2016年 07月 21日
一事が万事、なのか |
うちの家族の家庭医はヘビースモーカーだ。
それがわかったとき、
家庭医は別な人に頼んだほうがいいと思うと夫に言った。
自分の健康を気にしない人は医者として信用できない。
夫は彼でいいと言った。
なるほどスモーカーなのは気に入らないが、
それは彼が健康への影響をよくわかった上で選んでしていることだ。
医者としての彼の仕事ぶりは信用できると感じている。
そんなものだろうか?
こちらの人の考え方がよくわからなかったわたしは、
不承不承だったが夫の意見に従ってみることにした。
うっすらとした付き合いではあるが、
何年も知り合っているうちに、
少しずつこの医者の個人としての顔が見えるようになった。
うちの子はもう大きくなって使わないから。
そう言って大量のレゴデュプロをくれたのがこの医者である。
息子たちにレゴの世界を開いてくれたのが、いってみればこの人だ。
そればかりでなく、子どもの成長を目を細めて喜んでくれる。
赤の他人なのにこうして気にかけてくれることは感謝してもしきれない。
ヘビースモーカーなのは嫌だけど。
決して狭くはないベランダに、
ところ狭しと植物を並べてせっせと手入れしていたのもこの医者だ。
ときには窓辺に小鳥用の餌までぶら下げていた。
朝でかけるときに、出がけの一服を吸いながら自宅を見上げ、
うむ、今日も植物は元気そうにしていると、確認するのを習慣にしていた。
うちのベランダはすぐ隣にあるので見上げると必ず視界に入る。
最近おたくの植物は元気がないようだが、きちんと液肥をやっているか?
そんなアドバイスまでしてくれたのもこの医者だ。
植物の世話をきちんとする人に、悪い人はいないような気がする。
ヘビースモーカーなのは残念だが。
結局のところ、最初想像していたようなどうしようもない人ではなかった。
それどころか、癖さえ呑み込んでしまえば願っても無いような隣人だった。
つまり夫が最初に読み取った印象が正しかった。
嫌いな煙草が絡んだことで、目が曇ってしまったのはわたしの方だった。
自分の価値判断を過信してはいけない。
それが覆る可能性があることを、頭のどこかに刻んでおかなければ。
そんなことを思うようになった。
それでも、そんな経験をしているにもかかわらず、
最近「こういうことをする人って信用できない」と思っていることがある。
先日ベランダにマヨネーズとケチャップを出しっぱなしにしていた隣人が、
今度はアイスクリームの包装紙をテーブルに置きっぱなしているのだ。
どう考えてもゴミなんだから、さっさと捨てればいいのに。
そしてそのゴミの横で、プランターの植物が暑さで枯れ始めている。
そこでアイスクリームを食べたなら植物の様子だって目に入るだろうに。
印象がどんどん悪くなるぞ、この隣人。
この悪い印象がまた、ぐるっとひっくり返ることがあればいいのだが。
すこしだけ前向きに考えて見る。
たとえばものすごい芸術家肌の人だったり数学者だったりして、
なにかに夢中になると他のことが目に入らなくなっちゃうような人で、
知り合ってみたら、なんだ全然悪い人じゃなかったじゃない、とかね。
今回ばかりはあまり期待できなさそうな気もするが、
先走りすぎて「嫌な人たち」と先入観でガチガチにならないようにしないと。
「一事が万事」とずっと言われてきた。
でも、世の中を見回すと「一事が万事」では説明がつかないことがたくさんある。
「一事が万事」は、人を判断するための基準としてではなく、
できればこう在りたしという心構えとしてでも持っているのがいいかな、と思う。
それがわかったとき、
家庭医は別な人に頼んだほうがいいと思うと夫に言った。
自分の健康を気にしない人は医者として信用できない。
夫は彼でいいと言った。
なるほどスモーカーなのは気に入らないが、
それは彼が健康への影響をよくわかった上で選んでしていることだ。
医者としての彼の仕事ぶりは信用できると感じている。
そんなものだろうか?
