2017年 10月 19日
ポルトガルの森林火災 |
ポルトガルで大規模な森林火災が発生しました。
夏のような気温が続いたり、
雨がほとんど降らなかったり、
このままではいつ火災が起きてもおかしくない。
そんな話は少し前から耳にしていましたが、
まさかここまで規模が大きい火災が起きるとは想像もしませんでした。
ポルトガルの縦長の国土の
真ん中の少し下あたりをテージョ川が横切っていますが、
今回燃えたのは、そのテージョ川以北。中部から北部にかけてです。
1箇所2箇所という規模ではなく、あちらもこちらも、
あらゆる場所でかなり大規模な火災になりました。
義両親の住まいの近くの林も、相当な面積を焼失しました。
ふつう、こういった広域の火災には上空からの消火をするものですが、
今回はあまりにも煙が濃くて、飛行機を飛ばせなかったそうです。
もちろん地上で消火に当たる消防員や消防車の数も足りません。
広い林は燃えに燃え、
義両親はあまりにも煙がひどくて家から一歩も出られなかったそうです。
乾いた林に火がつくと、火はあっという間に広がります。
そこに上昇気流が発生して、
それに乗った火の粉が空に舞い上がり、風に乗って遠くに運ばれ、
そこでまた新しい火災を生みます。
大地が乾いているので一旦火災が起こるとひとたまりもありません。
真っ黒焦げになった林の写真を見ました。
胸が潰れるような思いというのは、こういう時にいうのだと思いました。
ポルトガル人の管理人マダムと被害の酷さについて話していたら、
彼女が、C'est la vie よ、と言いました。
セ・ラ・ヴィ。
人生とはこういうものだ。
そうかもしれません。
でも、わたしは残酷な言葉のように受け取りました。
こんなことが起きないように、なんとかできなかったものか?
そもそもこんな異常気象になったのは強欲な人間のせいじゃないか!
誰とも知らぬ相手(自分も含めて)に向けた怒りが体に満ちていたのです。
でも、そう、やっぱりセ・ラ・ヴィなのです。
大事なものが焼けてしまっても、
懐かしい景色が失われてしまっても、
ひょっとしたらまた同じことが起こるかもしれなくても、
人は命がある限り、なんとかして生き続けるだけです。
誰が悪いとか、なんとかならなかったのかというのは、それはまた別な話。
自分の命を生きるという、その人にしかできないことがあるのです。
生きるとはそういうことだ、覚悟せよ、お前も、そして自分も。
それが「セ・ラ・ヴィ」かと思いました。
この火災のことが知りたくて、
ずいぶんたくさんポルトガルのニュースを読みました。
ポルトガル語の勉強が楽しくて仕方ないのに、
それで読めるようになった記事の内容がこれだなんて。
わたしはとても悲しい。
by poirier_AAA
| 2017-10-19 01:08
| ポルトガル
|
Comments(8)
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Mtonosama at 2017-10-19 06:04
ポルトガルといい、アメリカといい、なんということでしょう。
御義両親様のところにも煙が!?
どうぞ、何事もなく収束しますように。
家畜たちも無事でありますように。
ご心配ですね。
御義両親様のところにも煙が!?
どうぞ、何事もなく収束しますように。
家畜たちも無事でありますように。
ご心配ですね。
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at 2017-10-19 10:38
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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stanislowski at 2017-10-19 20:11
遠くで安否を気遣う梨の木さんの胸中、お察しいたします。
その後、雨が降ったと聞きましたが。
セ・ラ・ヴィって、自分で自分に言えたらいいのに。
そんな覚悟をはっきり自分に自覚させるときは困難にぶつかっているのでしょうか。
その後、雨が降ったと聞きましたが。
セ・ラ・ヴィって、自分で自分に言えたらいいのに。
そんな覚悟をはっきり自分に自覚させるときは困難にぶつかっているのでしょうか。
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poirier_AAA at 2017-10-19 23:05
> Mtonosamaさん、こんにちは。
ポルトガルの森林火災は毎年夏になると必ず問題になることなのですが、今年は夏といい秋といい、過去に例がないくらい酷いことになってしまいました。
義両親の家は幸い大丈夫なのですが、こんなに森林が燃えてしまったら、気候にも悪影響が出るのではないかと心配でたまりません。森がなくなり、動物もいなくなり、でも人間だけは大丈夫なんて、そんな都合のいい話はありませんよね。
ポルトガルの森林火災は毎年夏になると必ず問題になることなのですが、今年は夏といい秋といい、過去に例がないくらい酷いことになってしまいました。
義両親の家は幸い大丈夫なのですが、こんなに森林が燃えてしまったら、気候にも悪影響が出るのではないかと心配でたまりません。森がなくなり、動物もいなくなり、でも人間だけは大丈夫なんて、そんな都合のいい話はありませんよね。
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poirier_AAA at 2017-10-19 23:39
> 鍵コメさん、こんにちは、はじめまして。
長く読んでいただいているとのこと、とても嬉しく、ありがたく拝読しました。
そして、ポルトガル好きの仲間が増えたのも、とても嬉しいです!
