2015年 11月 21日
焼き栗はおいしい |
他の家ではどうかわからないが、
わたしの実家では栗といえば茹で栗だった。
茹でたものを半分に切って、スプーンでくり抜きながら食べる。
夫の家族の場合、栗といえば焼き栗である。
これまでは茹で栗と比べても特に美味しいと思わなかったのだが、
今年親戚の家で食べた焼き栗が滅法美味しかった。
わたしは剥いた皮で皿がいっぱいになるくらい、夢中で食べた。
そしてあっけなく焼き栗派に転向したのである。
この秋は、そんなわけでマルシェに行くたびに栗を仕入れて、
何回も焼き栗を楽しんだ。
子どもは食わず嫌いしているので、いまは大人だけの楽しみ。
子どもが美味しさに気づいて、大人の分も奪って食べるようになるまでの、
つかの間の贅沢。
焼きたての栗を、あっちっちと言いながらせっせと剥いて口に運ぶ。
こんなふうに向かい合って手を動かしている時は、なぜか話がはずむ。
大事なことも瑣末なことも、あれこれ混ぜこぜにして、ボソボソ話す。
もくもくと栗を向きながら、はぐはぐと栗を食みながら、ぼそぼそ話す。
こんな時間が、わたしはけっこう気に入っている。
昨日買った栗は、今年一番の見事な栗だった。
あんまり見事だったので、わたしはかねてから試してみたかったことに挑んだ。
前に日本の人がこんなふうに書いていたのを読んだことがあった。
焼き栗をする時は上の硬い皮だけに切り込みを入れ、渋皮を切らないようにします。
そうすると栗が渋皮の中で蒸し煮したようになって甘みが増すのです。
夫の実家のやり方だと深く切り込みを入れる。
栗のはじっこを、中身がしっかり見えるまでしっかり切る。
そうしないと破裂するから、というのだ。
わたしは硬い皮さえ切ってあれば破裂しないのでは?と思った。
結果から言うと、やっぱり破裂した。
経験者の言葉には素直に従っておけばよかった。
オーブン内で3個、オーブンから出してテーブルに置いてから1個。
オーブンの外で破裂した栗は、
外に出してから30秒以上たってから破裂したので、
もういいだろうと油断していたわたしは、
しっかり焼けた栗の破片を手首にもろにかぶってしまった。
熱かった。
栗が着地した部分がひりひり痛んだ。
栗でもこれだけ熱いのだから、焼けた金属片ならどんなに酷いことになるか。
ふっとそんなことを考えた。
手首に保冷剤を巻きつけて冷やしながら、焼きたての栗を食べた。
君という人は、なぜ人の言うことに素直に聞かないんだ。
栗を頬張りながら、夫には何回も溜息をつかれた。
忠告を無視して失敗するのはこれが初めてじゃない。
近い過去だけでも心当たりがたくさんあって、つまり立派な前科持ちである。
でも、仕方がない。懲りない。自分でやってみたいんだから。
わたしは亥年生まれではないけれど、
夫はわたしのことを典型的な猪突猛進タイプと思っている。
そして義父と義母は、わたしのさらに上をいくイノシシタイプである。
夫はそういう3人に脇を固められて溜息ばかりついていることになる。
子どもはどっちになるだろう? 夫のタイプになる可能性も大きい。
考えてみると、世の中はバランス良くできている。
猪突猛進タイプの人の横には、
石橋を叩いて叩いて、もいちど叩いて確認するタイプの人がいる。
破裂した栗のせいでオーブンも台所も汚れてしまったけど、
やっぱり焼き栗は美味しかった。
もう次は失敗しないし。
今シーズン、あと1回くらいは楽しめるだろうか?