こちらの人の考え方がよくわからなかったわたしは、
不承不承だったが夫の意見に従ってみることにした。
うっすらとした付き合いではあるが、
何年も知り合っているうちに、
少しずつこの医者の個人としての顔が見えるようになった。
うちの子はもう大きくなって使わないから。
そう言って大量のレゴデュプロをくれたのがこの医者である。
息子たちにレゴの世界を開いてくれたのが、いってみればこの人だ。
そればかりでなく、子どもの成長を目を細めて喜んでくれる。
赤の他人なのにこうして気にかけてくれることは感謝してもしきれない。
ヘビースモーカーなのは嫌だけど。
決して狭くはないベランダに、
ところ狭しと植物を並べてせっせと手入れしていたのもこの医者だ。
ときには窓辺に小鳥用の餌までぶら下げていた。
朝でかけるときに、出がけの一服を吸いながら自宅を見上げ、
うむ、今日も植物は元気そうにしていると、確認するのを習慣にしていた。
うちのベランダはすぐ隣にあるので見上げると必ず視界に入る。
最近おたくの植物は元気がないようだが、きちんと液肥をやっているか?
そんなアドバイスまでしてくれたのもこの医者だ。
植物の世話をきちんとする人に、悪い人はいないような気がする。
ヘビースモーカーなのは残念だが。
結局のところ、最初想像していたようなどうしようもない人ではなかった。
それどころか、癖さえ呑み込んでしまえば願っても無いような隣人だった。
つまり夫が最初に読み取った印象が正しかった。
嫌いな煙草が絡んだことで、目が曇ってしまったのはわたしの方だった。
自分の価値判断を過信してはいけない。
それが覆る可能性があることを、頭のどこかに刻んでおかなければ。
そんなことを思うようになった。
それでも、そんな経験をしているにもかかわらず、
最近「こういうことをする人って信用できない」と思っていることがある。
先日ベランダにマヨネーズとケチャップを出しっぱなしにしていた隣人が、
今度はアイスクリームの包装紙をテーブルに置きっぱなしているのだ。
どう考えてもゴミなんだから、さっさと捨てればいいのに。
そしてそのゴミの横で、プランターの植物が暑さで枯れ始めている。
そこでアイスクリームを食べたなら植物の様子だって目に入るだろうに。
印象がどんどん悪くなるぞ、この隣人。
この悪い印象がまた、ぐるっとひっくり返ることがあればいいのだが。
すこしだけ前向きに考えて見る。
たとえばものすごい芸術家肌の人だったり数学者だったりして、
なにかに夢中になると他のことが目に入らなくなっちゃうような人で、
知り合ってみたら、なんだ全然悪い人じゃなかったじゃない、とかね。
今回ばかりはあまり期待できなさそうな気もするが、
先走りすぎて「嫌な人たち」と先入観でガチガチにならないようにしないと。
「一事が万事」とずっと言われてきた。
でも、世の中を見回すと「一事が万事」では説明がつかないことがたくさんある。
「一事が万事」は、人を判断するための基準としてではなく、
できればこう在りたしという心構えとしてでも持っているのがいいかな、と思う。
by poirier_AAA
| 2016-07-21 00:37
| 日々の断片
|
Comments(4)
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fusk-en25 at 2016-07-21 02:18
医者はほとんどが喫煙者だそうです。
今でこそ そんなことはないでしょうが、
20年ほど前は医学部の教室のみ白煙が立ち込めていたとか。。
昔々、神経を休めるために煙草を吸いましょうという広告もあって。。
一時が万事だけでなく。
時代も変わるということなんでしょうね。
人は見かけによらぬもの。。。とも言えるし。
私なんか黙っていれば大人しそうな普通の奥さん?