10日にDouroにいらしたと言うことは、ほんとうにごく最近のご旅行だったのですね。
わたしもこの夏Douro川沿いのブロウ畑を眺める旅をしました。素晴らしい景色でした。
ヨーロッパの秋は普通なら雨の季節なのですが、今年は異常気象で気温も高ければ雨も降らず、ついにこんな酷いことになってしまったようです。この夏の滞在&旅行中に、わたしも何度も燻る火や煙を見かけました。地平線に煙が漂っている時におこる不気味な赤い夕日も、何度も見ました。焼け焦げて真っ黒になった森も見ました。知り合いのポルトガルの人たちはみな嘆き悲しんでいます。なんとかしなければと、みな思っているのです。それでも同じことがおきてしまう。やりきれない気持ちでいっぱいです。わたしたちにできることがあるなら、なんでもするのに!月曜日はそんな、怒りなのか決意なのかわからない燃えるような気持ちを抱えていました。
義両親のところは煙以外は被害はありませんでした。心配していただいて、ありがとうございます。
長く読んでいただいているとのこと、とても嬉しく、ありがたく拝読しました。
そして、ポルトガル好きの仲間が増えたのも、とても嬉しいです!
10日にDouroにいらしたと言うことは、ほんとうにごく最近のご旅行だったのですね。
わたしもこの夏Douro川沿いのブロウ畑を眺める旅をしました。素晴らしい景色でした。
ヨーロッパの秋は普通なら雨の季節なのですが、今年は異常気象で気温も高ければ雨も降らず、ついにこんな酷いことになってしまったようです。この夏の滞在&旅行中に、わたしも何度も燻る火や煙を見かけました。地平線に煙が漂っている時におこる不気味な赤い夕日も、何度も見ました。焼け焦げて真っ黒になった森も見ました。知り合いのポルトガルの人たちはみな嘆き悲しんでいます。なんとかしなければと、みな思っているのです。それでも同じことがおきてしまう。やりきれない気持ちでいっぱいです。わたしたちにできることがあるなら、なんでもするのに!月曜日はそんな、怒りなのか決意なのかわからない燃えるような気持ちを抱えていました。
義両親のところは煙以外は被害はありませんでした。心配していただいて、ありがとうございます。
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poirier_AAA at 2017-10-20 00:08
> stanislowskiさん、こんにちは。
雨が少し降って、気温も少し下がって、大きな火もほぼおさまったようです。
でも、燃えてしまったものはもう戻らないんですよね。
木が大きくなるのにどれだけ時間がかかることか。。。それを思うと、本当に切なくなります。
セ・ラ・ヴィって突き放すように聞こえるかもしれないけれど、セ・ラ・ヴィと思うから人は助け合うのではないかと思うのです。人の力ではどうしようもないことがあるとわかっているからこそ、その時に余力のある人が、助けを求めている人に手を差しのべようと思うんじゃないでしょうか。お互いに明日何が起こるかわからない身だから、助け合って少しでも生きやすくしよう、と。この、C'est la vie の意識が solidarité に繋がるのかなぁと思いました。
雨が少し降って、気温も少し下がって、大きな火もほぼおさまったようです。
でも、燃えてしまったものはもう戻らないんですよね。
木が大きくなるのにどれだけ時間がかかることか。。。それを思うと、本当に切なくなります。
セ・ラ・ヴィって突き放すように聞こえるかもしれないけれど、セ・ラ・ヴィと思うから人は助け合うのではないかと思うのです。人の力ではどうしようもないことがあるとわかっているからこそ、その時に余力のある人が、助けを求めている人に手を差しのべようと思うんじゃないでしょうか。お互いに明日何が起こるかわからない身だから、助け合って少しでも生きやすくしよう、と。この、C'est la vie の意識が solidarité に繋がるのかなぁと思いました。
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echalotelle at 2017-10-20 01:32
ポルトガルの内務大臣が辞任したそうですね。さっきネットのニュースで読みました。もっと何か対策が立てられたのかもしれませんね。毎夏の南仏の山火事や秋の洪水なども、何か対策が立てられるだろうにと思うけれど、できる部分とできない部分があるのかな。やりきれませんね。
C'est la vie. 同世代の大事な友人が亡くなった時に、二十歳ぐらいの若い友人にC'est la vieと言われて、ちょっと腑に落ちないなと感じたことがありましたが、その人にとっては「しょうがないことだね」「しかたがないね」という感じで言ったのだろうなと解釈して納得しました。この言葉、みんなよく使いますね。
