2011年 02月 06日
Daniel Pennac「Kamo l'agence Babel」 |
日本でも翻訳がたくさん出ているダニエル・ペナックの小説、いつか読んでみようとずっと思っていました。たまたま入った本屋で1冊、子ども向けの薄い本を見つけたので買ってみました。
邦題は「カモ少年と謎のペンフレンド」。
中学生のカモ少年はとにかく英語が苦手です。20点満点のテストで3点しか取れません。それでいつも母親に怒られています。というのも、このお母さん、小さい頃ヨーロッパ内を引越して歩いた経験から語学の達人。
いくつもの外国語を操ってしまうポリグロットなのです。
お母さんはどうも性格がはっきりした人のようで、勤務先の人とぶつかってばかり。一ヶ所で長く働き続けることができません。そこでお母さんはカモ少年に取引を持ちかけます。わたしが頑張って1つの会社で3ヶ月間働き続けることができたら、今度はあなたが3ヶ月で英語を身につけるのよ。
お母さんがカモ少年に提案した勉強方法というのがちょっと変わっています。英語圏のペンフレンドを見つけて文通することです。何人かのペンフレンド候補の中からカモ君が選んだのが、キャサリン・アーンショーでした。(ここでアッと思う人もいるでしょうね)
カモ君はフランス語で書き、キャシーことキャサリンは英語で書くと言う変わった文通方法でしたが、カモ君はあっというまに夢中になってしまいます。カモ君の友人である“ボク”はどうも変だと思い始めます。なにかこの文通には秘密がありそうだ・・
キャサリン・アーンショーでピンと来た人なら話が予想できてしまいますね。わずか3ヶ月でカモ少年は見事に英語を身につけ、それだけでなく大事な人生の友達を見つけてハッピーエンドを迎えます。
児童書なので決して入り組んだ話ではないのですが、思春期の子どもたちが文通を通して人生とぶつかっていくというストーリーは好感が持てました。それに文通相手として出てくる名前が凝っています。本好きにはたまらない仕掛けだと思います。
ここでいう「英語ができる」は「英語が読めて理解できる」ってことなのかなぁと思わないでもありません。でも、少なくとも自分と同じ言葉を使わない人の考えていることがわかるのは、それだけですごい収穫と言えますよね。
子ども向けの本なのだけれど、お母さんの姿も実物大に描かれていて、そういう点でも好感が持てました。母親と思春期の男の子がこういう親子関係でいられるって素敵だなぁと、わたしはどちらかというと母親の視点から読んだ感じです。
対象年齢は10歳以上となっています。いまの日本の中学生はこういう本を読んで面白いと思うでしょうか?ここに出てくる母親や親子関係をどう感じるのかしらとも思いました。文通なんて言葉も、今の子どもたちにとっては死語?手紙じゃなくて携帯メールでしょうか?何かを手書きして友達に渡すなんてことも、もうしないのかな?
挿絵もたくさん入っているし、大きな活字でたったの90ページ。あっさりと読めてしまいます。フランスの子ども向けなので、ちょっとわかり難い部分もあるかもしれませんが、初級から中級の多読用にいいかもと思います。長い本の息抜きとしてもぴったりの、苦にならない楽しい読み物でした。
邦題は「カモ少年と謎のペンフレンド」。
中学生のカモ少年はとにかく英語が苦手です。20点満点のテストで3点しか取れません。それでいつも母親に怒られています。というのも、このお母さん、小さい頃ヨーロッパ内を引越して歩いた経験から語学の達人。
いくつもの外国語を操ってしまうポリグロットなのです。
お母さんはどうも性格がはっきりした人のようで、勤務先の人とぶつかってばかり。一ヶ所で長く働き続けることができません。そこでお母さんはカモ少年に取引を持ちかけます。わたしが頑張って1つの会社で3ヶ月間働き続けることができたら、今度はあなたが3ヶ月で英語を身につけるのよ。
お母さんがカモ少年に提案した勉強方法というのがちょっと変わっています。英語圏のペンフレンドを見つけて文通することです。何人かのペンフレンド候補の中からカモ君が選んだのが、キャサリン・アーンショーでした。(ここでアッと思う人もいるでしょうね)
カモ君はフランス語で書き、キャシーことキャサリンは英語で書くと言う変わった文通方法でしたが、カモ君はあっというまに夢中になってしまいます。カモ君の友人である“ボク”はどうも変だと思い始めます。なにかこの文通には秘密がありそうだ・・
