2011年 06月 14日
NOと言う |
イタリアで、日・月曜日の2日間にわたって行われた国民投票の結果が出ました。
今回問われたのは
・水道事業の民営化を認めるか
・原発建設を認めるか
・首相に対する刑法上の免除を認めるか
国民投票は投票率が50%を超えないと成立しないようですが、実際の投票率は57%くらいだったそうで、つまりこの国民投票は有効なのです。そして、投票した人たちの実に90%が上述の3件に対して「NO」の意思表示をしました。
今朝のある無料新聞では「イタリアの有権者の約57%が、大量のNOを突きつけるために投票所に足を運んだ」という書き方をしていました。確かにそうです。NOが言いたいがために投票したのですね。
仏国大統領閣下も恥ずかしいくらい品性卑しいと感じますが、かの伊国大統領は更に上を行くかと思われる厚顔無恥ぶりで、イタリア人は何故こんな男を元首として認めているのだろうと常々思っていました。が、国民はちゃんと見て考えていて、機会があればすかさずNOと言うわけです。イタリア人、やるなぁ、と思いますよね。
わたしはこれを見て、国民の務め、ということを考えました。
イタリアに限らず、フランスに限らず、日本に限らず、権力を与えられた政治家というのは非常にしばしば好き勝手なことを始めます。完全では有り得ない人間がすることだから、道を誤るのも私利私欲が先走ってしまうのも、これはある意味仕方のないことだと思います。が、問題は彼らが国家の運営に関わっていることです。国家が転覆してしまったのでは元も子もない。その転覆を防ぐ最後の砦が、国民の民意なんではないでしょうか。多少のことには目をつむっても、ここだけは許せない、これだけは絶対に守ってもらう、という堅固なNOを政治家に突きつけて譲歩しないのです。
国民は政治のプロではない。外交のことも経済のことも詳しくはない。それはごく普通のことです。大工さんに家を任せるように、そういうことが得意でやる力のある人に任せればいいのです。ただ、お任せはするけれど、ここだけは絶対に譲れない、この線を逸脱することだけは止めてくれ、こっちの方向で行ってくれ、そういう意思表示をすることはできます。施主が設計士に設計の基礎となる条件を提示するようなものです。任された人たちは、その民意を受けて知恵を絞れば良いのです。
この国民投票のことを言えば、イタリアも先頃脱原発の姿勢を示したドイツも原発大国フランスの大事なお客様ですから、そういう意味ではこの投票結果が直ちに原発問題の根本的な解決に結びつくわけではありません。それでも、原発欲しくな〜い!と国を挙げて意見したことの意義は大きいです。彼らは自分たちの価値観をきちんと表明したのです。
原発を巡って日本でもいろいろな議論がされています。そしてしばしば、原発がなくなったら電気が足りなくなるんじゃないか、日本経済に打撃を与えるんじゃないか、そうしたらどうするのだ、原発に反対する人はその善後策まで考えてあるのか、というような方向に話が進みます。それも正しいんだろうけれど、でも、そこまで具体的に電力供給のことまで考えてからでないと意思表示をしてはいけないのか?とも思います。とりあえず、これは絶対にイヤだ、と言って何が悪いのでしょう?これはイヤだ、どうにかして他の方法を考えてくれないか、と言うことが無責任だとは思えないのです。
原発推進派の人たちは電力供給の問題を大きく振り回してみせるけれど、これは電力だけの問題ではないでしょう。日本の行く末を決める国策の問題です。国策を変えようとするなら、無傷で簡単に物事が動くとは思いません。けれど、このまま、半死半生の「核」という土台の上に国家全体を預けておいて本当にいいのか、それに不安はないのか?現在の原発議論は、そういうところに行きつくような気がします。
政治のプロでも、外交のプロでも、エネルギーの専門家でもない人間が何を言っているのだと言われようと、わたしは言いたい。素人ながら感じる、この日本という国の核依存の危うさ、コントロール不可能な原子力への不安、人間の力では浄化の方法が見つからない放射性物質への恐怖。それを推進したくてたまらない顔が見えない政局ばかりに夢中な政治家たち。併せて、責任の所在が明らかにならない社会の仕組み、きちんと確認せずに何となく発進してしまう詰めの甘さ、危機管理対策の欠如などなど。これらを無視して、どうやって日本の豊かな未来を思い描くことが出来るんでしょう?
