2015年 07月 06日
ものは言いよう |
パリの環状道路を走っていたら、
1台の車が隣の車線を滑るように走って、わたしたちを追い越して行った。
マセラティだ、と夫が言う。
そういえば、と2人で思い出すことがあった。
去年の夏休みのことである。
いつものようにポルトガルの田舎に行き、
いつものように馴染みのご近所レストランに行った時だった。
食事が終ってさて帰ろうと駐車場に行くと、
家の車の出口をふさぐように1台の車が停まっている。
ちょっと何よ、この車!
むっとふくれたわたしに向かって、夫が笑いながら言った。
ねぇ、見てご覧よ。これ、マセラティだよ。
しかもパリのナンバーがついてる。
こんなド田舎の地元密着レストランに、こんな車で来る人がいるんだねぇ。
マセラティであろうがジャグワであろうがベントレーであろうが、
うちの車の出口を鬱いでいる時点で、みんな邪魔者、無礼者である。
しかし、車を一歩出れば、次に乗り込む時には
間違いなく砂か土を靴裏にくっつけて持ち込むことになるのが必至の田舎に、
パリでもほとんどみたことがない超高級車を乗り付けて来る人がいる。
その強烈なギャップに、みんなでへぇええええと面白がったものだ。
そんなことがあったよねぇと話しながら、
遠ざかるマセラティの後ろ姿を目で追った。
ねぇ、同じようにパリに住んでいても、全然違うねぇ。
かたやピカピカのマセラティで優雅なヴァカンス。
かたや大衆車に畑のキャベツだのトマトだのを山のように積んで、
えっちらおっちらパリに帰る家族連れ。
ふざけて言ったら、夫は横顔のままコメントしてきた。
そういうときはね、畑の野菜と言わないの。
「Produits du terroir(プロデュイ・ド・テロワール)」と言うんだよ。
Produit du terroir という言い方はフランスではよく耳にする。
フランスのそれぞれの土地に、その土地が誇る産物がある。
チーズだったり、肉製品だったり、トリュフだったり、ワインだったり。
昔ながらのそうした特産物を総称して「Produits du terroir」と呼ぶ。
なるほど、義両親の畑の産物もミクロなProduits du terroirと呼べなくもない。
畑のトマトやキャベツを貰って来たと言うと、ひたすら所帯くさく聞こえるのに
Produits du terroirをたくさん持ち帰ったというと、
美味しいものに目のない食べることが好きな人、というイメージに変わる。
やってることは同じなのに、受け取る感じが違うのが可笑しい。
さて、子どもの学校も終って、今日からは正真正銘のヴァカンスに突入。
毎日昼ご飯を作ることを考えると面倒くさいが、
ヴァカンスって、なぜか気持ちがうきうきする。
(昨日から気温が下がって体が楽になったことも無関係じゃない)
短い夏だもの楽しまなくては、ね。
1台の車が隣の車線を滑るように走って、わたしたちを追い越して行った。
マセラティだ、と夫が言う。
そういえば、と2人で思い出すことがあった。
去年の夏休みのことである。
いつものようにポルトガルの田舎に行き、
いつものように馴染みのご近所レストランに行った時だった。
食事が終ってさて帰ろうと駐車場に行くと、
家の車の出口をふさぐように1台の車が停まっている。
ちょっと何よ、この車!
