2010年 07月 02日
年少クラス、最終日 |
今日でフランスの学校は終わり。今日の下校後から2ヶ月間の長い、なが〜い夏休みに入ります。
今朝の無料新聞は早速、今週末のバカンス出発第一陣による高速道路、空港、鉄道の混雑が予想されると大きく記事にしていました。これから8月末まで、週末の交通機関の混雑状況がニュースで流れます。毎朝楽しみにしている無料新聞も夏の間は休刊になってしまうし、マルシェの八百屋さんも1ヶ月くらいいなくなってしまうし、パン屋も閉まるし、しばらくのあいだは“特別モード”になるパリです。
さて、幼稚園からはこの一年間の記録がどっさりと手渡されました。
評価表
描いた絵の束
1年間の授業の記録が貼られた分厚いノート
興味深かったのは授業のノートです。先生によって、ノートの作り方が全然違うのです。ノートの作り方だけではありません、授業で何をやるか、一つのことを教えるためにどういう方法をとるか、本当に違うのです。
例えば息子A(だんまり君)のクラスです。こちらはキタノの展覧会にも行ったし、当初はルーヴル美術館にも行く計画があったほど、美術方面に力が入っていました。毎月、月初に今月の授業計画のプリントが保護者に配られ、親はその週に子どもがどんなことを勉強するのか逐一わかるようになっています。授業は切ったり貼ったり塗ったりしながら覚えていくというのが多かったようで、そんな作業の1つ1つがノートに貼られていました。
一方、息子B(おしゃべり君)のクラスは、年間の活動計画の大枠が年初に示されただけで、あとは実際にどんなことをやっているのか、親からは見えませんでした。クラスの外出もありませんでした。ノートを見ると、一つ一つの授業について、何をやるか、どういう方法でやるか、目標は何かということがきっちりと説明されており、その下に子どもの授業中の写真が付いていました。授業中に使ったプリントの類いはほとんどありません。そもそもプリント類を使っていたかどうかも不明です。数を数える時はキューブや木の実やペットボトルのキャップを使っていたし、運筆も大きな黒板でやっていたみたいだし、推理力をつけるのもおもちゃでやっていたようです。
先生のタイプも違いました。片方は温かくてどんな子も包み込んでしまう包容力のあるタイプだったし、一方はにこやかだけれど近づき難い感じの冷静な理論的なタイプでした。こんなに違っていて大丈夫かと、実は少し心配しました。でも息子2人が話している様子をうかがうと、2人ともそれぞれの先生が大好きだし、学習面でもほぼ同じ点に到達しているのでした。
幼稚園の先生に高学歴は要らないと暴言を吐いた政治家がいたそうですが、わたしはこの息子たちが持ち帰ったノートをじっくりと見て、フランスの幼児教育が実にしっかりと確立していることに感心しました。どんなに小さな子を相手にするのでも、人を教えて一定のレヴェルに導くためには、絶対に理論と方法論が必要だと思います。教師自身がきちんと教育を受けていることが大事なのです。2人の先生はとても違ったけれど、どちらもヴェテランの素晴らしい先生でした。子ども2人が違うクラスに配されたことで、とても興味深いものを見せてもらったと思っています。
加えて良かったのは、フランス語が不自由なことに否定的でなかったことです。子どもがフランス語でしゃべれないと、親も家庭でフランス語をしゃべるようにと学校側から言われることが多いと聞いていました。うちの息子たちは特に口を開くまでに時間がかかったので心配だったのです。でも、結局一度たりとも「お母さんもフランス語を使って下さい」と言われることはありませんでした。それどころか「フランス語は幼稚園で十分に身に付きますから、家庭ではそのまま日本語を使って下さい。外国語を身につけられる環境にあるのはチャンスと思うべきです。大事なのは、今フランス語がしゃべれるかということではなく、どんな言語でもいいから、きちんと年齢相応に人とコミュニケーションがとれるレヴェルに達しているということなのです」とまで言われました。これは、そっくりそのままわたしが考えていたことでした。教育のプロにお墨付きをもらったようで、わたしは随分心強く感じました。
とてもいい先生たちだったので名残惜しいですが、また新しい先生に出会って新しい部分を開拓できるかもしれないという期待もふくらみます。
長い夏休み、せいぜいたくさん遊んで、本も読んで、話して、一緒にいろいろなことをして楽しむつもりです。9月から始まる新学期でまた新しいことがどんどん吸収できるよう、スポンジ部分を充実させておくのが夏休みの親の仕事ですね。