わたしの実家では栗といえば茹で栗だった。
茹でたものを半分に切って、スプーンでくり抜きながら食べる。
夫の家族の場合、栗といえば焼き栗である。
これまでは茹で栗と比べても特に美味しいと思わなかったのだが、
今年親戚の家で食べた焼き栗が滅法美味しかった。
わたしは剥いた皮で皿がいっぱいになるくらい、夢中で食べた。
そしてあっけなく焼き栗派に転向したのである。
この秋は、そんなわけでマルシェに行くたびに栗を仕入れて、
何回も焼き栗を楽しんだ。
子どもは食わず嫌いしているので、いまは大人だけの楽しみ。
子どもが美味しさに気づいて、大人の分も奪って食べるようになるまでの、
つかの間の贅沢。
焼きたての栗を、あっちっちと言いながらせっせと剥いて口に運ぶ。
こんなふうに向かい合って手を動かしている時は、なぜか話がはずむ。
大事なことも瑣末なことも、あれこれ混ぜこぜにして、ボソボソ話す。
もくもくと栗を向きながら、はぐはぐと栗を食みながら、ぼそぼそ話す。
こんな時間が、わたしはけっこう気に入っている。
昨日買った栗は、今年一番の見事な栗だった。
あんまり見事だったので、わたしはかねてから試してみたかったことに挑んだ。
前に日本の人がこんなふうに書いていたのを読んだことがあった。
焼き栗をする時は上の硬い皮だけに切り込みを入れ、渋皮を切らないようにします。
そうすると栗が渋皮の中で蒸し煮したようになって甘みが増すのです。
夫の実家のやり方だと深く切り込みを入れる。
栗のはじっこを、中身がしっかり見えるまでしっかり切る。
そうしないと破裂するから、というのだ。
わたしは硬い皮さえ切ってあれば破裂しないのでは?と思った。
結果から言うと、やっぱり破裂した。
経験者の言葉には素直に従っておけばよかった。
オーブン内で3個、オーブンから出してテーブルに置いてから1個。
オーブンの外で破裂した栗は、
外に出してから30秒以上たってから破裂したので、
もういいだろうと油断していたわたしは、
しっかり焼けた栗の破片を手首にもろにかぶってしまった。
熱かった。
栗が着地した部分がひりひり痛んだ。
栗でもこれだけ熱いのだから、焼けた金属片ならどんなに酷いことになるか。
ふっとそんなことを考えた。
手首に保冷剤を巻きつけて冷やしながら、焼きたての栗を食べた。
君という人は、なぜ人の言うことに素直に聞かないんだ。
栗を頬張りながら、夫には何回も溜息をつかれた。
忠告を無視して失敗するのはこれが初めてじゃない。
近い過去だけでも心当たりがたくさんあって、つまり立派な前科持ちである。
でも、仕方がない。懲りない。自分でやってみたいんだから。
わたしは亥年生まれではないけれど、
夫はわたしのことを典型的な猪突猛進タイプと思っている。
そして義父と義母は、わたしのさらに上をいくイノシシタイプである。
夫はそういう3人に脇を固められて溜息ばかりついていることになる。
子どもはどっちになるだろう? 夫のタイプになる可能性も大きい。
考えてみると、世の中はバランス良くできている。
猪突猛進タイプの人の横には、
石橋を叩いて叩いて、もいちど叩いて確認するタイプの人がいる。
破裂した栗のせいでオーブンも台所も汚れてしまったけど、
やっぱり焼き栗は美味しかった。
もう次は失敗しないし。
今シーズン、あと1回くらいは楽しめるだろうか?