外国語が理解できるようになるということは、その国のいいことも辛い部分も段々全てがわかってくるということでもありますね。poirierさんは、特にポルトガルの生活や状況も実体験でわかってるから、なおさら辛いニュースは怒りがこみ上げるぐらいやりきれない思いになったことでしょうね。私もフランスに住んで、次第にフランス人とコミュニケーションがとれる連れ、フランスの実際の姿が理解できるようになってきて、フランスが素晴らしいと思うことも多いし、逆に困ったもんだと思うこともいっぱいあって、戸惑ったり大変なこともあるけれど、それこそC'est la vieで、そういうフランスが好きなんだなと思うわけさ~と気づく毎日です。
ああ、人生の終わりの時にありがとうの言葉とともに、C'est la vieと言えたらいいな。今日は、ダニエル・ダリューが亡くなってしまいましたね。
ポルトガルの火事、しっかりと早く収まりますように。
C'est la vie. 同世代の大事な友人が亡くなった時に、二十歳ぐらいの若い友人にC'est la vieと言われて、ちょっと腑に落ちないなと感じたことがありましたが、その人にとっては「しょうがないことだね」「しかたがないね」という感じで言ったのだろうなと解釈して納得しました。この言葉、みんなよく使いますね。
外国語が理解できるようになるということは、その国のいいことも辛い部分も段々全てがわかってくるということでもありますね。poirierさんは、特にポルトガルの生活や状況も実体験でわかってるから、なおさら辛いニュースは怒りがこみ上げるぐらいやりきれない思いになったことでしょうね。私もフランスに住んで、次第にフランス人とコミュニケーションがとれる連れ、フランスの実際の姿が理解できるようになってきて、フランスが素晴らしいと思うことも多いし、逆に困ったもんだと思うこともいっぱいあって、戸惑ったり大変なこともあるけれど、それこそC'est la vieで、そういうフランスが好きなんだなと思うわけさ~と気づく毎日です。
ああ、人生の終わりの時にありがとうの言葉とともに、C'est la vieと言えたらいいな。今日は、ダニエル・ダリューが亡くなってしまいましたね。
ポルトガルの火事、しっかりと早く収まりますように。
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poirier_AAA at 2017-10-21 06:56
> echalotelleさん、こんにちは。
C'est la vie って、自分が本当に渦中にいるときに言われたら、かなり腹の立つ言葉だと思うのです。当事者ではない者にこの痛みがわかってたまるかと思いますよ。でも、時を置いて冷静になって考えてみると、やっぱりそのとおりなんですよね。いま、運良く渦中にいない人も明日はどうなるかわからないし、世の中には人にはどうにもならないこともたくさんありますし。だからやっぱり生きている限り「C'est la vie」と言うしかなく、 でも同時に「 Il faut cultiver notre jardin」であることが大事なのかなぁなんて思うのです。
そうですね、いろいろ見えるようになってくると、簡単に好き好き大好き!とも、大大大っ嫌い!とも簡単には言えなくなりますよね。たくさんのいいところも、それを帳消しにするくらいの悪いところも、どちらも両方あって、でもそのカオティックな状態が実は人や国の魅力なわけで。。。いろいろあるけれど、ポルトガル、頑張って欲しいと願っています。
ジャン・ロシュフォールといい、ダニエル・ダリューといい、時代が確実に移り変わっていくのを実感するような訃報が続きますね。。。
C'est la vie って、自分が本当に渦中にいるときに言われたら、かなり腹の立つ言葉だと思うのです。当事者ではない者にこの痛みがわかってたまるかと思いますよ。でも、時を置いて冷静になって考えてみると、やっぱりそのとおりなんですよね。いま、運良く渦中にいない人も明日はどうなるかわからないし、世の中には人にはどうにもならないこともたくさんありますし。だからやっぱり生きている限り「C'est la vie」と言うしかなく、 でも同時に「 Il faut cultiver notre jardin」であることが大事なのかなぁなんて思うのです。
そうですね、いろいろ見えるようになってくると、簡単に好き好き大好き!とも、大大大っ嫌い!とも簡単には言えなくなりますよね。たくさんのいいところも、それを帳消しにするくらいの悪いところも、どちらも両方あって、でもそのカオティックな状態が実は人や国の魅力なわけで。。。いろいろあるけれど、ポルトガル、頑張って欲しいと願っています。
ジャン・ロシュフォールといい、ダニエル・ダリューといい、時代が確実に移り変わっていくのを実感するような訃報が続きますね。。。