2013年 11月 21日
知らない作家 |
本の紹介の小冊子をぱらぱらと眺めていたら、
お勧め本の1冊として日本の作家の本が紹介されていた。
Ito Ogawa「Le restaurant de l'amour retrouvé」
この作家の処女作で、日本で大ベストセラーとなった本
と説明されているものの、わたしはこの作家の名前を聞いたことがなかった。
小川洋子なら知っているけれど、そうじゃないのよね。
調べてみて、この作品の原題が「食堂カタツムリ」であることがわかった。
この作家が、もうかなりの数の作品を書いていることもわかった。
そうか、日本にいたら絶対に耳に入っていたはずの名前なんだな、と思った。
本屋が大好きなわたしなのに、もうベストセラー作家の名前すらおぼつかない。
そういえば、しばらく前に出来た「赤坂サカス」という建物の名前も
「サカス」の部分のイントネーションが未だにわからない。
ブログなんかでもよく見かけた「じぇじぇじぇ」が
一体何の意味で、どういう状況で使う言葉なのかも全然わからない。
流行っている歌い手とか俳優の名前なんかはもっといけない。
こうして、海外に住む時間が長くなればなるほど浦島状態が進む。
たかが7年のことなのに、とわたしは思う。
フランスの7年なんて、大統領が変わったくらいで他はそれほど変わらない。
でも時間のスピードが速い日本では、そんな昔の話なんて、となるのだろうね。
7年でこれでは先が思いやられる。
ところで、この作品についてのアマゾンの書評をみて驚いた。
星5つから星1個まで、ほぼ満遍なく評価が分散している。
受け入れられるか、拒否したくなるか、
読者の好みがはっきりでる作品なのかな、という印象だ。
面白いなぁと思ったのは、
ペットとして飼われている豚が出てくるらしいこと。
前回豚の話を書いたばかりなので、妙な因縁を感じてしまう。
軽すぎる、浅すぎる、という日本人読者のキツい評がある一方で、
このフランスの記事では「詩のような作品」と書かれていた。
まぁ、わりあい柔らかい本ばかり扱う冊子だから、
この一言がフランス人全体の印象を代表しているとは言えないのだけれど。
11月のフランスは、複数の文学賞の受賞作が発表される時でもあり、
この発表を受けて書店に受賞作がずらりと並べられる時期でもある。
いつのまにか、日本の流行作家の名前より、
フランスの本屋に並ぶ作家名やタイトルの方が身近になってしまった。
あと1ヶ月後には、わたしの滞仏期間も丸7年になる。
時間というものは容赦なく、淡々として正直だね、と思う。
お勧め本の1冊として日本の作家の本が紹介されていた。
Ito Ogawa「Le restaurant de l'amour retrouvé」
この作家の処女作で、日本で大ベストセラーとなった本
と説明されているものの、わたしはこの作家の名前を聞いたことがなかった。
小川洋子なら知っているけれど、そうじゃないのよね。
調べてみて、この作品の原題が「食堂カタツムリ」であることがわかった。
この作家が、もうかなりの数の作品を書いていることもわかった。
そうか、日本にいたら絶対に耳に入っていたはずの名前なんだな、と思った。
本屋が大好きなわたしなのに、もうベストセラー作家の名前すらおぼつかない。
そういえば、しばらく前に出来た「赤坂サカス」という建物の名前も
「サカス」の部分のイントネーションが未だにわからない。
ブログなんかでもよく見かけた「じぇじぇじぇ」が
一体何の意味で、どういう状況で使う言葉なのかも全然わからない。
流行っている歌い手とか俳優の名前なんかはもっといけない。
こうして、海外に住む時間が長くなればなるほど浦島状態が進む。
たかが7年のことなのに、とわたしは思う。
フランスの7年なんて、大統領が変わったくらいで他はそれほど変わらない。
でも時間のスピードが速い日本では、そんな昔の話なんて、となるのだろうね。
7年でこれでは先が思いやられる。
ところで、この作品についてのアマゾンの書評をみて驚いた。
星5つから星1個まで、ほぼ満遍なく評価が分散している。
受け入れられるか、拒否したくなるか、
読者の好みがはっきりでる作品なのかな、という印象だ。
面白いなぁと思ったのは、
ペットとして飼われている豚が出てくるらしいこと。
前回豚の話を書いたばかりなので、妙な因縁を感じてしまう。
軽すぎる、浅すぎる、という日本人読者のキツい評がある一方で、
このフランスの記事では「詩のような作品」と書かれていた。
まぁ、わりあい柔らかい本ばかり扱う冊子だから、
この一言がフランス人全体の印象を代表しているとは言えないのだけれど。
11月のフランスは、複数の文学賞の受賞作が発表される時でもあり、
この発表を受けて書店に受賞作がずらりと並べられる時期でもある。
いつのまにか、日本の流行作家の名前より、
フランスの本屋に並ぶ作家名やタイトルの方が身近になってしまった。
あと1ヶ月後には、わたしの滞仏期間も丸7年になる。
時間というものは容赦なく、淡々として正直だね、と思う。
by poirier_AAA
| 2013-11-21 18:51
| 日々の断片
|
Comments(10)
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saheizi-inokori at 2013-11-21 19:35
日本にいても新しい作家の本はほとんど読んでないです。小川糸だったかも名前だけしか知りません。ジエジエジエもあまり聞いたことがないなあ。