by poirier_AAA
| 2015-11-21 21:55
| 日々の断片
|
Comments(8)
Commented
by
fusk-en25 at 2015-11-22 00:32
近頃は見かけなくなりましたが
穴が一面にあいた焼き栗用のフライパンを売っていたことがありましたよ。
キッチン道具の大好きな私でも流石にそれは買わなかった。。笑。使う頻度を考えて。。
頻度というならエスカルゴを焼く皿も挟む物も買ったのに。。。
随分使ってないなあ。。笑。
オーブンで焼き栗するなんて知らなかった。
うちはもっぱら栗ご飯。
焼き栗で蒸しおこわをする時はちょっと切れ目を入れてから、乾燥させたらいいと読んだことはありますが。
穴が一面にあいた焼き栗用のフライパンを売っていたことがありましたよ。
キッチン道具の大好きな私でも流石にそれは買わなかった。。笑。使う頻度を考えて。。
頻度というならエスカルゴを焼く皿も挟む物も買ったのに。。。
随分使ってないなあ。。笑。
オーブンで焼き栗するなんて知らなかった。
うちはもっぱら栗ご飯。
焼き栗で蒸しおこわをする時はちょっと切れ目を入れてから、乾燥させたらいいと読んだことはありますが。
0
Commented
by
kanafr at 2015-11-22 02:04
偶然ですが、今日、友人と話している時に栗の話になり、彼女は軽くゆで、表面の硬い皮だけ剥いて渋皮がついたままの栗を油で揚げるそうです。ただし低温で揚げるそうですが、揚げた栗にかる塩を振っても美味しいし、お砂糖でも美味しいと言っておりました。ご存知ですか?
今日聞いたばかりなのでまだ栗も買っていませんし、試してもいないのに、お伝えするという非常に無責任なコメですみません(汗)
今日聞いたばかりなのでまだ栗も買っていませんし、試してもいないのに、お伝えするという非常に無責任なコメですみません(汗)
Commented
by
poirier_AAA at 2015-11-22 08:06
>fuskさん、こんばんは。
使う頻度を考えるなら、わたしは断然焼き栗用フライパンですね。エスカルゴ皿は持たなくても後悔しないでしょう。でも、エスカルゴを挟むのは焼き栗を挟むのに転用できるかも。焼きたては熱くて触れないのです。ナフキンに包んで持って割っています。
他のうちはどうしているのかわかりませんけど、夫の家族はオーブンで焼いてます。中温で15分くらいで焼けます(切り込み必須!)。冷たくなってしまうと乾燥して少し固くなるかもしれませんから、冷めきる前に食べるのがオススメです。
使う頻度を考えるなら、わたしは断然焼き栗用フライパンですね。エスカルゴ皿は持たなくても後悔しないでしょう。でも、エスカルゴを挟むのは焼き栗を挟むのに転用できるかも。焼きたては熱くて触れないのです。ナフキンに包んで持って割っています。
他のうちはどうしているのかわかりませんけど、夫の家族はオーブンで焼いてます。中温で15分くらいで焼けます(切り込み必須!)。冷たくなってしまうと乾燥して少し固くなるかもしれませんから、冷めきる前に食べるのがオススメです。
Commented
by
poirier_AAA at 2015-11-22 08:14
>kanafrさん、こんばんは。
なんと、そのお友達はきちんと手をかけて準備されるのですね。すごい。本当にすごいと思います。そんな食べ方があるとは全く知らず、あると想像することもなく、あると知ってもちょっと真似できないかも、と思ってしまいます(特に油で揚げるところ。はねたらどうしようと怖くなってしまう)。
栗って美味しいですよね。マロングラッセも美味しいし、栗ご飯も美味しい。焼いたり茹でたりしただけでも美味しい。モンブランの栗クリームも好きです。あと、フランスにはなんという名前だったか、美味しいマロン・クリームがありますよね。あれも好きなんです。夜中にこんなことを考えていると、お腹がすいてきちゃいますねぇ。。。