キャサリン・アーンショーでピンと来た人なら話が予想できてしまいますね。わずか3ヶ月でカモ少年は見事に英語を身につけ、それだけでなく大事な人生の友達を見つけてハッピーエンドを迎えます。
児童書なので決して入り組んだ話ではないのですが、思春期の子どもたちが文通を通して人生とぶつかっていくというストーリーは好感が持てました。それに文通相手として出てくる名前が凝っています。本好きにはたまらない仕掛けだと思います。
ここでいう「英語ができる」は「英語が読めて理解できる」ってことなのかなぁと思わないでもありません。でも、少なくとも自分と同じ言葉を使わない人の考えていることがわかるのは、それだけですごい収穫と言えますよね。
子ども向けの本なのだけれど、お母さんの姿も実物大に描かれていて、そういう点でも好感が持てました。母親と思春期の男の子がこういう親子関係でいられるって素敵だなぁと、わたしはどちらかというと母親の視点から読んだ感じです。
対象年齢は10歳以上となっています。いまの日本の中学生はこういう本を読んで面白いと思うでしょうか?ここに出てくる母親や親子関係をどう感じるのかしらとも思いました。文通なんて言葉も、今の子どもたちにとっては死語?手紙じゃなくて携帯メールでしょうか?何かを手書きして友達に渡すなんてことも、もうしないのかな?
挿絵もたくさん入っているし、大きな活字でたったの90ページ。あっさりと読めてしまいます。フランスの子ども向けなので、ちょっとわかり難い部分もあるかもしれませんが、初級から中級の多読用にいいかもと思います。長い本の息抜きとしてもぴったりの、苦にならない楽しい読み物でした。
by poirier_AAA
| 2011-02-06 20:45
| フランス語を読む
|
Comments(2)
梨の木さん、はじめまして。
去年のいつからか拝見しておりました。
特に、梨の木さんの本の感想の記事にはいつも楽しませてもらっています。
いくつかの記事を参考に本を購入し読んでいます。
昨日、こちらの本を読んだのですが、私は巻末のDaniel Pennacの質疑応答の部分が面白いな~と、思いました。
堅く、真面目に答えないところがフランス人だなぁ、フランス語だなぁ~と。
また、読み終わったら自分の感想も書かせてもらいますね!
去年のいつからか拝見しておりました。
特に、梨の木さんの本の感想の記事にはいつも楽しませてもらっています。
いくつかの記事を参考に本を購入し読んでいます。
昨日、こちらの本を読んだのですが、私は巻末のDaniel Pennacの質疑応答の部分が面白いな~と、思いました。
堅く、真面目に答えないところがフランス人だなぁ、フランス語だなぁ~と。
また、読み終わったら自分の感想も書かせてもらいますね!
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Commented
by
poirier_AAA at 2013-01-07 19:42
>majiさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。
本の記事、気に入っていただけて嬉しいです。
この本は子ども用ですけれど、さすがに10歳以降用ともなると侮れないなぁと思いながら読みました。ダニエル・ペナックは大人用の本もたくさん書いていて、わたしも買ってあるんですけれどまだ読めていません。なかなか思うように読書スピードが上がらないのが悩みの種です。。。
さきほどmajiさんのブログにちょっとだけお邪魔しました。フランスにお住まいなのですね。今日はちょっと時間がないのですが、またゆっくり遊びに行かせて下さい。本の感想も楽しみにしています。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございました。
本の記事、気に入っていただけて嬉しいです。
この本は子ども用ですけれど、さすがに10歳以降用ともなると侮れないなぁと思いながら読みました。ダニエル・ペナックは大人用の本もたくさん書いていて、わたしも買ってあるんですけれどまだ読めていません。なかなか思うように読書スピードが上がらないのが悩みの種です。。。
さきほどmajiさんのブログにちょっとだけお邪魔しました。フランスにお住まいなのですね。今日はちょっと時間がないのですが、またゆっくり遊びに行かせて下さい。本の感想も楽しみにしています。
これからも、どうぞよろしくお願いします。