2012年 07月 17日
子どもの喧嘩 |
今日、子どもたちは忙しい。
昨日2歳児に破壊されてしまったレゴを再生しているから。
食べる間も惜しんでせっせと組み立てている姿を見て、大きくなったものだと思う。
昨日の2歳児体験を経た今だからかもしれないが、もう理屈のわかる年頃で、大人の話を聞くことを知っている、話をすることができる、それがどれだけ安らぎをもたらすことかと思う。もう野生の怪獣じゃないのだ。心の底から成長って素晴らしいと思ってしまう。
とはいえ、やがて紛争が勃発するのも、子どもの世界では普通のことで。
さっき、レゴを抱えた息子2人が居間に駆け込んで来た。
それまでずいぶん長い間口論しているなぁと耳だけで聞いてはいたのだ。2人では解決できなくて煮詰まってしまったらしく、2人そろって半泣きであった。
わたしは裁判官なので、順番に話を聞く。
こういうことになると口が達者になる息子Bが、まず相手を制して話し始める。
息子Aが持っているレゴを貸してと頼んでも貸してくれない。おもちゃは2人で使うはずのものなのに独り占めするのは約束違反じゃないか、と相手を糾弾する。
いつもなんとなくBに圧され気味のAも今日は一歩も引かない覚悟。
Bはいつもそうだ。ボクが使っているおもちゃをいつも欲しがる。今日だって、バスなんか嫌いだと言っていたくせに、ボクが組み立て終わったらすぐに「いいなぁ、貸して欲しいなぁ」と無理を言う。組み立ててないものは全部ボクによこして、組み立て終わったのだけ欲しがるなんて勝手すぎる。半泣きで手の甲で涙を拭いながらも必死の応戦。
わたしはそれからしばらく順番に話を聞いた。
実際はこうだろうねと察しているけれど、それは隠して話を聞く。
で、言いたいことを吐き出させてから「それじゃあ」とちょっと提案してみる。
2人とも、そんな提案は受けられるか!とばかりに不満を漏らす。
でも仕方ないよね。お互いに歩み寄るしかないじゃない。
一緒に遊ぶのがいやなら、あとはそれぞれ一人で遊ぶしかないよね。
息子Bはすっかり腹を立てて部屋に引っ込んでしまった。
一方息子Aは黙ってわたしの傍でおもちゃを弄んでいた。
わたしはもうガス抜きだけはできたと思ったので自分の世界に再突入。
と、しばらくしてから息子Aがぼそっと言った。
ねぇママン、この家で偉いのは誰?
ん?その心は?
ボクとBと、どっちが良い子だと思う?
さあ、Aが良い子の時もあれば、Bが良い子の時もあるしなぁ。
ボクとBと、どっちが理が通っていると思う?
そのときによると思うよ。
ボク,今回のことと前回のキリン騒動については、ボクの方が理があると思うの。
(「理」はフランス語のレゾン(=reason)を使っていた)
キリン騒動も今回の騒動と良く似ていた。BがAの物を急に欲しがって、無理を言って奪ったのだ。あのときは「ちょっとは貸して上げたら」とAをなだめてBの希望を通してやったけれど、確かに最近のBの専横ぶりは鼻についていた。BのわがままでAが相当割を食っているよねと夫とも話していたのだった。
事情を説明することが苦手なAがぼそりと漏らした言葉だったので、思わず本音が。
そうだね、最近のBはちょっと我が儘がすぎると思う。
それはママンも感じていたよ。
いいところばっかり自分で取ろうとするのは良くないよね。
だから、Bもそれに気がつくようになるといいと思っているよ。
まったく予想していなかったけれど、この言葉で息子Aが吹っ切れたみたいだった。
わたしの言葉を聞くや否や、何も言わないで静かに子ども部屋に戻っていった。
そして、次の瞬間、なんとも平和な子どもの会話が聞こえて来たのであった。
何が起ったのだ?何がスイッチだったのだ?
息子Aは、自分に理があると信じている喧嘩でも常に両成敗で怒られていたことがイヤだったのだろうか?親に自分の立場をわかってもらいたかったのだろうか?
いまひとつわからない。
わからないんだけど、あっさりと紛争は解決した。
そして、30分ほど和やかな時間が過ぎてから2人が再びやって来た。
息子Bは貸して欲しかったレゴのバスを手に入れて満面の笑み。息子AもこれまでBが独り占めしていた飛行機を貸してもらって嬉しくて見せに来たのだった。
へぇ、仲直りしたんだ。2人ともお兄ちゃんだね!
