2017年 03月 22日
テレビ討論会 |
今年はフランス大統領選の年。
昨夜は21時から有力候補者5人によるテレビ討論会が行われた。
小学校5年生の子どもたちも担任の先生から
「ほんの5分でもいいから討論会を見なさい」と言われたそうだ。
討論会は生中継で、21時から真夜中過ぎまで、
途中に短い休憩を挟んだだけで、ぶっ続けで行われる。
有力候補者が5人、お互いの顔が見えるように円形に配され、
その一角に男性1人女性1人の司会者がいる。
候補者も司会者もそれぞれに演台があって、全員立っている。
つまり、彼ら全員、立ちっぱなし状態で3時間を過ごす。
討論会は、司会者がそれぞれの候補者に質問する形で進む。
「教育問題は?」「エネルギー政策は?」「あなたにとってライシテとは?」
指名された候補者がそれについて自分の考えを述べる。
候補者はそれぞれがタイマーを持っていて、
各自何分何秒話したかがわかるようになっている。
司会者はそれを見ながら、
候補者全員がほぼ同じ時間だけ発話できるように気を配る。
最初はおとなしくお行儀よく始まった討論会だったが、
最後に近づくにつれて喧々諤々。
それを司会者が適宜抑えながら、政策に関する質問が続く。
こういう言い方がふさわしいかはわからないが、おもしろかった。
それぞれの個性が際立って、しっかり顔が見えてくるのだ。
今回は泥仕合いじみた大統領選だけれども、
少なくとも言葉で話し合おうとする人たちが揃っているというだけでも、
ずいぶんホッとする。
そして、これまた変な言い方かもしれないが、
不完全な人間が不完全な人間に政治を託すのだ、
というような覚悟もできるような気がしたのだった。
学校から帰ってきた子どもたちが、昨日の討論会の話をしていた。
学校でも子どもたちの間で話が盛り上がっているらしい。
スターウォーズやハリー・ポターの話をするのと同じような感覚で、
あの政治家がいい、この政治家がいうことが変だ、とか話しているらしい。
ねぇ、ママンは誰がいいと思う?と聞いてくる。
投票はしなくても、この人はいい、この人はイヤってあるでしょう、と食い下がる。
しかたなく、絶対間違いないなんて人はいないよねと前置きしたうえで、
この人はこういうところがいいけど、これは良くないと思うしと、
結構こまかく、大人同士で話すような感覚で正直に話してみた。
驚いたのは、子どもがしっかり話についてくることだった。
あぁそうそう、そうなんだよね〜とか相槌まで打つ。
公約内容も結構知っているし、人柄についても良く観察している。
難民問題やエネルギー問題といった規模の大きな話も想像できる。
それで、ボクは誰それがいいなぁ、ボクはこっちがいいなぁとはっきり言う。
えええ〜、いつのまに政治の話ができるようになったんでしょう?
このところのフィヨンのスキャンダル発覚の連発で、
冷え冷えした目で眺めていた大統領選だったけれども、
テレビ討論会をみたおかげで、ようやくきちんと見守るかという気になった。
そう、投票はできないけれど、これは生活に直結した話ですからね。
by poirier_AAA
| 2017-03-22 01:35
| 日々の断片
|
Comments(4)
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pallet-sorairo at 2017-03-22 09:32
子どもは知らないうちにびっくりするほどいろいろなことを考えているものですね。
>「ほんの5分でもいいから討論会を見なさい」と言われたそうだ。
いい先生だなぁ、そして、坊やたちも素晴らしい。
>「ほんの5分でもいいから討論会を見なさい」と言われたそうだ。
いい先生だなぁ、そして、坊やたちも素晴らしい。
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poirier_AAA at 2017-03-22 17:51
> pallet-sorairoさん、こんにちは。
ほんとうに。子どもっていつのまにか、毎日会っている親ですらびっくりするくらい、成長して、考えることや言うことが変わってくるものだなぁと思いました。「こんなものだろう」と思っている親の予想を次々と裏切って乗り越えていくんですね。いつまでも子どもじゃないと思うと、頼もしいような寂しいような。
政治家の話は、フランスで聞く方がずっとわかりやすいと感じます。子どもが聞いても何を言わんとしているかだいたいわかるのです。そこにいくと日本の政治家の話は言葉にしないことや漠然とした表現が多すぎてわかりにくいなぁと思って。。。ずいぶん違いますね。
ほんとうに。子どもっていつのまにか、毎日会っている親ですらびっくりするくらい、成長して、考えることや言うことが変わってくるものだなぁと思いました。「こんなものだろう」と思っている親の予想を次々と裏切って乗り越えていくんですね。いつまでも子どもじゃないと思うと、頼もしいような寂しいような。
政治家の話は、フランスで聞く方がずっとわかりやすいと感じます。子どもが聞いても何を言わんとしているかだいたいわかるのです。そこにいくと日本の政治家の話は言葉にしないことや漠然とした表現が多すぎてわかりにくいなぁと思って。。。ずいぶん違いますね。
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kanafr at 2017-03-25 08:48
今回は、今までにない荒れ模様の大統領選ですね。
>小学校5年生の子どもたちも担任の先生から
「ほんの5分でもいいから討論会を見なさい」と言われたそうだ。
こんな風に、小さい時から政治に関心を持たせるって、素晴らしいって思います。いろんな意見があっていい訳で、何がいいか何がおかしいのか、判断しそれをキチンと自分の考えで発言する事で、自分の住む国のあり方がどうあるべきか、どうしたいかを考えるようになりますよね。
日本も教育勅語を読ませるような教育を正しいとするのではなく、自分の考えを育てていくような教育をするべきなんですけどね。
>小学校5年生の子どもたちも担任の先生から
「ほんの5分でもいいから討論会を見なさい」と言われたそうだ。
こんな風に、小さい時から政治に関心を持たせるって、素晴らしいって思います。いろんな意見があっていい訳で、何がいいか何がおかしいのか、判断しそれをキチンと自分の考えで発言する事で、自分の住む国のあり方がどうあるべきか、どうしたいかを考えるようになりますよね。
日本も教育勅語を読ませるような教育を正しいとするのではなく、自分の考えを育てていくような教育をするべきなんですけどね。
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poirier_AAA at 2017-03-26 02:33
>kanafrさん、こんにちは。
本当に大荒れの大統領選ですね。政策をめぐる争いじゃなくてスキャンダルで大荒れになっているところが本当に情けないというか、いい加減に勘弁してくれよ、という感じですよね。
考えることって本当に大事なことだと思います。そして考えるための道具である言葉も大事ですよね。子どもの学校の勉強を見ても、フランスだとまず言葉の定義から入るところがとても新鮮です。日本って、言葉の定義が曖昧なままそれぞれ勝手に議論している感じがあって、話が噛み合っていないように思うことも多いんです。天皇とはなんぞや、教育とはなんぞやとか、まずはそこから考えないとダメなんじゃないかと思いながら日本のニュースを見ていますよ。
本当に大荒れの大統領選ですね。政策をめぐる争いじゃなくてスキャンダルで大荒れになっているところが本当に情けないというか、いい加減に勘弁してくれよ、という感じですよね。
考えることって本当に大事なことだと思います。そして考えるための道具である言葉も大事ですよね。子どもの学校の勉強を見ても、フランスだとまず言葉の定義から入るところがとても新鮮です。日本って、言葉の定義が曖昧なままそれぞれ勝手に議論している感じがあって、話が噛み合っていないように思うことも多いんです。天皇とはなんぞや、教育とはなんぞやとか、まずはそこから考えないとダメなんじゃないかと思いながら日本のニュースを見ていますよ。