2014年 03月 08日
好みの問題だけれど |
数週間前、フランスで「La Voleuse de livres」という映画が公開された。
同じタイトルの原作本があって、それが映画化された、というわけ。
La Voleuse de livres、邦訳は「本泥棒」。
本屋で平積みになっているタイトルを見たときから、ずっと気になっていた。
それが映画化されて近々公開される。
となれば、とにかく公開前に原作を読まねば。
そう思って本を買って来たのが1月末のこと。
結局ほとんど読み進められないうちに2月は過ぎ、
公開が始まった映画はあっという間に終ってしまい、
わたし1人、読み終わらない本を手に茫然と立ち尽くしている。
この本、アマゾンではかなり高い評価だったので期待していたのだけれど、
なかなか話に入り込めなかった。
これは言ってしまってもいいかな?
死神がナレーターなのだ。
発想としては独創的なのだろうけれど、
ときどき入る注意書きみたいなものが邪魔で物語に集中できない。
面白くなるまでにどれだけ読まないとならないんだろう。。。
数ページ読んでは撃沈、の毎日を繰り返しながら思う。
たかだか50ページ読んだだけで文句を言うな!と言われそうだが、
50ページあれば魅力的な短編小説なんてとっくに終っている。
癪に障るので気分転換にドーデの「風車小屋だより」を開いた。
Ce sont les lapins qui ont été étonnés !... Depuis si longtemps qu'ils voyaient la porte du moulin fermée, les murs et la plate-forme envahis par les herbes, ils avaient fini par croire que la race des meuniers était éteinte, et, trouvant la place bonne, ils en avaient fait quelque chose comme un quartier général, un centre d'opérations stratégiques : le moulin de Jemmapes des lapins... La nuit de mon arrivée, il y en avait bien, sans mentir, une vingtaine assis en rond sur la plate-forme, en train de se chauffer les pattes à un rayon de lune... Le temps d'entrouvrir une lucarne, frrt ! voilà le bivouac en déroute, et tous ces petits derrières blancs qui détalent, la queue en l'air, dans le fourré.J'espère bien qu'ils reviendront.
風車小屋にたどり着くとそこはウサギたちの集会所になっていて、荒れ果てた風車小屋の中で20匹余りのウサギたちが円になって月明かりをあびて座っていた。そのウサギたちはドアの開く音におどろいてしっぽを見せながら逃げていった。、、、、という、一番最初の場面。
この部分は昔、夫にディクテで読んでもらったことがある。
ディクテは難しかったけれど、
朗読を聞いていると目の前にいきいきと情景が浮かび上がって来て
プロヴァンスの風や光や香りまで感じられるような気がした。
たちまち作品の魅力に引き込まれた。
こういう文章が好きなのだ。
最初の一文からいきなり別世界に足を踏み入れたように感じる
緊張感のある凝縮した文章。
比べちゃいけないのだろうけれど、どうしても比べてしまう。
小説は筋だけではないよね。。。
とは言いながらも。
誰か「本泥棒」を最後まで読んだ方はいらっしゃいますか?
おもしろかったですか?
絶対に面白い、もうちょっと頑張れ!と力強く言ってもらえたら、
頑張ってこの山を越えて面白い部分まで歩き続けられるかもしれない。
できることなら最後まで読んでやりたいじゃないですか。そのための本だもの。
我強求、肯定的意見!
同じタイトルの原作本があって、それが映画化された、というわけ。
La Voleuse de livres、邦訳は「本泥棒」。
本屋で平積みになっているタイトルを見たときから、ずっと気になっていた。
それが映画化されて近々公開される。
となれば、とにかく公開前に原作を読まねば。
そう思って本を買って来たのが1月末のこと。
結局ほとんど読み進められないうちに2月は過ぎ、
公開が始まった映画はあっという間に終ってしまい、
わたし1人、読み終わらない本を手に茫然と立ち尽くしている。
この本、アマゾンではかなり高い評価だったので期待していたのだけれど、
なかなか話に入り込めなかった。
これは言ってしまってもいいかな?
死神がナレーターなのだ。
発想としては独創的なのだろうけれど、
ときどき入る注意書きみたいなものが邪魔で物語に集中できない。
面白くなるまでにどれだけ読まないとならないんだろう。。。
数ページ読んでは撃沈、の毎日を繰り返しながら思う。
たかだか50ページ読んだだけで文句を言うな!と言われそうだが、
50ページあれば魅力的な短編小説なんてとっくに終っている。
癪に障るので気分転換にドーデの「風車小屋だより」を開いた。
Ce sont les lapins qui ont été étonnés !... Depuis si longtemps qu'ils voyaient la porte du moulin fermée, les murs et la plate-forme envahis par les herbes, ils avaient fini par croire que la race des meuniers était éteinte, et, trouvant la place bonne, ils en avaient fait quelque chose comme un quartier général, un centre d'opérations stratégiques : le moulin de Jemmapes des lapins... La nuit de mon arrivée, il y en avait bien, sans mentir, une vingtaine assis en rond sur la plate-forme, en train de se chauffer les pattes à un rayon de lune... Le temps d'entrouvrir une lucarne, frrt ! voilà le bivouac en déroute, et tous ces petits derrières blancs qui détalent, la queue en l'air, dans le fourré.J'espère bien qu'ils reviendront.