だから、日本を動かす脳味噌(政府)にNOと言いたいのです。体がすっかり蝕まれてしまう前に、そっちに行っては危ない、方向転換してもっと自分を大事にすることを考えなさい、と言いたいのです。こういう本能的な判断って、日本の衆参議員選挙みたいなシステムで表明するのはとても難しいですよね。まどろっこしいなぁと思います。
今回問われたのは
・水道事業の民営化を認めるか
・原発建設を認めるか
・首相に対する刑法上の免除を認めるか
国民投票は投票率が50%を超えないと成立しないようですが、実際の投票率は57%くらいだったそうで、つまりこの国民投票は有効なのです。そして、投票した人たちの実に90%が上述の3件に対して「NO」の意思表示をしました。
今朝のある無料新聞では「イタリアの有権者の約57%が、大量のNOを突きつけるために投票所に足を運んだ」という書き方をしていました。確かにそうです。NOが言いたいがために投票したのですね。
仏国大統領閣下も恥ずかしいくらい品性卑しいと感じますが、かの伊国大統領は更に上を行くかと思われる厚顔無恥ぶりで、イタリア人は何故こんな男を元首として認めているのだろうと常々思っていました。が、国民はちゃんと見て考えていて、機会があればすかさずNOと言うわけです。イタリア人、やるなぁ、と思いますよね。
わたしはこれを見て、国民の務め、ということを考えました。
イタリアに限らず、フランスに限らず、日本に限らず、権力を与えられた政治家というのは非常にしばしば好き勝手なことを始めます。完全では有り得ない人間がすることだから、道を誤るのも私利私欲が先走ってしまうのも、これはある意味仕方のないことだと思います。が、問題は彼らが国家の運営に関わっていることです。国家が転覆してしまったのでは元も子もない。その転覆を防ぐ最後の砦が、国民の民意なんではないでしょうか。多少のことには目をつむっても、ここだけは許せない、これだけは絶対に守ってもらう、という堅固なNOを政治家に突きつけて譲歩しないのです。
国民は政治のプロではない。外交のことも経済のことも詳しくはない。それはごく普通のことです。大工さんに家を任せるように、そういうことが得意でやる力のある人に任せればいいのです。ただ、お任せはするけれど、ここだけは絶対に譲れない、この線を逸脱することだけは止めてくれ、こっちの方向で行ってくれ、そういう意思表示をすることはできます。施主が設計士に設計の基礎となる条件を提示するようなものです。任された人たちは、その民意を受けて知恵を絞れば良いのです。
この国民投票のことを言えば、イタリアも先頃脱原発の姿勢を示したドイツも原発大国フランスの大事なお客様ですから、そういう意味ではこの投票結果が直ちに原発問題の根本的な解決に結びつくわけではありません。それでも、原発欲しくな〜い!と国を挙げて意見したことの意義は大きいです。彼らは自分たちの価値観をきちんと表明したのです。
原発を巡って日本でもいろいろな議論がされています。そしてしばしば、原発がなくなったら電気が足りなくなるんじゃないか、日本経済に打撃を与えるんじゃないか、そうしたらどうするのだ、原発に反対する人はその善後策まで考えてあるのか、というような方向に話が進みます。それも正しいんだろうけれど、でも、そこまで具体的に電力供給のことまで考えてからでないと意思表示をしてはいけないのか?とも思います。とりあえず、これは絶対にイヤだ、と言って何が悪いのでしょう?これはイヤだ、どうにかして他の方法を考えてくれないか、と言うことが無責任だとは思えないのです。
原発推進派の人たちは電力供給の問題を大きく振り回してみせるけれど、これは電力だけの問題ではないでしょう。日本の行く末を決める国策の問題です。国策を変えようとするなら、無傷で簡単に物事が動くとは思いません。けれど、このまま、半死半生の「核」という土台の上に国家全体を預けておいて本当にいいのか、それに不安はないのか?現在の原発議論は、そういうところに行きつくような気がします。
政治のプロでも、外交のプロでも、エネルギーの専門家でもない人間が何を言っているのだと言われようと、わたしは言いたい。素人ながら感じる、この日本という国の核依存の危うさ、コントロール不可能な原子力への不安、人間の力では浄化の方法が見つからない放射性物質への恐怖。それを推進したくてたまらない顔が見えない政局ばかりに夢中な政治家たち。併せて、責任の所在が明らかにならない社会の仕組み、きちんと確認せずに何となく発進してしまう詰めの甘さ、危機管理対策の欠如などなど。これらを無視して、どうやって日本の豊かな未来を思い描くことが出来るんでしょう?
