2011年 10月 31日
フリーペーパーから(追記あり) |
数日前の無料新聞に興味を引かれる記事があったので、簡単にご紹介。
まずはこちら。
タイトルは「Une pénurie cet hiver?(この冬の不足?)」
今年の冬が寒くなればなるほど、フランスでは電力不足が深刻化する。
フランスは例年、冬になるとドイツから電力を買っていた。そのドイツが今年は8基の原発の運転を取りやめたので、外国に回せる余剰電力がなくなるかもしれない心配が出てきた。
電力が不足した場合、まず最初に停電の危機にさらされるのはブルターニュとプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール(略してPACA)。
フランスといえば原発大国。ドンドン発電しては外国に売っているのかと思っていましたら、どうやらそれだけではなかったようです。この記事によると、
フランスは年間を通じて電力輸出国である。
しかし、冬期には輸入を余儀なくされている。
厳しい冬には、主にドイツから8,000メガワットを上限に輸入してきた。
その辺の事情、わたしは全く知りませんでした。調べてみなければ。
記事はこう続きます。
電気暖房が過剰に普及したことから、フランスでは寒波の際の電力消費が激増する。(電力消費量の増加は欧州一)気温が氷点下になると、温度が1度下がる毎に2,300メガワットの追加出力が必要となる。これは原発2基の発電量に相当する。
寒くなって建物のセントラルヒーティングが始まると、街の空気のなかに「何かが燃えている」臭い(石油ストーブ臭みたいなもの)が漂うパリです。石油が大量に必要であろうことは予想がついていたけれど、電力による暖房がここまで広まっていたとは思いませんでした。スイッチをつければすぐ使える、そんな便利さになれてしまうと「これが当たり前」になるんでしょう。電気も水も同じこと。慣れって恐ろしい。
そしてもうひとつ。
先頃日本を訪れたエヴァ・ジョリ氏を取り上げた記事。
「Eva Joly retrouve son tempo(テンポを取り戻したエヴァ・ジョリ)」
日本のことにも言及されていますが、それは彼女の政策の一部としてであって、記事の全体は彼女と社会党の今後の関係に注目!というものです。
その中にあった1文。
Depuis le Japon, Mme Joly a entamé son leitmotiv antiatome: 《Lorsqu'on a vu ce que j'ai vu à Fukushima, on ne peut pas ne pas comprendre qu'il faut sortir du nucléaire》
日本訪問後、ジョリ氏は反核のテーマを前面に出し始めた:《わたしがフクシマで見たものを目にすれば、脱原発すべきかわからない、ではいられない》
当人言うところの“銀のスプーンをくわえて生まれて来たわけではない” 叩き上げのジョリ氏が、大統領選ででどう動くか、何としても大統領の座が欲しい社会党と彼女の緑の党の関係は、今後も目が離せません。
ここで紹介した記事は、Direct Matin というフリーペーパーの10月27日(木)版に出ています。本分をご覧になりたい方は、上のリンクからHPにとび、Le journal en PDF を選んで下さい。日付を指定するとダウンロードできます。
***追記***
フランスが隣国から電力を買っている?本当か?と思って調べてみたら、こんなものが出てきました。
Réseau de Transport d'Eletricité
「Bilan electrique francais 2010(2010年フランスのエネルギー総括」
この18ページ目を見ていただくと、フランスと隣国との電力やりとりの状況がわかります。驚いたことに、ドイツだけでなくベルギーとの間でも輸入超過になっていました。
夫に聞いてみましたら、それは有名な話だと言われました。
原子力発電に頼る率が大きいほど急場の電力不足に迅速に対応しきれないのだとか。(原発って、出力の細かいコントロールは出来ないんですよね?)そんなわけで、冬場の緊急時にはやむをえず他国に頼っている、ということのようです。
まずはこちら。
タイトルは「Une pénurie cet hiver?(この冬の不足?)」
今年の冬が寒くなればなるほど、フランスでは電力不足が深刻化する。
フランスは例年、冬になるとドイツから電力を買っていた。そのドイツが今年は8基の原発の運転を取りやめたので、外国に回せる余剰電力がなくなるかもしれない心配が出てきた。
電力が不足した場合、まず最初に停電の危機にさらされるのはブルターニュとプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール(略してPACA)。
フランスといえば原発大国。ドンドン発電しては外国に売っているのかと思っていましたら、どうやらそれだけではなかったようです。この記事によると、
