2010年 02月 14日
千野栄一「外国語上達法」 |
すごく久しぶりに千野栄一の「外国語上達法」(岩波新書)を読み直した。
いまさら紹介する必要もないほど有名な、外国語をちょっと真剣にやろうとした人なら絶対に知っているバイブルみたいな本である。語学の神様みたいな千野先生が、絶望的にお出来になると形容するような語学の達人の例もたくさん出て来るので、上を見たらきりがないわいとため息をつきたくなるけれど、書かれている上達法は至極まっとうなことばかり。まっとうで、明快で、示唆にとんだ、数年に1度は読み返してみたくなる本なのだ。
千野先生の説明はとてもシンプル。
♦上達に必要なのは? お金と時間
ここで言うお金というのは、言語習得の対価として使うお金のことである。自腹をきってまで言葉を覚えたいと言うからには目的ははっきりしているだろうし、お金を払うことで真剣さも増すから。そして毎日少しずつでも時間を割いて勉強することが何より大事だから。
♦覚えなければならないのは? 語彙と文法
まずは最低限の語彙を覚えなければはじまらない。文法はその言語をより早く習得するための頼もしい味方である。
♦覚えるために必要なのは? いい教科書、いい教師、いい辞書
これはいわずもがな。
でも、これ以前に、とても大切なことがある。
まずは、何語を何の目的で学ぶかをはっきり決めること。
次に、どの程度習得するつもりかゴールを決めること。
ゴールが決まっていないというのは、先の見えない山道を歩いているようなもので、正しい道を行っているのかもわからなければ、どこまで来たという到達感もない。結局は無駄な努力に終わってしまうことが多い。学校で習った英語なんて、まさにこのケースじゃないだろうか?習う目的もなく始め、受験が突破できればいいというのがゴールだから、社会に出て使えないのなんて、あったりまえのことなのだ。
そして、外国語での会話が上手になるためには何が必要か?
いささかの軽薄さと内容。
この部分、千野先生の説明を引用すると 、
… 一言でもしゃべれば間違う恐れのある言語である外国語を話すには「あやまちは人の常」という覚悟が必要であり(これが「いささかの軽薄さ」)、そして、会話の生命はその内容であるということである。…
そして真打はこれ。著者の先生であるS先生の言葉である。
「ねえ君。いい辞書とか、いい学習書とかいろいろ心配しているけどねえ、二葉亭四迷だって、坪内逍遥だって、森鴎外だって、いい辞書も、いい学習書もなかったのにあんなにできたじゃない。これどういうわけ?やる気よ、やる気。やる気さえあればめじゃない、めじゃない」
どんな状況下であっても、本当に必要に迫られ、喉から手が出るほど学びたいという熱意がありさえすれば、一定の時間と努力で必ずやその言語を習得することができるからね、という応援歌でもあり、いくら時間と労力を割いて書いたり話したりできるようになったとしても、その言語を使って伝えるべき内容を持ってないなら意味ないのよ、というキツい戒めでもあり、千野先生の言語に寄せる情熱がひしひし伝わって来るような好著だと思う。
もし、外国語を習おうかと思っていらっしゃる方がいるなら、是非お勧めしたい。間違いなく良い指針になってくれると思うから。
いまさら紹介する必要もないほど有名な、外国語をちょっと真剣にやろうとした人なら絶対に知っているバイブルみたいな本である。語学の神様みたいな千野先生が、絶望的にお出来になると形容するような語学の達人の例もたくさん出て来るので、上を見たらきりがないわいとため息をつきたくなるけれど、書かれている上達法は至極まっとうなことばかり。まっとうで、明快で、示唆にとんだ、数年に1度は読み返してみたくなる本なのだ。
千野先生の説明はとてもシンプル。
♦上達に必要なのは? お金と時間
ここで言うお金というのは、言語習得の対価として使うお金のことである。自腹をきってまで言葉を覚えたいと言うからには目的ははっきりしているだろうし、お金を払うことで真剣さも増すから。そして毎日少しずつでも時間を割いて勉強することが何より大事だから。
♦覚えなければならないのは? 語彙と文法
まずは最低限の語彙を覚えなければはじまらない。文法はその言語をより早く習得するための頼もしい味方である。
♦覚えるために必要なのは? いい教科書、いい教師、いい辞書
これはいわずもがな。
でも、これ以前に、とても大切なことがある。
まずは、何語を何の目的で学ぶかをはっきり決めること。
次に、どの程度習得するつもりかゴールを決めること。
ゴールが決まっていないというのは、先の見えない山道を歩いているようなもので、正しい道を行っているのかもわからなければ、どこまで来たという到達感もない。結局は無駄な努力に終わってしまうことが多い。学校で習った英語なんて、まさにこのケースじゃないだろうか?習う目的もなく始め、受験が突破できればいいというのがゴールだから、社会に出て使えないのなんて、あったりまえのことなのだ。
そして、外国語での会話が上手になるためには何が必要か?
いささかの軽薄さと内容。
この部分、千野先生の説明を引用すると 、
… 一言でもしゃべれば間違う恐れのある言語である外国語を話すには「あやまちは人の常」という覚悟が必要であり(これが「いささかの軽薄さ」)、そして、会話の生命はその内容であるということである。…
そして真打はこれ。著者の先生であるS先生の言葉である。
「ねえ君。いい辞書とか、いい学習書とかいろいろ心配しているけどねえ、二葉亭四迷だって、坪内逍遥だって、森鴎外だって、いい辞書も、いい学習書もなかったのにあんなにできたじゃない。これどういうわけ?やる気よ、やる気。やる気さえあればめじゃない、めじゃない」
どんな状況下であっても、本当に必要に迫られ、喉から手が出るほど学びたいという熱意がありさえすれば、一定の時間と努力で必ずやその言語を習得することができるからね、という応援歌でもあり、いくら時間と労力を割いて書いたり話したりできるようになったとしても、その言語を使って伝えるべき内容を持ってないなら意味ないのよ、というキツい戒めでもあり、千野先生の言語に寄せる情熱がひしひし伝わって来るような好著だと思う。
もし、外国語を習おうかと思っていらっしゃる方がいるなら、是非お勧めしたい。間違いなく良い指針になってくれると思うから。
by poirier_AAA
| 2010-02-14 09:13
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