なんと、そのお友達はきちんと手をかけて準備されるのですね。すごい。本当にすごいと思います。そんな食べ方があるとは全く知らず、あると想像することもなく、あると知ってもちょっと真似できないかも、と思ってしまいます(特に油で揚げるところ。はねたらどうしようと怖くなってしまう)。
栗って美味しいですよね。マロングラッセも美味しいし、栗ご飯も美味しい。焼いたり茹でたりしただけでも美味しい。モンブランの栗クリームも好きです。あと、フランスにはなんという名前だったか、美味しいマロン・クリームがありますよね。あれも好きなんです。夜中にこんなことを考えていると、お腹がすいてきちゃいますねぇ。。。
Commented
by
haru_rara at 2015-11-22 21:52
読みながら義母の話を思い出していました。
昔、山の畑にひとりで行くのが楽しみだったこと。
栗を拾って焚き火に入れ、焼いて食べたそうです。
そのとき、栗の腹に鎌で切り込みを入れないと、みんなポーンポーン飛んでっちまう、と。
そうそう、猪突猛進の人の隣にはたいてい、落ち着いた人がいるものです(私は亥年です^^)。
昔、山の畑にひとりで行くのが楽しみだったこと。
栗を拾って焚き火に入れ、焼いて食べたそうです。
そのとき、栗の腹に鎌で切り込みを入れないと、みんなポーンポーン飛んでっちまう、と。
そうそう、猪突猛進の人の隣にはたいてい、落ち着いた人がいるものです(私は亥年です^^)。
Commented
by
Mtonosama at 2015-11-23 05:50
Commented
by
poirier_AAA at 2015-11-23 20:59
>haru_raraさん、こんにちは。
「みんなポーンポーン飛んでっちまう」
ふふふ、まさにそのとおり。うちもポーンポーン飛びましたよ。
可笑しいですね。ハルさんのお義母さんとうちの義母と、全然別な場所で生きているのに、同じようなことをしている。畑の作り方なんかを比べると全然違うのに(義母の畑は雑草も作物も共存しています)、なんでしょうね、生き方の姿勢がなんだかよく似ているような気がするんです。ひょっとしたらこれが、土に近い人の、地に足のついた生活をしている人の、国も民族も超えた共通項でしょうか。
イノシシの隣に落ち着いた人がいるというのも、たぶん共通ですね(笑)
「みんなポーンポーン飛んでっちまう」
ふふふ、まさにそのとおり。うちもポーンポーン飛びましたよ。
可笑しいですね。ハルさんのお義母さんとうちの義母と、全然別な場所で生きているのに、同じようなことをしている。畑の作り方なんかを比べると全然違うのに(義母の畑は雑草も作物も共存しています)、なんでしょうね、生き方の姿勢がなんだかよく似ているような気がするんです。ひょっとしたらこれが、土に近い人の、地に足のついた生活をしている人の、国も民族も超えた共通項でしょうか。
イノシシの隣に落ち着いた人がいるというのも、たぶん共通ですね(笑)
Commented
by
poirier_AAA at 2015-11-23 21:05
>Mtonosamaさん、こんにちは。
ありましたねぇ、そんな歌。すっかり忘れていました。思い出せてよかった。
でも、あれはどうして「煮ている」なんでしょう?囲炉裏端なら焼き栗しても良いはずなのに、、、煮ているんてすよね。焼き栗の方が簡単にできそうなのに。。。。謎ですね。
日本って、焼き栗派と茹で栗派とどっちが多いのでしょう?栗の食べ方もきっといろいろあるんでしょうね。ほら、お雑煮でも地方によっていろいろタイプがありますでしょ。ひょっとしたら栗の食べ方もいろいろ違ったりして。研究テーマになるかも(笑)
ありましたねぇ、そんな歌。すっかり忘れていました。思い出せてよかった。
でも、あれはどうして「煮ている」なんでしょう?囲炉裏端なら焼き栗しても良いはずなのに、、、煮ているんてすよね。焼き栗の方が簡単にできそうなのに。。。。謎ですね。
日本って、焼き栗派と茹で栗派とどっちが多いのでしょう?栗の食べ方もきっといろいろあるんでしょうね。ほら、お雑煮でも地方によっていろいろタイプがありますでしょ。ひょっとしたら栗の食べ方もいろいろ違ったりして。研究テーマになるかも(笑)