フランスは年間を通じて電力輸出国である。
しかし、冬期には輸入を余儀なくされている。
厳しい冬には、主にドイツから8,000メガワットを上限に輸入してきた。
その辺の事情、わたしは全く知りませんでした。調べてみなければ。
記事はこう続きます。
電気暖房が過剰に普及したことから、フランスでは寒波の際の電力消費が激増する。(電力消費量の増加は欧州一)気温が氷点下になると、温度が1度下がる毎に2,300メガワットの追加出力が必要となる。これは原発2基の発電量に相当する。
寒くなって建物のセントラルヒーティングが始まると、街の空気のなかに「何かが燃えている」臭い(石油ストーブ臭みたいなもの)が漂うパリです。石油が大量に必要であろうことは予想がついていたけれど、電力による暖房がここまで広まっていたとは思いませんでした。スイッチをつければすぐ使える、そんな便利さになれてしまうと「これが当たり前」になるんでしょう。電気も水も同じこと。慣れって恐ろしい。
そしてもうひとつ。
先頃日本を訪れたエヴァ・ジョリ氏を取り上げた記事。
「Eva Joly retrouve son tempo(テンポを取り戻したエヴァ・ジョリ)」
日本のことにも言及されていますが、それは彼女の政策の一部としてであって、記事の全体は彼女と社会党の今後の関係に注目!というものです。
その中にあった1文。
Depuis le Japon, Mme Joly a entamé son leitmotiv antiatome: 《Lorsqu'on a vu ce que j'ai vu à Fukushima, on ne peut pas ne pas comprendre qu'il faut sortir du nucléaire》
日本訪問後、ジョリ氏は反核のテーマを前面に出し始めた:《わたしがフクシマで見たものを目にすれば、脱原発すべきかわからない、ではいられない》
当人言うところの“銀のスプーンをくわえて生まれて来たわけではない” 叩き上げのジョリ氏が、大統領選ででどう動くか、何としても大統領の座が欲しい社会党と彼女の緑の党の関係は、今後も目が離せません。
ここで紹介した記事は、Direct Matin というフリーペーパーの10月27日(木)版に出ています。本分をご覧になりたい方は、上のリンクからHPにとび、Le journal en PDF を選んで下さい。日付を指定するとダウンロードできます。
***追記***
フランスが隣国から電力を買っている?本当か?と思って調べてみたら、こんなものが出てきました。
Réseau de Transport d'Eletricité
「Bilan electrique francais 2010(2010年フランスのエネルギー総括」
この18ページ目を見ていただくと、フランスと隣国との電力やりとりの状況がわかります。驚いたことに、ドイツだけでなくベルギーとの間でも輸入超過になっていました。
夫に聞いてみましたら、それは有名な話だと言われました。
原子力発電に頼る率が大きいほど急場の電力不足に迅速に対応しきれないのだとか。(原発って、出力の細かいコントロールは出来ないんですよね?)そんなわけで、冬場の緊急時にはやむをえず他国に頼っている、ということのようです。
by poirier_AAA
| 2011-10-31 18:32
| 世情を考える
|
Comments(12)
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saheizi-inokori at 2011-10-31 18:27
それは意外でした。ドイツに輸出しているのは夏だけ?ドイツは暖房少ない?我慢強いのかな?
0
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poirier_AAA at 2011-10-31 18:49
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stanislowski at 2011-11-01 04:45
夫もその事実は知りませんでした。
エヴァ氏のお隣の女性はどなたでしょう?左胸に貼ってある黄色のステッカー、「原発?もういらない」
我が家もドイツ緑の党から貰ってきて車に貼ってます。意思表示、意思表示。ふふっ。
エヴァ氏のお隣の女性はどなたでしょう?左胸に貼ってある黄色のステッカー、「原発?もういらない」
我が家もドイツ緑の党から貰ってきて車に貼ってます。意思表示、意思表示。ふふっ。
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mtonosama at 2011-11-01 05:57
びっくりしました。
ドイツから電力を輸入ですか!?
ドイツが原発廃止を決めても、フランスから輸入しているんじゃね、とドイツを責めることすらあったのに。
プロバンスとかブルターニュって比較的暖かい地域ではなかったでしょうか?
