2010年 10月 15日
素晴らしい声 |
3つ前の記事でサザランドのことを書きました。その影響で、この2日間時間があるとYouTube上でソプラノ歌手めぐりをしております。
いろいろ見て聞いて思うのは、50年代から70年代にかけてのオペラ界は凄い歌手がぞろぞろといたんだなぁということです。実際にその時代に生きて生で歌を聴くことはできなかったけれど、こうして家に居ながらにして歴史的名演をはしご出来るのも、考えようによってはとても贅沢なことです。
そんな歌手巡りの中で、いくつか気に入ったものをご紹介しようと思います。
サザランドは上背のある“大きい”ソプラノでしたが、同じように“大きい”ソプラノとしてはスペイン出身のモンセラート・カバリエが挙げられるかと思います。こう言うことを書くのは失礼だとは思いますが、外見から言えば、カバリエは可憐なヒロインにはなり得ません。どう見てもイベリア半島の気の良いおばちゃんです。が、彼女の声は違います。絹糸のようなつややかさとしなやかさ、天に舞い上がるような声なのです。叙情的なプッチーニのアリアは、彼女が歌うといっそう良さがわかるような気がします。
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(カバリエ)
http://www.youtube.com/watch?v=oNp_m_EJKEQ
「ジャンニ・スキッキ」から「わたしのお父さん」(カバリエ)
http://www.youtube.com/watch?v=dI17VdRfCek
この超人的なフレージングの長さ、ひとつのフレーズの中で自在にクレッシェンドやデクレッシェンドする技術、音が上がって感情が最も高まるところでふっと音量をしぼり、えも言われぬ美声を響かせる絶妙なコントロール。ちょっと他の歌手の追随を許さない素晴らしさだと思います。
「ジャンニ・スキッキ」はプッチーニが完成させた最後のオペラなんだそうです。このあとに書かれた「トゥーランドット」はプッチーニの絶筆、プッチーニが書けなかった部分を弟子が完成させて世に出ました。「トスカ」や「ジャンニ・スキッキ」にはカバリエのようなリリコが似合いますが、一方「トゥーランドット」のタイトルロールを歌うソプラノの声は、もっとずっと重くて強い声でなければなりません。このトゥーランドット役で有名なのがスウェーデン出身のビルギット・ニルソンです。彼女はワーグナー歌いとしても有名です。一回聞いていただければ説明は不要かと思います。ものすごい声量で、しかもダイヤモンドのような硬さと輝きをもった声なのです。重力が非常に強く、声が芯に集まって乱れる余地がない感じ。ふんわりとした柔らかさとは無縁の鋼のような声です。彼女が「歌に生き、恋に生き」を歌っている映像も見つけましたが、なんというか、楽々歌っている感じであまり感情が伝わってきません。一方、氷のような心をもった姫君役としては、もうどんぴしゃです。
「トゥーランドット」から「この宮殿の中で」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=OWle3od3BCc&feature=related
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=wRjBpJ0ZECo&feature=related
ね、本当にすごい声でしょう。一度聞いたら忘れられない。打ちのめされるような声です。ついでに、ニルソンの歌うワーグナーも。こちらも素晴らしいです。
「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=_mOA8pZ_I4M
いろいろ見てあらためて感じるのは、マリア・カラスという歌手の凄さです。カラスは上の3曲も歌っているし(ワーグナーは除いて)、ヴェルディも歌えばベルリーニも歌う、カルメンだって歌ってしまいます。そしてそのどれもが有無を言わせぬ説得力があるのです。たくさんの素晴らしい歌手の中で、カラスだけが特別視されるのも当然だなぁと思います。
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=zXQvPwYYVBI&feature=related
「ジャンニ・スキッキ」から「わたしのお父さん」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=Rxy4qrnKwVo&feature=related
「トゥーランドット」から「この宮殿の中で」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=RSSLtS2KUfo&feature=related
本当に楽しいオペラ歌手巡りですが、ひとつ困るのは、特定の曲のメロディーが頭から離れなくなってしまうことです。いまのところ私の頭を巡っているのは「トゥーランドット」。子どもを幼稚園に送迎しながらトゥーランドットを口ずさんでしまうなんて、我ながらかな〜り怪しいと思います。