だから、日本を動かす脳味噌(政府)にNOと言いたいのです。体がすっかり蝕まれてしまう前に、そっちに行っては危ない、方向転換してもっと自分を大事にすることを考えなさい、と言いたいのです。こういう本能的な判断って、日本の衆参議員選挙みたいなシステムで表明するのはとても難しいですよね。まどろっこしいなぁと思います。
by poirier_AAA
| 2011-06-14 18:37
| 世情を考える
|
Comments(6)
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saheizi-inokori at 2011-06-14 19:34
特に総選挙では原発が争点になる可能性は少ないですから。
原発は経済社会全体、ひいては人間観にも関わる問題です。
政界再編成、中選挙区制の採用なども必要だと思います。
原発は経済社会全体、ひいては人間観にも関わる問題です。
政界再編成、中選挙区制の採用なども必要だと思います。
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poirier_AAA at 2011-06-14 20:33
>saheiziさん、こんにちは。
お恥ずかしい話ですが、政治がここまで自分の人生観、人間観に関わってくるものだとはこれまで考えたこともありませんでした。小手先の問題ではなくて、これからどういう国を目指すのかという原点に関わる話なんですよね。他人任せでなく一人一人が考えなければ、と思います。
お恥ずかしい話ですが、政治がここまで自分の人生観、人間観に関わってくるものだとはこれまで考えたこともありませんでした。小手先の問題ではなくて、これからどういう国を目指すのかという原点に関わる話なんですよね。他人任せでなく一人一人が考えなければ、と思います。
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coco
at 2011-06-15 21:08
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これぞデモクラシー!
普段はおおいばり首相も国民にはその首を飛ばす力が
あるということですよー(本来はね・・・)
このイタリア国民投票の結果を受けて日本の総務省系の
お方が、そうは言っても経済的観点からわが国は原発
推進派を辞めるわけがないと言ってた・・・
おいおい、世界中に迷惑かけといてシレーっとよくそういう
事いえるもんだわねっ!
普段はおおいばり首相も国民にはその首を飛ばす力が
あるということですよー(本来はね・・・)
このイタリア国民投票の結果を受けて日本の総務省系の
お方が、そうは言っても経済的観点からわが国は原発
推進派を辞めるわけがないと言ってた・・・
おいおい、世界中に迷惑かけといてシレーっとよくそういう
事いえるもんだわねっ!
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at 2011-06-15 22:27
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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poirier_AAA at 2011-06-16 00:39
>cocoさん、こんにちは。
ほんとうにそうよねぇ。世界中に迷惑をかけて国民を危険に曝して、それでもまだ手放せないって、どこまで洗脳されているんだって思います。だって普通の企業だってね、ある商品に避けられないリスクがあるとわかったら、他の方法も並行して研究開発を進めて万が一の事態に備えようって考えるものでしょう?そういうことをやろうともしなかったわけだから、それだけでも業務怠慢の給料泥棒です。
日本の政治家ってとことん甘やかされて来たんですよね。政治家にも腹が立つけれど、目先の利益をちらつかされると本質的な問題をすぐに忘れてしまう国民も、同じくらい馬鹿だったと思います。
ほんとうにそうよねぇ。世界中に迷惑をかけて国民を危険に曝して、それでもまだ手放せないって、どこまで洗脳されているんだって思います。だって普通の企業だってね、ある商品に避けられないリスクがあるとわかったら、他の方法も並行して研究開発を進めて万が一の事態に備えようって考えるものでしょう?そういうことをやろうともしなかったわけだから、それだけでも業務怠慢の給料泥棒です。
日本の政治家ってとことん甘やかされて来たんですよね。政治家にも腹が立つけれど、目先の利益をちらつかされると本質的な問題をすぐに忘れてしまう国民も、同じくらい馬鹿だったと思います。
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poirier_AAA at 2011-06-16 00:44