2017年 05月 14日
ファティマの話 |
ポルトガルにはファティマという聖地があります。
この5月13日は、ファティマの聖母出現からちょうど100年目にあたります。
この記念日にあわせてフランシスコ教皇がファティマを巡礼し、
聖母出現に立ち会った2人の子どもが列聖されました。
ファティマはごくありふれたポルトガルの田舎町です。
聖母マリアはちょうど100年前の5月13日に、この地で、
ルシア(10才)フランシスコ(8才)ジャシンタ(7才)という
3人の子どもの前に姿を現したそうです。
聖母はその後も数回にわたって毎月13日に出現しメッセージを残すとともに、
噂を聞きつけて集まった群衆の前でも奇跡を起こしたと言われています。
3人の子どものうち、フランシスコとジャシンタは幼くして亡くなりました。
残った一人ルシアはその後神に仕え、97才まで生きました。
ファティマといえば、聖母が伝えたという3つの予言、
特に1960年までは明かしてはならないとされながら、
しかし1960年になってもヴァチカンが公表に踏み切らなかったという
第3番目の予言が一般的にはよく知られているかもしれません。
以上のような話は、ネットで少し検索すれば簡単に調べることができます。
初めてポルトガルを訪ねた時、ファティマにも行きました。
ごく普通の田舎道を車で進んでいくと、
唐突に観光バスが列をなす場所に出ます。
近くの駐車場に車を置いて歩き始めると、
目につくのは軒を並べる宗教グッズ専門店です。
そして聖地ファティマとその中心であるバジリカが姿を現します。
暑い夏の昼下がりでした。
ポルトガルらしい白壁のバジリカと、これまた白っぽくだだっ広い広場。
どこにも日を遮る場所のない広さに目眩がしたことを覚えています。
容赦ない日差しの下をバジリカに向かって膝行する人たちがたくさんいました。
それも、様子から見て具合が悪いに違いない人たちが多くいました。
人の手助けを借りながら、おぼつかない体で膝行しているのです。
そういえば、ポルトガルの中部を車で移動していると、
道路沿いを歩く小さなグループをよく見かけるのです。
ファティマに向かって歩く人たちです。
暑い太陽を避けるため、朝日が昇る前から歩く人たちも多くいます。
かなり遠いところから来ているのでしょう、
歩くための装備を整えて、炎天下を歩く人たちもいます。
聖母が出現して100年ということは、
この奇跡があったときには、わたしの祖母ももう生まれていたということです。
それが、とても不思議な、意外なことに思われるのでした。
奇跡といえば大昔に起こったものとしか、わたしには考えられないのです。
でも、こんなに近い時間の中に奇跡がおこり、
それを信じて巡礼する人たちがいる。
そういう人たちが、世界中からここに集まってくる。
不思議でたまらないという気持ちと、羨望に似た気持ちが両方あります。
ところで、ファティマの鐘は正午に独特なメロディを奏でるのです。
これを耳にすると、わたしは暑いポルトガルの昼下がりを思い出します。
by poirier_AAA
| 2017-05-14 20:52
| ポルトガル
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