風車小屋にたどり着くとそこはウサギたちの集会所になっていて、荒れ果てた風車小屋の中で20匹余りのウサギたちが円になって月明かりをあびて座っていた。そのウサギたちはドアの開く音におどろいてしっぽを見せながら逃げていった。、、、、という、一番最初の場面。
この部分は昔、夫にディクテで読んでもらったことがある。
ディクテは難しかったけれど、
朗読を聞いていると目の前にいきいきと情景が浮かび上がって来て
プロヴァンスの風や光や香りまで感じられるような気がした。
たちまち作品の魅力に引き込まれた。
こういう文章が好きなのだ。
最初の一文からいきなり別世界に足を踏み入れたように感じる
緊張感のある凝縮した文章。
比べちゃいけないのだろうけれど、どうしても比べてしまう。
小説は筋だけではないよね。。。
とは言いながらも。
誰か「本泥棒」を最後まで読んだ方はいらっしゃいますか?
おもしろかったですか?
絶対に面白い、もうちょっと頑張れ!と力強く言ってもらえたら、
頑張ってこの山を越えて面白い部分まで歩き続けられるかもしれない。
できることなら最後まで読んでやりたいじゃないですか。そのための本だもの。
我強求、肯定的意見!
by poirier_aaa
| 2014-03-08 03:30
| フランス語を読む
|
Comments(6)
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saheizi-inokori at 2014-03-08 10:47
なんかのはずみで突然面白くなるってことがあるから油断できないのですが、その保証もないし、、困った本チャンですね。
0
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Mtonosama at 2014-03-09 06:49
小説も映画も筋だけではないですよね。
どうしても入り込めない本ってあります。
私は多和田葉子さんとガルシア・マルケスがそうでした。
でも、今はちょっとだけ仲良くなれたような、いや、なれそうな
気がしています。
死神、本泥棒・・・
なんかそそりますけどねぇ。
どうしても入り込めない本ってあります。
私は多和田葉子さんとガルシア・マルケスがそうでした。
でも、今はちょっとだけ仲良くなれたような、いや、なれそうな
気がしています。
死神、本泥棒・・・
なんかそそりますけどねぇ。
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kohada
at 2014-03-09 22:52
x
梨の木さま
はじめまして。フランス映画・文学を通じた検索経緯からブログを知り時々拝読。私も死神のナレーションが読みづらく、逸話(例:ジェシー:オーエンズ)も「読みにくいな」と感じたもののホロリと涙しながら魅了され2回英語原作を読み、日本語翻訳版も読破。kohada(愛ネコの名)は本好き、中級を脱せない仏語学習者、双子姉妹人生を歩んでいる東京在住50代女、双子の親の気持ちはこうだったの?という新たな発見もしながらブログを拝読しています。
はじめまして。フランス映画・文学を通じた検索経緯からブログを知り時々拝読。私も死神のナレーションが読みづらく、逸話(例:ジェシー:オーエンズ)も「読みにくいな」と感じたもののホロリと涙しながら魅了され2回英語原作を読み、日本語翻訳版も読破。kohada(愛ネコの名)は本好き、中級を脱せない仏語学習者、双子姉妹人生を歩んでいる東京在住50代女、双子の親の気持ちはこうだったの?という新たな発見もしながらブログを拝読しています。
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poirier_aaa at 2014-03-10 20:32
>saheiziさん、こんにちは。
そうそう、その「なんかのはずみで」を待っているんですよ〜。
もう少し頑張ったら「はずみ」がつくかもと、意地になって持ち歩いています。持ち歩いている割に、全然先に進んでないと言う。。。。困ったちゃん本ですね。
そうそう、その「なんかのはずみで」を待っているんですよ〜。
もう少し頑張ったら「はずみ」がつくかもと、意地になって持ち歩いています。持ち歩いている割に、全然先に進んでないと言う。。。。困ったちゃん本ですね。
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poirier_aaa at 2014-03-10 20:45
>mtonosamaさん、こんにちは。
どうしても入り込めない本ってありますよね。わたしは辻邦生を読んでみたかったのに、少し前に試したら駄目だったんですよ。
でもそんな本でも、こちらの準備ができると急に面白く感じられることもあるので「面白そうなんだけど読めない本」という括りにしてとってあります。ちょっと楽しみなのです。
この映画、日本でも公開されるそうですね。試写室でも取り上げられるかなぁ、なんて。。。
今日はこれから映画に行ってきます^^。
どうしても入り込めない本ってありますよね。わたしは辻邦生を読んでみたかったのに、少し前に試したら駄目だったんですよ。
でもそんな本でも、こちらの準備ができると急に面白く感じられることもあるので「面白そうなんだけど読めない本」という括りにしてとってあります。ちょっと楽しみなのです。
この映画、日本でも公開されるそうですね。試写室でも取り上げられるかなぁ、なんて。。。
今日はこれから映画に行ってきます^^。
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poirier_aaa at 2014-03-10 20:57
>kohadaさん、はじめまして。
コメントをありがとうございます。
あちこちで興味が重なっていて、面白いですね。わたしは自分では双子の親サイドのことしかわかりませんので、自身が双子だという人に会うと「どんな感じでしたか?」とついあれこれ質問してしまうのです。双子として生まれるなんてたまたまの結果でしかありませんが、人にはわからない苦労もあるのではないかなぁと想像しています。kohadaさんは如何ですか?
この本、ホロリと涙が出る話なのですね。実際に読んだという人の感想は初めてなので、おかげさまでモチベーションが上がりそうです。読み難さを乗り越えて泣けるところまで頑張ってみます。
コメントをありがとうございます。
あちこちで興味が重なっていて、面白いですね。わたしは自分では双子の親サイドのことしかわかりませんので、自身が双子だという人に会うと「どんな感じでしたか?」とついあれこれ質問してしまうのです。双子として生まれるなんてたまたまの結果でしかありませんが、人にはわからない苦労もあるのではないかなぁと想像しています。kohadaさんは如何ですか?
この本、ホロリと涙が出る話なのですね。実際に読んだという人の感想は初めてなので、おかげさまでモチベーションが上がりそうです。読み難さを乗り越えて泣けるところまで頑張ってみます。