むっとふくれたわたしに向かって、夫が笑いながら言った。
ねぇ、見てご覧よ。これ、マセラティだよ。
しかもパリのナンバーがついてる。
こんなド田舎の地元密着レストランに、こんな車で来る人がいるんだねぇ。
マセラティであろうがジャグワであろうがベントレーであろうが、
うちの車の出口を鬱いでいる時点で、みんな邪魔者、無礼者である。
しかし、車を一歩出れば、次に乗り込む時には
間違いなく砂か土を靴裏にくっつけて持ち込むことになるのが必至の田舎に、
パリでもほとんどみたことがない超高級車を乗り付けて来る人がいる。
その強烈なギャップに、みんなでへぇええええと面白がったものだ。
そんなことがあったよねぇと話しながら、
遠ざかるマセラティの後ろ姿を目で追った。
ねぇ、同じようにパリに住んでいても、全然違うねぇ。
かたやピカピカのマセラティで優雅なヴァカンス。
かたや大衆車に畑のキャベツだのトマトだのを山のように積んで、
えっちらおっちらパリに帰る家族連れ。
ふざけて言ったら、夫は横顔のままコメントしてきた。
そういうときはね、畑の野菜と言わないの。
「Produits du terroir(プロデュイ・ド・テロワール)」と言うんだよ。
Produit du terroir という言い方はフランスではよく耳にする。
フランスのそれぞれの土地に、その土地が誇る産物がある。
チーズだったり、肉製品だったり、トリュフだったり、ワインだったり。
昔ながらのそうした特産物を総称して「Produits du terroir」と呼ぶ。
なるほど、義両親の畑の産物もミクロなProduits du terroirと呼べなくもない。
畑のトマトやキャベツを貰って来たと言うと、ひたすら所帯くさく聞こえるのに
Produits du terroirをたくさん持ち帰ったというと、
美味しいものに目のない食べることが好きな人、というイメージに変わる。
やってることは同じなのに、受け取る感じが違うのが可笑しい。
さて、子どもの学校も終って、今日からは正真正銘のヴァカンスに突入。
毎日昼ご飯を作ることを考えると面倒くさいが、
ヴァカンスって、なぜか気持ちがうきうきする。
(昨日から気温が下がって体が楽になったことも無関係じゃない)
短い夏だもの楽しまなくては、ね。
by poirier_AAA
| 2015-07-06 16:33
| 日々の断片
|
Comments(4)
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Mtonosama at 2015-07-07 06:14
Produits du terroir
最後の単語を見てテロかと思う貧困さ(-_-;)
私も夏になるとProduits du terroirのインゲンだのキュウリだのナスだのを水泳仲間の年長者からいただきます。
甘味が違いますよね。前はインゲンのカスカス感が嫌いだったけど、今では大好きになりました。
最後の単語を見てテロかと思う貧困さ(-_-;)
私も夏になるとProduits du terroirのインゲンだのキュウリだのナスだのを水泳仲間の年長者からいただきます。
甘味が違いますよね。前はインゲンのカスカス感が嫌いだったけど、今では大好きになりました。
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poirier_AAA at 2015-07-07 15:07
>Mtonosamaさん、こんにちは。
うふふ、水泳に行って産直野菜をいただくって、すごくいいですね。
体の外からも中からも健康になれそうな組み合わせ。
そうなんですよね。穫ったばかりの野菜って味が違います。わたしもむかしは缶詰や冷凍のグリーンピースのスカスカ、ぼそぼそ感が大嫌いでグリーンピース嫌いを大声で言っていたのですけど、鞘付きのグリーンピースをマルシェで直接生産農家から買うようになったら、全然味が違うのでびっくりしました。いまは季節になると食べるのが楽しみでそわそわします。
うふふ、水泳に行って産直野菜をいただくって、すごくいいですね。
体の外からも中からも健康になれそうな組み合わせ。
そうなんですよね。穫ったばかりの野菜って味が違います。わたしもむかしは缶詰や冷凍のグリーンピースのスカスカ、ぼそぼそ感が大嫌いでグリーンピース嫌いを大声で言っていたのですけど、鞘付きのグリーンピースをマルシェで直接生産農家から買うようになったら、全然味が違うのでびっくりしました。いまは季節になると食べるのが楽しみでそわそわします。
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fusk-en25 at 2015-07-08 21:31
Commented
by
poirier_AAA at 2015-07-09 16:50
>fuskさん、こんにちは。
そうそう。もやしも自分で作ると違いますよね。
自分で野菜や果物を作りながら家畜も育てられたら良いなぁとときどき思うのです。でも、美味しいものには虫がつくからなぁ。。。。虫だけがネックなのです。
そうそう。もやしも自分で作ると違いますよね。
自分で野菜や果物を作りながら家畜も育てられたら良いなぁとときどき思うのです。でも、美味しいものには虫がつくからなぁ。。。。虫だけがネックなのです。