2012年 01月 11日
19世紀ブルジョワの世界 |
前記事の展覧会が開かれているジャックマール・アンドレ美術館は、19世紀のブルジョワ市民の邸宅を美術館として利用しているものです。パリに美術館はたくさんあるけれど、ここほど器の美しさを間近に楽しめるところはないのではないかと思うくらいです。(内部は撮影禁止です)
詳細の説明はこちらをご覧下さい。
ジャックマール・アンドレ美術館の説明(日本語)
ジャックマール・アンドレ美術館HP(フランス語)
(“Découvrir”をクリックすると邸内が見られます)
こうして事前に様子を見ていても、実際に1歩邸内に足を踏み入れるとやはり感動します。こういう場所に住んだ人がいるのか、家内をここまで装飾するだけの美意識と経済力を持った人がいたのかと驚いてしまうのです。これは、例えばヴェルサイユ宮殿だのカトリックの大聖堂だの豪華さを見たときのショックとはちょっと違います。ヴェルサイユは王様で大聖堂は神様ですから、それこそ資金獲得能力と資金提供者の量からして桁外れです。こちらは“ただの”ブルジョワ階級。王様よりはもう少し身近な存在なので、すこしばかりわが身に近いこととして羨ましさを味わうのです。(といって、これだけの邸宅は複数の使用人なしには立ち行きません。そのくらいの冷静さを持って眺めます)
邸内の、おそらく夫妻が生きていた頃から変わっていないのであろう美しい寄せ木の床が、訪問者の靴の下できしみます。この床が夫妻の足の下でもきしんでいたのだろうか?そう考えると、場違いな体験をしている自分にどきどきするのです。
彼らが生きた時代はパリ万博と重なります。
凱旋門ができ、エッフェル塔が作られ、グランパレも建てられ、オスマンによるパリの大改造が行われた時代。そうしてこういう生活を送る人がいました。
19世紀ってどういう時代だったんだろうとふっと考えます。
で、はっと気がつくのです。そうだ、ゾラのルーゴン・マッカール双書の世界だ!
あのドロドロの話がここに繋がるのです。
19世紀なんて、は〜るか昔のことに感じるけれど、いろいろ考えてみると現代に繋がる生活がもう始まっていたわけです。100年200年なんて、考えてみたらあっという間ではないですか。もし社会を変えようと思うなら、100年や200年先を考えて下地を作り、条件を整え、えいやっと大きく舵をとることを考えないといけないのです。1年後の話もできないような政治家では、せいぜいが付け焼き刃くらいにしかなりません。
正直言って19世紀あたりは何の興味もなく、知らなくても構わないと思って来ましたが、こうして実際にその頃人が住んだ場所に足を踏み入れ雰囲気を味わってみると、ちょっと昔のこととしてきちんと知っておきたいなぁという欲が出て来ます。気合いを入れてゾラを片っ端から読んでみる、などという企画もいいかもしれません。
ジャックマール・アンドレ美術館の説明(日本語)
ジャックマール・アンドレ美術館HP(フランス語)
(“Découvrir”をクリックすると邸内が見られます)
こうして事前に様子を見ていても、実際に1歩邸内に足を踏み入れるとやはり感動します。こういう場所に住んだ人がいるのか、家内をここまで装飾するだけの美意識と経済力を持った人がいたのかと驚いてしまうのです。これは、例えばヴェルサイユ宮殿だのカトリックの大聖堂だの豪華さを見たときのショックとはちょっと違います。ヴェルサイユは王様で大聖堂は神様ですから、それこそ資金獲得能力と資金提供者の量からして桁外れです。こちらは“ただの”ブルジョワ階級。王様よりはもう少し身近な存在なので、すこしばかりわが身に近いこととして羨ましさを味わうのです。(といって、これだけの邸宅は複数の使用人なしには立ち行きません。そのくらいの冷静さを持って眺めます)
邸内の、おそらく夫妻が生きていた頃から変わっていないのであろう美しい寄せ木の床が、訪問者の靴の下できしみます。この床が夫妻の足の下でもきしんでいたのだろうか?そう考えると、場違いな体験をしている自分にどきどきするのです。
彼らが生きた時代はパリ万博と重なります。
凱旋門ができ、エッフェル塔が作られ、グランパレも建てられ、オスマンによるパリの大改造が行われた時代。そうしてこういう生活を送る人がいました。
19世紀ってどういう時代だったんだろうとふっと考えます。
で、はっと気がつくのです。そうだ、ゾラのルーゴン・マッカール双書の世界だ!
