2017年 10月 12日
ただいま矯正中 |
うちの子どもたちは、この夏から歯の矯正を始めた。
夫もわたしも歯並びはとてもいい。
その血を受け継いでいるのだから矯正は必要ないだろうと考えていた。
子どもたちの乳歯の歯並びだってまったく問題はなかった。
でも歯医者では、永久歯が生え揃い始める今から始めた方がいいと勧められた。
最初は無視するつもりでいたが、
息子たちが怖がってグラグラする乳歯を温存しているあいだに、
永久歯が変な場所から出て来てしまった。
仕方なく腹を括った。
親は費用面で、子どもは主に見栄えの面で。
初めて矯正用の金具をつけたときの息子たちの嘆きは大きかった。
口を開けたときに見た目が悪いのはもちろんのこと、
がぶりとかじりつく様な食べ物は食べてはいけないと禁止されたのだ。
ポルトガルに行っても骨つき肉にかじりつけないってこと?
人参をかじれないってこと?
バゲットのサンドイッチを食べられないってこと?
それじゃあ何の楽しみもなくなっちゃうじゃない。
食べることが大好きな彼らには、この世の終わりのようだった。
しかも装置を装着すると、最初の2日ほどは痛い。
痛いのがいやで、さすがの食いしん坊も食欲がなくなる。
歯の矯正はそこまでしてやる必要のあることなのか?と思った。
いま、こどもたちは一番体が成長する時期にさしかかっている。
とくにエネルギーの蓄えのない、うちの子のような痩せ型の子は、
毎食の食事の量が十分でないと日々の活動にさしつかえる。
ここで食事の量が落ちてしまったら大変なのである。
けれども、始めてから数ヶ月が経過して、
まぁなんとでもなるものらしいね、と思うようになった。
結局のところ、まったくものが食べられなくなるわけではないし、
お腹が空いた子は、あれこれ自分で工夫して、なんとかして食べようとする。
骨つき肉にはかじりつけなくても、普通のステーキなら小さく切れば食べられる。
人参はかじれなくても、キャロットラぺにすれば問題なくたくさん食べられる。
トマトやキュウリ、レタスやインゲンやブロッコリならまったく問題ない。
今年はお餅は食べられないけれど、ご飯でも麺でも普通に食べられる。
好物のガトーショコラも、食べてすぐに歯の掃除をすればいいだけの話。
むしろ、矯正を始めたおかげで思いがけない収穫があった。
考え事をしながら爪を噛む癖のあった息子Bが、爪を噛むのをやめられたこと。
(矯正を始めたら絶対に爪を噛んではいけないと医者から言われた)
ふたりとも鏡を見ながらきちんと歯磨きをする癖がついたこと。
我が家がお世話になっている矯正歯科の医者によれば、
うちの子のように大して問題がない場合は、最長2年で終わるのだそうだ。
犬歯と臼歯が生え変わっている間に、およそ1年。
永久歯が全部生えそろったところで、また1年。
装置をつけている間は6週間おきに医者に行ってチェックしてもらう。
半年に1度は普通の歯医者に行って虫歯がないか確認する。
フランスでは(いまのところ)16歳前に始めた歯科矯正には保険が適用されるので、
親の経済的な負担は多少軽くなる。
(しかし、そうは言っても歯科矯正は決して安くない)
残る問題は見た目(年頃の子にはこれが大きい)だが、
そう、あとどんなに長くても1年と9ヶ月で終わるのだから。
あとは歯磨き粉のコマーシャルに出てくる人みたいになるんだから。
いやいやながら、それでも頑張っている子どもたちである。
さて、今日も矯正中でもいくらでも食べられるメニューで、お昼ご飯を作ろう。
by poirier_AAA
| 2017-10-12 17:45
| 子どもと暮らす
|
Comments(2)
Commented
by
らうとら
at 2017-10-12 21:16
x
生まれつき歯並びがいいなんて、ああ羨ましい。私は生まれつきガタガタの歯並びで、矯正もしていないので(昔で、しかも田舎のことですから、矯正なんて我が両親の念頭にはなかった)いまでもガタガタ。30代で一度矯正を考えましたが、一人で働いている身ではその余裕もなくて、結局そのまま過ぎてしましました。ですから、きれいに揃った歯並びを見ると、もうそれだけで「いいなあ」とうっとり。一昨夜も、読んでいた本の中に dentition réalignée という語が出てきて、羨望のため息をついたばかりです。
お子さんたちの矯正、順調に進んで、輝くような歯並びでにっこりできる日が(そして骨付き肉にかぶりつける日が)早く来るといいですね。
お子さんたちの矯正、順調に進んで、輝くような歯並びでにっこりできる日が(そして骨付き肉にかぶりつける日が)早く来るといいですね。
0
Commented
by
poirier_AAA at 2017-10-14 01:37
> らうとらさん、こんにちは。
そうなんですよね、わたしの育ったところでも、歯を矯正している友達なんて一人もいませんでした。あの頃の日本では歯並びをなおそうと考える人はほとんどいなかったのかもしれませんね。そもそもアジア圏では歯の矯正をする人が少ないのか、こちらで歯医者に行った時に「あなたの同胞(日本人も韓国人も中国人も一緒にしているかも)は歯並びが整ってない人がとても多いのに、珍しいですね」と言われました。わたしは歯並びのいい父に似ましたが、弟は歯並びの悪い母に似てしまい、歯ではずいぶん苦労しているようです。同腹の兄弟なのにこんなに違うなんて、不公平な話ですよね。
矯正が無事に終わってニーッと笑えるようになる頃には、こどももずいぶん大きくなっていることでしょう。それを思うと、早く終わって欲しいような、終わってほしくないような、微妙な心持ちです。食べ物に制限がなくなるのは待ち遠しいのですけれども。
そうなんですよね、わたしの育ったところでも、歯を矯正している友達なんて一人もいませんでした。あの頃の日本では歯並びをなおそうと考える人はほとんどいなかったのかもしれませんね。そもそもアジア圏では歯の矯正をする人が少ないのか、こちらで歯医者に行った時に「あなたの同胞(日本人も韓国人も中国人も一緒にしているかも)は歯並びが整ってない人がとても多いのに、珍しいですね」と言われました。わたしは歯並びのいい父に似ましたが、弟は歯並びの悪い母に似てしまい、歯ではずいぶん苦労しているようです。同腹の兄弟なのにこんなに違うなんて、不公平な話ですよね。
矯正が無事に終わってニーッと笑えるようになる頃には、こどももずいぶん大きくなっていることでしょう。それを思うと、早く終わって欲しいような、終わってほしくないような、微妙な心持ちです。食べ物に制限がなくなるのは待ち遠しいのですけれども。