と声をかけたら、Bが得意そうに言った。
ボク、木曜日には返しますって紙に約束を書いたの。
得意げに見せてくれた紙には、
Lundi(月)Mardi(火)Mercredi(水)Jeudi(木)
と書いてあって、その下に
(バスの絵)Aに木曜日に返す
と、絵とウソ八百のフランス語が書いてあった。
なんと、君たちはいつの間に念書を書くことを覚えたのだ?
大人には通じない誓約書を前に満足げに遊ぶ6歳児を眺めて、
すっかり呆気にとられたわたくしであった。
いやはや、子どもの世界ってすごいものだね。
2歳の我が儘も6歳なりの人間関係も、みんなみんな通り過ぎて来た道だ。
みんなこうやって大きくなって来た。
大人の世界にいると、そんなこともつい忘れてしまうんだな。
昨日2歳児に破壊されてしまったレゴを再生しているから。
食べる間も惜しんでせっせと組み立てている姿を見て、大きくなったものだと思う。
昨日の2歳児体験を経た今だからかもしれないが、もう理屈のわかる年頃で、大人の話を聞くことを知っている、話をすることができる、それがどれだけ安らぎをもたらすことかと思う。もう野生の怪獣じゃないのだ。心の底から成長って素晴らしいと思ってしまう。
とはいえ、やがて紛争が勃発するのも、子どもの世界では普通のことで。
さっき、レゴを抱えた息子2人が居間に駆け込んで来た。
それまでずいぶん長い間口論しているなぁと耳だけで聞いてはいたのだ。2人では解決できなくて煮詰まってしまったらしく、2人そろって半泣きであった。
わたしは裁判官なので、順番に話を聞く。
こういうことになると口が達者になる息子Bが、まず相手を制して話し始める。
息子Aが持っているレゴを貸してと頼んでも貸してくれない。おもちゃは2人で使うはずのものなのに独り占めするのは約束違反じゃないか、と相手を糾弾する。
いつもなんとなくBに圧され気味のAも今日は一歩も引かない覚悟。
Bはいつもそうだ。ボクが使っているおもちゃをいつも欲しがる。今日だって、バスなんか嫌いだと言っていたくせに、ボクが組み立て終わったらすぐに「いいなぁ、貸して欲しいなぁ」と無理を言う。組み立ててないものは全部ボクによこして、組み立て終わったのだけ欲しがるなんて勝手すぎる。半泣きで手の甲で涙を拭いながらも必死の応戦。
わたしはそれからしばらく順番に話を聞いた。
実際はこうだろうねと察しているけれど、それは隠して話を聞く。
で、言いたいことを吐き出させてから「それじゃあ」とちょっと提案してみる。
2人とも、そんな提案は受けられるか!とばかりに不満を漏らす。
でも仕方ないよね。お互いに歩み寄るしかないじゃない。
一緒に遊ぶのがいやなら、あとはそれぞれ一人で遊ぶしかないよね。
息子Bはすっかり腹を立てて部屋に引っ込んでしまった。
一方息子Aは黙ってわたしの傍でおもちゃを弄んでいた。
わたしはもうガス抜きだけはできたと思ったので自分の世界に再突入。
と、しばらくしてから息子Aがぼそっと言った。
ねぇママン、この家で偉いのは誰?
ん?その心は?
ボクとBと、どっちが良い子だと思う?
さあ、Aが良い子の時もあれば、Bが良い子の時もあるしなぁ。
ボクとBと、どっちが理が通っていると思う?
そのときによると思うよ。
ボク,今回のことと前回のキリン騒動については、ボクの方が理があると思うの。
(「理」はフランス語のレゾン(=reason)を使っていた)
キリン騒動も今回の騒動と良く似ていた。BがAの物を急に欲しがって、無理を言って奪ったのだ。あのときは「ちょっとは貸して上げたら」とAをなだめてBの希望を通してやったけれど、確かに最近のBの専横ぶりは鼻についていた。BのわがままでAが相当割を食っているよねと夫とも話していたのだった。
事情を説明することが苦手なAがぼそりと漏らした言葉だったので、思わず本音が。
そうだね、最近のBはちょっと我が儘がすぎると思う。
それはママンも感じていたよ。
いいところばっかり自分で取ろうとするのは良くないよね。
だから、Bもそれに気がつくようになるといいと思っているよ。
まったく予想していなかったけれど、この言葉で息子Aが吹っ切れたみたいだった。
わたしの言葉を聞くや否や、何も言わないで静かに子ども部屋に戻っていった。
そして、次の瞬間、なんとも平和な子どもの会話が聞こえて来たのであった。
何が起ったのだ?何がスイッチだったのだ?