流行り歌にいたってはみんな同じように聞こえます。異邦人化してます。
流行り歌にいたってはみんな同じように聞こえます。異邦人化してます。
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Mtonosama at 2013-11-21 20:21
これ映画になりました。予告編を貼らせていただきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=epuRzUcsNYw
小川糸著です。
本は読んでいませんが、BSで映画を観ました。
小川洋子は好きです。彼女のちょっと薄気味悪い感じいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=epuRzUcsNYw
小川糸著です。
本は読んでいませんが、BSで映画を観ました。
小川洋子は好きです。彼女のちょっと薄気味悪い感じいいですね。
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fusk
at 2013-11-21 22:45
x
本当に日本の流行は早いですね。
しかも流行っている時はだーれもが浸かっている。私の様なへそ曲がりが少ない。笑。
この本は本当に軽めで。軽いのもたまにいいけれど。。。。でも。。。
ふーん翻訳されているんだ。たしか映画になっていたとか。
誰かに貰って この作家のはこれ1冊しか読んでないのですが2冊目?躊躇う。偏見から言うと。食べ物の話がひつこい。うるさい?
親子関係のおもしろさは幾らか有りましたけれどね。
しかも流行っている時はだーれもが浸かっている。私の様なへそ曲がりが少ない。笑。
この本は本当に軽めで。軽いのもたまにいいけれど。。。。でも。。。
ふーん翻訳されているんだ。たしか映画になっていたとか。
誰かに貰って この作家のはこれ1冊しか読んでないのですが2冊目?躊躇う。偏見から言うと。食べ物の話がひつこい。うるさい?
親子関係のおもしろさは幾らか有りましたけれどね。
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kanafr at 2013-11-22 06:27
展示会に日本のメーカーさんと行くと必ず言われるのが「何か新しいものないか?」なんですよ。いい作り手の方達も沢山いるのに、その人達を育てていこうっていう気がないんですね。斬新さだけで、ハイ終わり!になってしまう。残念だなあって思います。
小説家も話題性でxx賞とかあげても続かないですよね。先日、友人から勧められて読んだ推理物も面白かったんですが、おもしろかったのは賞をとった第1作のみで、第2第3と一応読みましたが、エラそうな言い方をすると、文章がだんだん平凡になって第1作目のような切れ味がないんです。何なのでしょうね。昔の作家の人達にはこういうのって感じないんですけどね..。私が古い感覚なのかもしれませんが..。
小説家も話題性でxx賞とかあげても続かないですよね。先日、友人から勧められて読んだ推理物も面白かったんですが、おもしろかったのは賞をとった第1作のみで、第2第3と一応読みましたが、エラそうな言い方をすると、文章がだんだん平凡になって第1作目のような切れ味がないんです。何なのでしょうね。昔の作家の人達にはこういうのって感じないんですけどね..。私が古い感覚なのかもしれませんが..。
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poirier_AAA at 2013-11-22 17:55
>saheiziさん、こんにちは。
確かに、流行作家のさらさらっと読める文章はさらさらっと読んでそれっきり何も残らないで終わってしまったりするので、それくらいなら噛めば噛むほど味わいのある本を繰り返し読んでいた方がずうっといいや、と(半分ひねくれて)思ったりもします。内田百閒とか武田百合子とか。何回読んでも、ちょびっと拾い読みしただけでも面白くて、なんとなくいい気持ちになりますね。
確かに、流行作家のさらさらっと読める文章はさらさらっと読んでそれっきり何も残らないで終わってしまったりするので、それくらいなら噛めば噛むほど味わいのある本を繰り返し読んでいた方がずうっといいや、と(半分ひねくれて)思ったりもします。内田百閒とか武田百合子とか。何回読んでも、ちょびっと拾い読みしただけでも面白くて、なんとなくいい気持ちになりますね。
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poirier_AAA at 2013-11-22 18:00
>mtonosamaさん、こんにちは。
映画の話、教えて下さってありがとうございます。
予告編を観てみたのですが、、、、不思議な感じの作品ですね。メルヘンチックかと思えば「倫子の倫は不倫の倫」というのけぞるような母親の言葉が飛び出したりして。うーん、強烈でした。
とのさんはご覧になりましたか?
小川洋子、こちらでもたくさん翻訳されているんですよ。彼女の描く世界は静かで独特ですよね。
映画の話、教えて下さってありがとうございます。
予告編を観てみたのですが、、、、不思議な感じの作品ですね。メルヘンチックかと思えば「倫子の倫は不倫の倫」というのけぞるような母親の言葉が飛び出したりして。うーん、強烈でした。
とのさんはご覧になりましたか?