一言喋るとガラの悪い。。。って言われ続けてきた。。。笑。
今でこそ そんなことはないでしょうが、
20年ほど前は医学部の教室のみ白煙が立ち込めていたとか。。
昔々、神経を休めるために煙草を吸いましょうという広告もあって。。
一時が万事だけでなく。
時代も変わるということなんでしょうね。
人は見かけによらぬもの。。。とも言えるし。
私なんか黙っていれば大人しそうな普通の奥さん?
一言喋るとガラの悪い。。。って言われ続けてきた。。。笑。
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poirier_AAA at 2016-07-21 15:31
>fuskさん、こんにちは。
そういえば、わたしが就職した頃も職場内は白煙がもうもうと立ち込めていましたよ。子どもの頃の職員室もそうだったし。それが普通だったなんて、いま考えると信じがたいことですけど、でも本当に普通だったし職場でも店でも煙草の煙が嫌だとか言えなかったですもんね。
ひとを見かけで判断するのも、フランスと日本では判断のしどころが微妙に違うのかなぁと思います。えっ、この人ってこういう人だったの!?という驚きは、どっちかというとこちらで感じることの方が多いです。
いっぺんfuskさんの混じりっけなし炸裂大阪弁トークを聞いてみたい(笑)頭の動きがとろいわたしではついていけないかも。。。。
そういえば、わたしが就職した頃も職場内は白煙がもうもうと立ち込めていましたよ。子どもの頃の職員室もそうだったし。それが普通だったなんて、いま考えると信じがたいことですけど、でも本当に普通だったし職場でも店でも煙草の煙が嫌だとか言えなかったですもんね。
ひとを見かけで判断するのも、フランスと日本では判断のしどころが微妙に違うのかなぁと思います。えっ、この人ってこういう人だったの!?という驚きは、どっちかというとこちらで感じることの方が多いです。
いっぺんfuskさんの混じりっけなし炸裂大阪弁トークを聞いてみたい(笑)頭の動きがとろいわたしではついていけないかも。。。。
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Mtonosama at 2016-07-22 05:41
まめな先生ですね。
煙草好きでも患者の前で吸わなきゃ許しちゃいます。
本当に昔はよく煙草が吸われてましたね。
60年代が舞台の映画なんて白く濁ってます。あの「ハンナ・アーレント」なんかも煙もうもうでした。
そういえば高校時代、大好きな倫理社会の先生に授業後どうでもいいことを質問してたら「先生は煙草を吸いたいんだよ」と振られてしまいました・・・(/_;)
煙草好きでも患者の前で吸わなきゃ許しちゃいます。
本当に昔はよく煙草が吸われてましたね。
60年代が舞台の映画なんて白く濁ってます。あの「ハンナ・アーレント」なんかも煙もうもうでした。
そういえば高校時代、大好きな倫理社会の先生に授業後どうでもいいことを質問してたら「先生は煙草を吸いたいんだよ」と振られてしまいました・・・(/_;)
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poirier_AAA at 2016-07-22 19:11
>Mtonosamaさん、こんにちは。
患者の前では吸わないんですよ。患者と患者の間に「ちょっと待っててね」と言って一服吸ってますけど(我慢できないのね〜)。
このあいだ久しぶりに「レッドオクトーバーを追え」をみたら、なんと潜水艦のなかでみんなタバコを吸ってるんですよ。あれって換気はどうやってるんでしょうね。
わたしは高校時代の国語の先生が大好きでした。小論文を添削してもらうと、その原稿用紙からほのかにタバコの香りがするんです。タバコは嫌いだけど、あれだけはちょっと別枠だったかな?なんて。
患者の前では吸わないんですよ。患者と患者の間に「ちょっと待っててね」と言って一服吸ってますけど(我慢できないのね〜)。
このあいだ久しぶりに「レッドオクトーバーを追え」をみたら、なんと潜水艦のなかでみんなタバコを吸ってるんですよ。あれって換気はどうやってるんでしょうね。
わたしは高校時代の国語の先生が大好きでした。小論文を添削してもらうと、その原稿用紙からほのかにタバコの香りがするんです。タバコは嫌いだけど、あれだけはちょっと別枠だったかな?なんて。