんなふうに伝わるんでしょうね。
でも、調べてみたら東京国際映画祭でも評判が良かったみたいなので、映画は映画として語るべき内容をきちんと伝えているということなんだと思います。
主人公のジュリアを演じたのはクリスティン・スコット=トーマス。アメリカ人という設定だけれど、彼女の顔つきと雰囲気は完全に欧州人だと思いました。信じるところに従って突き進んでいく芯の強さや繊細さがよく出ていて、好感が持てました。フランス語も違和感なしです。
それから、もう1人の主人公サラを演じた少女メリュジーヌ・マイヤンスも上手かったと思います。
全く本筋とは離れてしまいますが、ジゼル・カザドシュ(「la tête en friche」のおばあちゃん)の姿を見られたのが、個人的にはとても嬉しかった。彼女の雰囲気やしゃべり方がとても好きなんです。
映画自体は(多分)良く出来てい(るんだと思い)ますが、映画だけじゃなくて、できれば原作を読んでみて欲しいなぁと、やっぱり思ってしまいました。あー、全然映画のお勧めになっていませんね。いえ、映画の出来が悪いと言いたいのではないのです。それどころかとてもきちんと作ってあるのです。でも、その完成度をもってしても原作のダイジェスト版に過ぎないと申しましょうか、映画が良かったと思う人には是非原作を手に取ってみて欲しいと思わないではいられないのでした。
予告編はこちらでどうぞ。
http://www.commeaucinema.com/bandes-annonces/elle-s-appelait-sarah,164362
同じサイトで関係者のインタビュー映像が見られるのですが、それによると、作者がこの小説を書き上げた当時は出版を受け付けてくれる出版社がいなかったんだとか。それが2年後にようやく出版にこぎつけた途端、あっという間にベストセラーになったんだそうです。こんなに力のある作品でも、ひょっとしたら埋もれて日の目を見ることがなかったのかと思うと、なんだか巡り合わせの不思議を感じてしまいます。
本の感想はこちらで書いています。
by poirier_AAA
| 2010-11-10 17:51
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