小川洋子、こちらでもたくさん翻訳されているんですよ。彼女の描く世界は静かで独特ですよね。
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poirier_AAA at 2013-11-22 18:10
>fuskさん、こんにちは。
あ、やっぱりこの作家のことをご存知でしたね。fuskさんは読んでいらっしゃるんじゃないかな、と思っていました。
食べ物の話が「美味しそう」じゃなくて「ひつこい」のですね。どういう書き方をしているんでしょう。食べ物の話ってたいてい美味しそうに感じられるのに。蘊蓄を語りすぎる、とか?
自腹を切る覚悟はないのですが、ここまでアマゾンで酷評されている本、fuskさんにもひつこいと言われてしまった本だと、なんだか好奇心を刺激されてしまいます。
あ、やっぱりこの作家のことをご存知でしたね。fuskさんは読んでいらっしゃるんじゃないかな、と思っていました。
食べ物の話が「美味しそう」じゃなくて「ひつこい」のですね。どういう書き方をしているんでしょう。食べ物の話ってたいてい美味しそうに感じられるのに。蘊蓄を語りすぎる、とか?
自腹を切る覚悟はないのですが、ここまでアマゾンで酷評されている本、fuskさんにもひつこいと言われてしまった本だと、なんだか好奇心を刺激されてしまいます。
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poirier_AAA at 2013-11-22 18:36
>kanafrさん、こんにちは。
わたしもkanafrさんと似たような事を感じます。新しいもの好きなのもいいけれど、いつもいつも新しいものばかり追いかけていたら、フッと気がついた時には足下に確かなものが何一つないような状態になるのではないかと。日本人のこういう部分は、すごく残酷だなぁと思います。
効率優先の社会だと、限られた時間内にどれだけ成果を上げるかが評価のポイントになります。だから10年後には必ず芽が出るというような素材を見つけても、ゆっくり育てている時間をとれない。芽が出る前に自分が切られてしまう可能性の方が高い。だからみんな簡単なものにとびついて、当座の安心を確保するしかないんですよね。そういう原理でまわっている社会では、本当に質のいいものを育てる(守り続ける)のは難しいだろうなぁと思います。
わたしもkanafrさんと似たような事を感じます。新しいもの好きなのもいいけれど、いつもいつも新しいものばかり追いかけていたら、フッと気がついた時には足下に確かなものが何一つないような状態になるのではないかと。日本人のこういう部分は、すごく残酷だなぁと思います。
効率優先の社会だと、限られた時間内にどれだけ成果を上げるかが評価のポイントになります。だから10年後には必ず芽が出るというような素材を見つけても、ゆっくり育てている時間をとれない。芽が出る前に自分が切られてしまう可能性の方が高い。だからみんな簡単なものにとびついて、当座の安心を確保するしかないんですよね。そういう原理でまわっている社会では、本当に質のいいものを育てる(守り続ける)のは難しいだろうなぁと思います。
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fusk
at 2013-11-22 20:06
x
ブリアサヴァランのように探究心?のある食べ物の本は楽しいですが。
本来の食べ物はまともな物(トマトはトマトの味がする様な)を食べたい。
しかも毎日食べる物だから、飽きがこないで作れた方がいい。
と思うとひつこい感じがするのです。
「たかが食べ物。されど食べ物。。。」ってさりげなくやって欲しいと。
本来の食べ物はまともな物(トマトはトマトの味がする様な)を食べたい。
しかも毎日食べる物だから、飽きがこないで作れた方がいい。
と思うとひつこい感じがするのです。
「たかが食べ物。されど食べ物。。。」ってさりげなくやって欲しいと。
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poirier_AAA at 2013-11-22 21:18
>fuskさん、
あぁ、ブリアサヴァランの本も面白かったですね。
>本来の食べ物はまともな物(トマトはトマトの味がする様な)を食べたい。
しかも毎日食べる物だから、飽きがこないで作れた方がいい。
ということは、ストレートな味を生かさないような、作っていると飽きちゃうようなお料理が多いのですね。確かに料理の場面が出てくると、必ず自分で味とか手順を想像しながら読みます。そこで(料理人の勘で)作り甲斐があると思えるか、作ってみたいと思うかどうかってあると思いますね。作家本人の料理経験や腕も影響するのかもしれませんし。
あぁ、ブリアサヴァランの本も面白かったですね。
>本来の食べ物はまともな物(トマトはトマトの味がする様な)を食べたい。
しかも毎日食べる物だから、飽きがこないで作れた方がいい。
ということは、ストレートな味を生かさないような、作っていると飽きちゃうようなお料理が多いのですね。確かに料理の場面が出てくると、必ず自分で味とか手順を想像しながら読みます。そこで(料理人の勘で)作り甲斐があると思えるか、作ってみたいと思うかどうかってあると思いますね。作家本人の料理経験や腕も影響するのかもしれませんし。