この地域ではヨーロッパのホテルや住宅に行くと必ずある銀色の
ぐるぐるしたヒーターはあまり使わないのかなぁ。
ドイツから電力を輸入ですか!?
ドイツが原発廃止を決めても、フランスから輸入しているんじゃね、とドイツを責めることすらあったのに。
プロバンスとかブルターニュって比較的暖かい地域ではなかったでしょうか?
この地域ではヨーロッパのホテルや住宅に行くと必ずある銀色の
ぐるぐるしたヒーターはあまり使わないのかなぁ。
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kanafr at 2011-11-01 08:45
以前何かでドイツが原発廃止を決めたといっても、結局のところ、自国で不足の電力は原発国のフランスから手に入れるという矛盾があると読んだことがあるので、そう思っていたんですけどね。意外でした。
電気による暖房が一気に増えた事も、以前住んでいた家の暖房が壊れた時に呼んだ修理屋さんのおじさんが、「今やどこもかしこも電気暖房になっているのは、住居者の安全とかじゃなく、業者にとって非常に工事が楽で新築アパートや改装したらすぐ入居可にできるからだ。実際電気暖房は他の暖房に比べてあまり部屋に温度は高くならないから寒い」って言っていた事を思い出しました。
電気による暖房が一気に増えた事も、以前住んでいた家の暖房が壊れた時に呼んだ修理屋さんのおじさんが、「今やどこもかしこも電気暖房になっているのは、住居者の安全とかじゃなく、業者にとって非常に工事が楽で新築アパートや改装したらすぐ入居可にできるからだ。実際電気暖房は他の暖房に比べてあまり部屋に温度は高くならないから寒い」って言っていた事を思い出しました。
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poirier_AAA at 2011-11-01 09:39
>stanislowskiさん、こんばんは。
なんと、ベルギーもドイツと同じ。(フランスから見ると)輸入超過なのです。知りませんでした。びっくりですよ。
エヴァ・ジョリ氏の隣は セシル・デュフロ氏ですね。10月15日にレンヌで行われた脱原発デモ行進のときの写真のようです。ジョリ氏はこのあと福島に行きました。行動する政治家、ですね。
なんと、ベルギーもドイツと同じ。(フランスから見ると)輸入超過なのです。知りませんでした。びっくりですよ。
エヴァ・ジョリ氏の隣は セシル・デュフロ氏ですね。10月15日にレンヌで行われた脱原発デモ行進のときの写真のようです。ジョリ氏はこのあと福島に行きました。行動する政治家、ですね。
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poirier_AAA at 2011-11-01 09:46
>mtonosamaさん、こんばんは。
わたしも吃驚しました。
でも、よくよく見てみると「電力消費量がピークに達するときだけ」なんですよ。足りないからほら、もっと働かせろ!というわけにはいかないのが(原子力)発電所のようです。
ドイツは、きっとこれまでは発電量に余裕があったんでしょうね。でも8基停めてしまいましたし、これからはどんなふうに電力を賄って行くのでしょうか?
ぐるぐるしたラジエーターを使っている建物も多いと思います。ただ、どうやら最近は各自が好きなように温める電気暖房が流行っているようで、実は我が家もそうなんです。なかなか足下まで暖まらないし、空気が乾燥して辛いし、電気代もどど〜んと高くなるし、電気の暖房はちっともいいことがありませんよ。
わたしも吃驚しました。
でも、よくよく見てみると「電力消費量がピークに達するときだけ」なんですよ。足りないからほら、もっと働かせろ!というわけにはいかないのが(原子力)発電所のようです。
ドイツは、きっとこれまでは発電量に余裕があったんでしょうね。でも8基停めてしまいましたし、これからはどんなふうに電力を賄って行くのでしょうか?