あのドロドロの話がここに繋がるのです。
19世紀なんて、は〜るか昔のことに感じるけれど、いろいろ考えてみると現代に繋がる生活がもう始まっていたわけです。100年200年なんて、考えてみたらあっという間ではないですか。もし社会を変えようと思うなら、100年や200年先を考えて下地を作り、条件を整え、えいやっと大きく舵をとることを考えないといけないのです。1年後の話もできないような政治家では、せいぜいが付け焼き刃くらいにしかなりません。
正直言って19世紀あたりは何の興味もなく、知らなくても構わないと思って来ましたが、こうして実際にその頃人が住んだ場所に足を踏み入れ雰囲気を味わってみると、ちょっと昔のこととしてきちんと知っておきたいなぁという欲が出て来ます。気合いを入れてゾラを片っ端から読んでみる、などという企画もいいかもしれません。
by poirier_AAA
| 2012-01-11 11:20
| パリを歩く
|
Comments(6)
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saheizi-inokori at 2012-01-11 14:09
現代の金融グローバリズムは百年どころか数年先のことすら考えません。今の利益だけが全てですね。孫の孫の時代に私たちの作ったものをどうみるのでしょうか。
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poirier_AAA at 2012-01-11 16:37
>saheiziさん、こんにちは。
グローバリズムほど胡散臭いことはありません。要はごく一部の強者が世界中を牛耳って、今あるものを骨の随まで吸い尽くし搾取し尽くすための、体のいい言い訳だと思っています。気がついたときにはもう足下はボロボロ、地球もボロボロですね。
グローバリズムほど胡散臭いことはありません。要はごく一部の強者が世界中を牛耳って、今あるものを骨の随まで吸い尽くし搾取し尽くすための、体のいい言い訳だと思っています。気がついたときにはもう足下はボロボロ、地球もボロボロですね。
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mtonosama at 2012-01-11 20:09
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poirier_AAA at 2012-01-11 20:28
>mtonosamaさん、こんにちは。
殿様は19世紀にご興味がおありでしたか。
わたしはだいぶ古代に興味が傾いていたので、このあたりは新しすぎて避けていました。おっしゃるとおり「直接の過去」ですよね。
ゾラというと、昔ドパルデューが出演した「ジェルミナル」という映画を観たことがあります。かなり暗い話で、、、またドパルデューがイヤになるくらい上手く労働者を演じていて、妙に印象に残っています。
ゾラって人の3倍くらい食べる健啖家だったんですって。そういう人が書いた作品だと、読む方も相当体力が要りそうですよね。
殿様は19世紀にご興味がおありでしたか。
わたしはだいぶ古代に興味が傾いていたので、このあたりは新しすぎて避けていました。おっしゃるとおり「直接の過去」ですよね。
ゾラというと、昔ドパルデューが出演した「ジェルミナル」という映画を観たことがあります。かなり暗い話で、、、またドパルデューがイヤになるくらい上手く労働者を演じていて、妙に印象に残っています。
ゾラって人の3倍くらい食べる健啖家だったんですって。そういう人が書いた作品だと、読む方も相当体力が要りそうですよね。
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mtonosama at 2012-01-12 06:37
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poirier_AAA at 2012-01-12 07:24
>mtonosamaさん、こんばんは。
同感です。わたしももう見たくないと思うくらい彼の外見が苦手で、ドパルデューと名を聞くと避けたくなります。
それなのに、あぁそれなのに、何故か演じ始めると見せてくれるんですよね。やっぱり上手い役者なんだろうと思います。健啖家であることは間違いないでしょうね(笑)
同感です。わたしももう見たくないと思うくらい彼の外見が苦手で、ドパルデューと名を聞くと避けたくなります。
それなのに、あぁそれなのに、何故か演じ始めると見せてくれるんですよね。やっぱり上手い役者なんだろうと思います。健啖家であることは間違いないでしょうね(笑)