いろいろ見て聞いて思うのは、50年代から70年代にかけてのオペラ界は凄い歌手がぞろぞろといたんだなぁということです。実際にその時代に生きて生で歌を聴くことはできなかったけれど、こうして家に居ながらにして歴史的名演をはしご出来るのも、考えようによってはとても贅沢なことです。
そんな歌手巡りの中で、いくつか気に入ったものをご紹介しようと思います。
サザランドは上背のある“大きい”ソプラノでしたが、同じように“大きい”ソプラノとしてはスペイン出身のモンセラート・カバリエが挙げられるかと思います。こう言うことを書くのは失礼だとは思いますが、外見から言えば、カバリエは可憐なヒロインにはなり得ません。どう見てもイベリア半島の気の良いおばちゃんです。が、彼女の声は違います。絹糸のようなつややかさとしなやかさ、天に舞い上がるような声なのです。叙情的なプッチーニのアリアは、彼女が歌うといっそう良さがわかるような気がします。
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(カバリエ)
http://www.youtube.com/watch?v=oNp_m_EJKEQ
「ジャンニ・スキッキ」から「わたしのお父さん」(カバリエ)
http://www.youtube.com/watch?v=dI17VdRfCek
この超人的なフレージングの長さ、ひとつのフレーズの中で自在にクレッシェンドやデクレッシェンドする技術、音が上がって感情が最も高まるところでふっと音量をしぼり、えも言われぬ美声を響かせる絶妙なコントロール。ちょっと他の歌手の追随を許さない素晴らしさだと思います。
「ジャンニ・スキッキ」はプッチーニが完成させた最後のオペラなんだそうです。このあとに書かれた「トゥーランドット」はプッチーニの絶筆、プッチーニが書けなかった部分を弟子が完成させて世に出ました。「トスカ」や「ジャンニ・スキッキ」にはカバリエのようなリリコが似合いますが、一方「トゥーランドット」のタイトルロールを歌うソプラノの声は、もっとずっと重くて強い声でなければなりません。このトゥーランドット役で有名なのがスウェーデン出身のビルギット・ニルソンです。彼女はワーグナー歌いとしても有名です。一回聞いていただければ説明は不要かと思います。ものすごい声量で、しかもダイヤモンドのような硬さと輝きをもった声なのです。重力が非常に強く、声が芯に集まって乱れる余地がない感じ。ふんわりとした柔らかさとは無縁の鋼のような声です。彼女が「歌に生き、恋に生き」を歌っている映像も見つけましたが、なんというか、楽々歌っている感じであまり感情が伝わってきません。一方、氷のような心をもった姫君役としては、もうどんぴしゃです。
「トゥーランドット」から「この宮殿の中で」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=OWle3od3BCc&feature=related
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=wRjBpJ0ZECo&feature=related
ね、本当にすごい声でしょう。一度聞いたら忘れられない。打ちのめされるような声です。ついでに、ニルソンの歌うワーグナーも。こちらも素晴らしいです。
「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」(ニルソン)
http://www.youtube.com/watch?v=_mOA8pZ_I4M
いろいろ見てあらためて感じるのは、マリア・カラスという歌手の凄さです。カラスは上の3曲も歌っているし(ワーグナーは除いて)、ヴェルディも歌えばベルリーニも歌う、カルメンだって歌ってしまいます。そしてそのどれもが有無を言わせぬ説得力があるのです。たくさんの素晴らしい歌手の中で、カラスだけが特別視されるのも当然だなぁと思います。
「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=zXQvPwYYVBI&feature=related
「ジャンニ・スキッキ」から「わたしのお父さん」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=Rxy4qrnKwVo&feature=related
「トゥーランドット」から「この宮殿の中で」(カラス)
http://www.youtube.com/watch?v=RSSLtS2KUfo&feature=related
本当に楽しいオペラ歌手巡りですが、ひとつ困るのは、特定の曲のメロディーが頭から離れなくなってしまうことです。いまのところ私の頭を巡っているのは「トゥーランドット」。子どもを幼稚園に送迎しながらトゥーランドットを口ずさんでしまうなんて、我ながらかな〜り怪しいと思います。
by poirier_AAA
| 2010-10-15 19:42
| 聴く
|
Comments(0)