2013年 02月 23日
古楽器の音 |
わたしの音楽の入り口はオーケストラ曲で、
それも大編成で重厚な曲をカッコいいと思って聞いていた。
それが、いつの頃からかだんだん古好みになってきて、
バッハだのモーツアルトだのの方が落ち着くなぁと思うようになった。
フランスに住むようになってからは、
いわゆる古楽と呼ばれるような分野に親しみを感じるようになった。
といって、全然詳しくないのだけれど。
古楽だと落ち着く理由の1つに、古楽器の音がある。
スタインウェイのキラキラした音はいい。
パールマンのヴァイオリンの華やかで明るい音も高揚する。
でも、これらは言ってみればハレの日の音みたいなもので、
日常生活のテンションの中には上手く馴染まない、ような気がする。
東京のように人が忙しく歩き、情報が溢れ、常にお祭りみたいな場所なら、
こういうモダンな楽器の音でもそれほど違和感無く馴染むのかもしれない。
けれどもパリは、例えば分類上は都会扱いされたとしても、
東京のような「常に非日常」の興奮が感じられない。
華やかなファッション・ウィークのときでも、
皆がソワソワするクリスマスの前でも、
人間の興奮は古い石の街並が吸い込んでしまう。
賑やかさの底に、常に乱れぬ静けさが潜んでいるような気がする。
古楽器の煌めきすぎない音は、そんな静けさによく似合う。
ピアノじゃなくて、フォルテピアノだったらもっといいのに、
なんて思う。
フォルテピアノとバロック・ヴァイオリンなら、こんな風になる。
6分過ぎあたりからピアノの速いパッセージが出て来るのだけれど、
玉を転がすようなころころとした響きが好き。
フォルテピアノと言えば、こんなものも見つけた。
ポルトガル人のピアニスト、マリア・ジョアオン・ピレシュが、
ちょっと弾かせて下さいと言ってフォルテピアノを弾いているところ。
ショパンも、楽器が違うと雰囲気がずいぶん変わる。
ピレシュについては、こんな面白い動画もあった。
ある日のランチタイムコンサートで、
予想していたのと違うコンチェルトの前奏が始まってしまった!
雷に撃たれたようなショックから持ち直して、徐々に曲に集中して行く。
彼女が最初の音を叩いた瞬間は感動する。
事に動じていない指揮者シャイーもすごいね。
木曜日から一気に寒くなったパリ。
寒さが染みるこんな日は、家でぬくぬくと音楽でも聴いて過ごしたい。
‥‥と言いながら,実は現実逃避しているわたし。
それも大編成で重厚な曲をカッコいいと思って聞いていた。
それが、いつの頃からかだんだん古好みになってきて、
バッハだのモーツアルトだのの方が落ち着くなぁと思うようになった。
フランスに住むようになってからは、
いわゆる古楽と呼ばれるような分野に親しみを感じるようになった。
といって、全然詳しくないのだけれど。
古楽だと落ち着く理由の1つに、古楽器の音がある。
スタインウェイのキラキラした音はいい。
パールマンのヴァイオリンの華やかで明るい音も高揚する。
でも、これらは言ってみればハレの日の音みたいなもので、
日常生活のテンションの中には上手く馴染まない、ような気がする。
東京のように人が忙しく歩き、情報が溢れ、常にお祭りみたいな場所なら、
こういうモダンな楽器の音でもそれほど違和感無く馴染むのかもしれない。
けれどもパリは、例えば分類上は都会扱いされたとしても、
東京のような「常に非日常」の興奮が感じられない。
華やかなファッション・ウィークのときでも、
皆がソワソワするクリスマスの前でも、
人間の興奮は古い石の街並が吸い込んでしまう。
賑やかさの底に、常に乱れぬ静けさが潜んでいるような気がする。
古楽器の煌めきすぎない音は、そんな静けさによく似合う。
ピアノじゃなくて、フォルテピアノだったらもっといいのに、
なんて思う。
フォルテピアノとバロック・ヴァイオリンなら、こんな風になる。
6分過ぎあたりからピアノの速いパッセージが出て来るのだけれど、
玉を転がすようなころころとした響きが好き。
フォルテピアノと言えば、こんなものも見つけた。
ポルトガル人のピアニスト、マリア・ジョアオン・ピレシュが、
ちょっと弾かせて下さいと言ってフォルテピアノを弾いているところ。
ショパンも、楽器が違うと雰囲気がずいぶん変わる。
ピレシュについては、こんな面白い動画もあった。
ある日のランチタイムコンサートで、
予想していたのと違うコンチェルトの前奏が始まってしまった!