ぐるぐるしたラジエーターを使っている建物も多いと思います。ただ、どうやら最近は各自が好きなように温める電気暖房が流行っているようで、実は我が家もそうなんです。なかなか足下まで暖まらないし、空気が乾燥して辛いし、電気代もどど〜んと高くなるし、電気の暖房はちっともいいことがありませんよ。
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poirier_AAA at 2011-11-01 09:56
>kanafrさん、こんにちは。
実は我が家がその電気暖房なんですよ。
はっきり言って、ラジエーターの温かさとは全然違います。おまけに空気が乾燥して喉や肌もやられるし、もう大嫌いです。
でも、ラジエーターで集中暖房している建物だと、暑くなり過ぎていやだという人もいますよね。個人で調節できないのが不便だとか。
なかなか各自の希望するようにはいかないのが辛いところですが、やっぱり「簡単だから」「便利だから」だけで選んではいけないですよね。貴重なものだから大切に使おうという雰囲気が、生活の中からどんどん消えて行くような気がします。
実は我が家がその電気暖房なんですよ。
はっきり言って、ラジエーターの温かさとは全然違います。おまけに空気が乾燥して喉や肌もやられるし、もう大嫌いです。
でも、ラジエーターで集中暖房している建物だと、暑くなり過ぎていやだという人もいますよね。個人で調節できないのが不便だとか。
なかなか各自の希望するようにはいかないのが辛いところですが、やっぱり「簡単だから」「便利だから」だけで選んではいけないですよね。貴重なものだから大切に使おうという雰囲気が、生活の中からどんどん消えて行くような気がします。
梨の木さん
興味深い記事のご紹介ありがとうございます。
私の方は、エヴァ・ジョリー氏とドゥニ・ボーパン氏の活躍を願って、まずは二人の日本訪問記を全部訳しました。
フランス環境保護政党のエヴァ・ジョリー氏福島訪問 (3)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2949.html
>ドイツだけでなくベルギーとの間でも輸入超過になっていました。
>夫に聞いてみましたら、それは有名な話だと言われました。
日本では、「ドイツはフランスから電力を輸入している。原発を廃止したって隣国の原発に頼って何が脱原発だ」という原発維持派の主張が、私のブログにも春から夏にかけてうるさいほどによくきていたものです。
なお、ベルギーも脱原発に向かって進むようです。
http://www.47news.jp/CN/200212/CN2002120601000540.html
着々と実現してほしいものですね。
興味深い記事のご紹介ありがとうございます。
私の方は、エヴァ・ジョリー氏とドゥニ・ボーパン氏の活躍を願って、まずは二人の日本訪問記を全部訳しました。
フランス環境保護政党のエヴァ・ジョリー氏福島訪問 (3)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2949.html
>ドイツだけでなくベルギーとの間でも輸入超過になっていました。
>夫に聞いてみましたら、それは有名な話だと言われました。
日本では、「ドイツはフランスから電力を輸入している。原発を廃止したって隣国の原発に頼って何が脱原発だ」という原発維持派の主張が、私のブログにも春から夏にかけてうるさいほどによくきていたものです。
なお、ベルギーも脱原発に向かって進むようです。
http://www.47news.jp/CN/200212/CN2002120601000540.html
着々と実現してほしいものですね。
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poirier_AAA at 2011-11-03 19:50
>村野瀬玲奈さん、こんにちは。
さきほどそちらに伺って、福島訪問記を読ませていただきました。こちらでも、のちほど紹介させていただきたいと思います。
国境線で国が別れるだけのヨーロッパですから、国同士の電力のやりとりも、ひょっとすると東日本と西日本で余剰電力を融通し合うくらいの感じなのかもしれません。
つまり、これまではどの国も「自国の発電量」プラス「足りない分は他から融通してもらう」というやり方でそこそこやって来られたんでしょう。ドイツの原発が部分的に停止され、ベルギーもやがて脱原発。さてフランスはどう動くか。気をつけてみて行きたいと思います。
さきほどそちらに伺って、福島訪問記を読ませていただきました。こちらでも、のちほど紹介させていただきたいと思います。
国境線で国が別れるだけのヨーロッパですから、国同士の電力のやりとりも、ひょっとすると東日本と西日本で余剰電力を融通し合うくらいの感じなのかもしれません。
つまり、これまではどの国も「自国の発電量」プラス「足りない分は他から融通してもらう」というやり方でそこそこやって来られたんでしょう。ドイツの原発が部分的に停止され、ベルギーもやがて脱原発。さてフランスはどう動くか。気をつけてみて行きたいと思います。
さっきのベルギー脱原発の記事、もっと新しいものがありましたね。滝汗
原発国ベルギーも脱原発へ方針
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111101/t10013642421000.html
2011年11月1日 8時49分
ごめんなさい、訂正させてください。
原発国ベルギーも脱原発へ方針
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111101/t10013642421000.html
2011年11月1日 8時49分
ごめんなさい、訂正させてください。
Commented
by
poirier_AAA at 2011-11-03 23:12