今朝の無料新聞は早速、今週末のバカンス出発第一陣による高速道路、空港、鉄道の混雑が予想されると大きく記事にしていました。これから8月末まで、週末の交通機関の混雑状況がニュースで流れます。毎朝楽しみにしている無料新聞も夏の間は休刊になってしまうし、マルシェの八百屋さんも1ヶ月くらいいなくなってしまうし、パン屋も閉まるし、しばらくのあいだは“特別モード”になるパリです。
さて、幼稚園からはこの一年間の記録がどっさりと手渡されました。
評価表
描いた絵の束
1年間の授業の記録が貼られた分厚いノート
興味深かったのは授業のノートです。先生によって、ノートの作り方が全然違うのです。ノートの作り方だけではありません、授業で何をやるか、一つのことを教えるためにどういう方法をとるか、本当に違うのです。
例えば息子A(だんまり君)のクラスです。こちらはキタノの展覧会にも行ったし、当初はルーヴル美術館にも行く計画があったほど、美術方面に力が入っていました。毎月、月初に今月の授業計画のプリントが保護者に配られ、親はその週に子どもがどんなことを勉強するのか逐一わかるようになっています。授業は切ったり貼ったり塗ったりしながら覚えていくというのが多かったようで、そんな作業の1つ1つがノートに貼られていました。
一方、息子B(おしゃべり君)のクラスは、年間の活動計画の大枠が年初に示されただけで、あとは実際にどんなことをやっているのか、親からは見えませんでした。クラスの外出もありませんでした。ノートを見ると、一つ一つの授業について、何をやるか、どういう方法でやるか、目標は何かということがきっちりと説明されており、その下に子どもの授業中の写真が付いていました。授業中に使ったプリントの類いはほとんどありません。そもそもプリント類を使っていたかどうかも不明です。数を数える時はキューブや木の実やペットボトルのキャップを使っていたし、運筆も大きな黒板でやっていたみたいだし、推理力をつけるのもおもちゃでやっていたようです。
先生のタイプも違いました。片方は温かくてどんな子も包み込んでしまう包容力のあるタイプだったし、一方はにこやかだけれど近づき難い感じの冷静な理論的なタイプでした。こんなに違っていて大丈夫かと、実は少し心配しました。でも息子2人が話している様子をうかがうと、2人ともそれぞれの先生が大好きだし、学習面でもほぼ同じ点に到達しているのでした。
幼稚園の先生に高学歴は要らないと暴言を吐いた政治家がいたそうですが、わたしはこの息子たちが持ち帰ったノートをじっくりと見て、フランスの幼児教育が実にしっかりと確立していることに感心しました。どんなに小さな子を相手にするのでも、人を教えて一定のレヴェルに導くためには、絶対に理論と方法論が必要だと思います。教師自身がきちんと教育を受けていることが大事なのです。2人の先生はとても違ったけれど、どちらもヴェテランの素晴らしい先生でした。子ども2人が違うクラスに配されたことで、とても興味深いものを見せてもらったと思っています。
加えて良かったのは、フランス語が不自由なことに否定的でなかったことです。子どもがフランス語でしゃべれないと、親も家庭でフランス語をしゃべるようにと学校側から言われることが多いと聞いていました。うちの息子たちは特に口を開くまでに時間がかかったので心配だったのです。でも、結局一度たりとも「お母さんもフランス語を使って下さい」と言われることはありませんでした。それどころか「フランス語は幼稚園で十分に身に付きますから、家庭ではそのまま日本語を使って下さい。外国語を身につけられる環境にあるのはチャンスと思うべきです。大事なのは、今フランス語がしゃべれるかということではなく、どんな言語でもいいから、きちんと年齢相応に人とコミュニケーションがとれるレヴェルに達しているということなのです」とまで言われました。これは、そっくりそのままわたしが考えていたことでした。教育のプロにお墨付きをもらったようで、わたしは随分心強く感じました。
とてもいい先生たちだったので名残惜しいですが、また新しい先生に出会って新しい部分を開拓できるかもしれないという期待もふくらみます。
長い夏休み、せいぜいたくさん遊んで、本も読んで、話して、一緒にいろいろなことをして楽しむつもりです。9月から始まる新学期でまた新しいことがどんどん吸収できるよう、スポンジ部分を充実させておくのが夏休みの親の仕事ですね。
by poirier_AAA
| 2010-07-02 18:33
| 子どもと暮らす
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