雷に撃たれたようなショックから持ち直して、徐々に曲に集中して行く。
彼女が最初の音を叩いた瞬間は感動する。
事に動じていない指揮者シャイーもすごいね。
木曜日から一気に寒くなったパリ。
寒さが染みるこんな日は、家でぬくぬくと音楽でも聴いて過ごしたい。
‥‥と言いながら,実は現実逃避しているわたし。
by poirier_AAA
| 2013-02-23 21:57
| 聴く
|
Comments(4)
古楽器の音色は私も好きです。
リールのコンセルヴァトワールの学校開放のイベントでも古楽器アンサンブルを聴く機会がありましたが、古楽器を演奏している生徒の人たちは、何と言うか野心ギラギラな感じじゃなくて、音楽を心から愛しているみたいな雰囲気が素敵でした(←気のせいかも)。
フォルテピアノは自分で弾いたことはないのですが、モダンピアノでも古いものだと今のピアノと随分と趣の違う音色です。100年近く前のGaveauのピアノは発表会で何度か弾きましたが、いつもその優しい温かみのある音色に惚れ惚れしてしまいます。フランスだと、それくらい古いピアノも普通にピアノ屋さんで見かけるでしょうから、ぜひ一度試してみてください。
他に古楽器と言えば、鍵盤楽器なのになぜかビブラートがかけられるクラヴィコードを弾いてみたいとか、フルートを吹く妻がいつかフルートの古楽器フラウト・トラヴェルソに手を出さないかなとか、夢は尽きません。
それにしても、最後のピレシュのハプニングはびっくりしました。。。
リールのコンセルヴァトワールの学校開放のイベントでも古楽器アンサンブルを聴く機会がありましたが、古楽器を演奏している生徒の人たちは、何と言うか野心ギラギラな感じじゃなくて、音楽を心から愛しているみたいな雰囲気が素敵でした(←気のせいかも)。
フォルテピアノは自分で弾いたことはないのですが、モダンピアノでも古いものだと今のピアノと随分と趣の違う音色です。100年近く前のGaveauのピアノは発表会で何度か弾きましたが、いつもその優しい温かみのある音色に惚れ惚れしてしまいます。フランスだと、それくらい古いピアノも普通にピアノ屋さんで見かけるでしょうから、ぜひ一度試してみてください。
他に古楽器と言えば、鍵盤楽器なのになぜかビブラートがかけられるクラヴィコードを弾いてみたいとか、フルートを吹く妻がいつかフルートの古楽器フラウト・トラヴェルソに手を出さないかなとか、夢は尽きません。
それにしても、最後のピレシュのハプニングはびっくりしました。。。
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saheizi-inokori at 2013-02-24 10:09
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poirier_AAA at 2013-02-24 19:15
>かずひこさん、こんにちは。
古楽器の音、いいですよね。一旦はまるとやめられません。
息子の通う音楽教室にもリコーダーのクラスがあるのですが、先生と話していたら「古い音楽専門の楽器だと思われているようで人気がなくて」と残念がっていました。リコーダーもフラウト・トラヴェルソもいい音なんですけれどねぇ。古楽器や古楽が受け継がれているとはいえ、やはりマイナーな分野なのでしょう。
古楽器は、機会があったら手を出してみたいと思っていました。ただ、ピアノ族はどうなのかわかりませんが、弦楽器にしても管楽器にしても現代の楽器は音が出しやすく安定しやすくなっていますから、それらしく演奏できるようになるまでが大変だろうなぁとは思います。
いろいろなピアノ、弾いてみたい気はありありなんですが、なにせ雨だれ式にしか弾けないので、恥ずかしくてお店では躊躇してしまうのです。「猫踏んじゃった」以外にさっと弾けるレパートリーを蓄えるのが、目下の個人目標なのです(笑)
古楽器の音、いいですよね。一旦はまるとやめられません。
息子の通う音楽教室にもリコーダーのクラスがあるのですが、先生と話していたら「古い音楽専門の楽器だと思われているようで人気がなくて」と残念がっていました。リコーダーもフラウト・トラヴェルソもいい音なんですけれどねぇ。古楽器や古楽が受け継がれているとはいえ、やはりマイナーな分野なのでしょう。
古楽器は、機会があったら手を出してみたいと思っていました。ただ、ピアノ族はどうなのかわかりませんが、弦楽器にしても管楽器にしても現代の楽器は音が出しやすく安定しやすくなっていますから、それらしく演奏できるようになるまでが大変だろうなぁとは思います。
いろいろなピアノ、弾いてみたい気はありありなんですが、なにせ雨だれ式にしか弾けないので、恥ずかしくてお店では躊躇してしまうのです。「猫踏んじゃった」以外にさっと弾けるレパートリーを蓄えるのが、目下の個人目標なのです(笑)
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poirier_AAA at 2013-02-24 19:19
>saheiziさん、こんにちは。
そういえば、我が家にはテープを聴くための道具がもうありません。さんざんお世話になった「星の王子様」のフランス語朗読テープも、もう聞くことが出来ません(涙)
やっぱり本はいいですね。道具に頼りませんから。
何度でも繰り返しちゃう。
百閒全集、いいなぁ〜いいなぁ〜。
そういえば、我が家にはテープを聴くための道具がもうありません。さんざんお世話になった「星の王子様」のフランス語朗読テープも、もう聞くことが出来ません(涙)
やっぱり本はいいですね。道具に頼りませんから。
何度でも繰り返しちゃう。
百閒全集、いいなぁ〜いいなぁ〜。