息子Aは、自分に理があると信じている喧嘩でも常に両成敗で怒られていたことがイヤだったのだろうか?親に自分の立場をわかってもらいたかったのだろうか?
いまひとつわからない。
わからないんだけど、あっさりと紛争は解決した。
そして、30分ほど和やかな時間が過ぎてから2人が再びやって来た。
息子Bは貸して欲しかったレゴのバスを手に入れて満面の笑み。息子AもこれまでBが独り占めしていた飛行機を貸してもらって嬉しくて見せに来たのだった。
へぇ、仲直りしたんだ。2人ともお兄ちゃんだね!
と声をかけたら、Bが得意そうに言った。
ボク、木曜日には返しますって紙に約束を書いたの。
得意げに見せてくれた紙には、
Lundi(月)Mardi(火)Mercredi(水)Jeudi(木)
と書いてあって、その下に
(バスの絵)Aに木曜日に返す
と、絵とウソ八百のフランス語が書いてあった。
なんと、君たちはいつの間に念書を書くことを覚えたのだ?
大人には通じない誓約書を前に満足げに遊ぶ6歳児を眺めて、
すっかり呆気にとられたわたくしであった。
いやはや、子どもの世界ってすごいものだね。
2歳の我が儘も6歳なりの人間関係も、みんなみんな通り過ぎて来た道だ。
みんなこうやって大きくなって来た。
大人の世界にいると、そんなこともつい忘れてしまうんだな。
by poirier_AAA
| 2012-07-17 01:03
| 子どもと暮らす
|
Comments(4)
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-07-17 10:50
二歳の子にもA君のような動機があったのかもしれないですね。
それがなんであったかは誰にもわからないけれど。
それがなんであったかは誰にもわからないけれど。
0
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by
poirier_AAA at 2012-07-17 17:36
>saheiziさん、こんにちは。
うーん、2歳って動機などという面倒な理由ではなく、興味だけで動く年齢だと思うんですよ。ただ、ただ、ものすごく好奇心旺盛な子なんだと思います。で、大人側の準備もまだ整っていないのでしょう。
うーん、2歳って動機などという面倒な理由ではなく、興味だけで動く年齢だと思うんですよ。ただ、ただ、ものすごく好奇心旺盛な子なんだと思います。で、大人側の準備もまだ整っていないのでしょう。
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by
kanafr at 2012-07-23 01:56
ケンカしてもこうやって2人で解決方法をちゃんといつも見つけて行っていますね。
凄いなあ、A君もB君も。
前にお部屋で遊んで怒られた時もちゃんと「こら~!!」と書いた梨の木さんの絵を描いてお約束のお手紙を書きましたよね。
ご主人様、物事を解決するようなお仕事をされて、お子様達常に文書にするという行為をご家庭でも見ているのかな?って思いました。
素敵なお子様達だわ。
凄いなあ、A君もB君も。
前にお部屋で遊んで怒られた時もちゃんと「こら~!!」と書いた梨の木さんの絵を描いてお約束のお手紙を書きましたよね。
ご主人様、物事を解決するようなお仕事をされて、お子様達常に文書にするという行為をご家庭でも見ているのかな?って思いました。
素敵なお子様達だわ。
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by
poirier_AAA at 2012-07-23 17:25
>kanafrさん、
2人だけで遊んでいるから、なんとか解決していかないと遊び相手がいなくなってしまうんですよね。そういう意味では、兄弟姉妹って子どもにとって初めて出会う社会かもしれないと思います。
夫は、全然そんなんじゃないんですよ。不思議ですよね。どこからこういうことを覚えたんだろうと思います。絵を描いたり字を書いたり、紙と鉛筆があるだけで数時間は余裕で楽しめるというコンパクトな遊び方に最近はまっているのです。
2人だけで遊んでいるから、なんとか解決していかないと遊び相手がいなくなってしまうんですよね。そういう意味では、兄弟姉妹って子どもにとって初めて出会う社会かもしれないと思います。
夫は、全然そんなんじゃないんですよ。不思議ですよね。どこからこういうことを覚えたんだろうと思います。絵を描いたり字を書いたり、紙と鉛筆があるだけで数時間は余裕で楽しめるというコンパクトな遊び方に最近はまっているのです。