2010年 09月 29日
ちょっとした出来事 |
さっき幼稚園に子どもを迎えに行った帰り道のことです。
わたしたちの30mくらい先で、立っていた男性がずるずると崩れ落ちるように地面に倒れました。急に筋力が落ちて体を支えていられなくなったというような倒れ方。これはまずい、すぐにそう思って手を貸すつもりで足を速めました。
近くに辿り着くまでの数秒間で、さて意識はあるかな、下手に起こさない方がいいのかな、救急車の番号って何番だったっけ、などと慌てて考えました。でも、そのわずか数秒間のうちに、わたしよりも更に至近距離にいた人たちが気がついて男性に声をかけるのが見えました。わたしたちが傍に着いた時には、もう10人くらいの人が「大丈夫?できることがあれば手伝うよ」モードでまわりを取り囲んでいます。初老のムッシューは声をかけながら手を引っ張って身を起こさせ、その間にマダムが1人、目の前の不動産エージェントの事務所に入って救急車を呼ぶように頼んでいる模様。幸い、男性はじきに体を起こせるようになり、人に助けられながら傍のベンチまで歩いて行きました。
この様子なら大丈夫そうだ、手も足りているだろうと思い、わたしたちは家に戻ることにしましたが、道々やっぱり気になって何回かうしろを振り向いてしまいました。
ベンチに座った男性の周りには3人ほどの人が残って、どうやら話をしながら様子を見ているようでした。ゆっくりゆっくり歩く道々、何回も振り向いたけれど、男性の傍には必ず人がいる様子でした。
別に自分が直接関わった話ではないのですけれど、なんだかとても安心してほっとした出来事でした。あぁこの街は大丈夫だ、そんな安心感です。
英語が出来ないとか、愛想がないとか、ヒステリックだとか、犬の落とし物を放っておいても平気だとか、休みのことばっかり考えていて働かないとか、どんな簡単なことでも1回で終わらないとか、午後5時から6時が帰宅ラッシュだとか、もう、いろいろな面で悪評高いフランス人(パリ人)ではありますが、今日のような場面に遭遇すると「いいところあるんだよ、フランス人」と俄然賞賛したくなります。
しゃべり始めるととまらないという無類のおしゃべり好きも、見ず知らずの人たちの会話にも首を突っ込んで行けるずうずうしさと度胸に裏打ちされたおせっかいも、こんなふうに何か困ったことが起きた時には、あぁ本当に役にたつのねぇ。たまたま居合わせた人たちの間でも、あっという間に相談がなされて必要な助けが提供される、この柔軟な対応能力よ。あんまり働かないと悪口を言われても、実は仕事やら時間やらに追われていないからこそ、こんなふうに倒れた人に付き添ってあげられるんだとも言えるわけです。
一人一人を見たら、日本人は優しいと思うんです。でも、あの通勤時間帯の東京駅構内を足早に歩く人々の様子を思い出すにつけ、どうせ転ぶんなら絶対パリの方がいいよ(道の清潔さについては非常な不安があるものの)などと思います。日本は本当に効率よく物事が動きますけれど、そこには効率を悪くする弱者の居場所はありませんよね。子ども連れの弱者の立場になった今は、のろのろしていて思うように前進できなくても、フランスの方が安心できるなぁと思います。
わたしたちの30mくらい先で、立っていた男性がずるずると崩れ落ちるように地面に倒れました。急に筋力が落ちて体を支えていられなくなったというような倒れ方。これはまずい、すぐにそう思って手を貸すつもりで足を速めました。
近くに辿り着くまでの数秒間で、さて意識はあるかな、下手に起こさない方がいいのかな、救急車の番号って何番だったっけ、などと慌てて考えました。でも、そのわずか数秒間のうちに、わたしよりも更に至近距離にいた人たちが気がついて男性に声をかけるのが見えました。わたしたちが傍に着いた時には、もう10人くらいの人が「大丈夫?できることがあれば手伝うよ」モードでまわりを取り囲んでいます。初老のムッシューは声をかけながら手を引っ張って身を起こさせ、その間にマダムが1人、目の前の不動産エージェントの事務所に入って救急車を呼ぶように頼んでいる模様。幸い、男性はじきに体を起こせるようになり、人に助けられながら傍のベンチまで歩いて行きました。
この様子なら大丈夫そうだ、手も足りているだろうと思い、わたしたちは家に戻ることにしましたが、道々やっぱり気になって何回かうしろを振り向いてしまいました。
ベンチに座った男性の周りには3人ほどの人が残って、どうやら話をしながら様子を見ているようでした。ゆっくりゆっくり歩く道々、何回も振り向いたけれど、男性の傍には必ず人がいる様子でした。
別に自分が直接関わった話ではないのですけれど、なんだかとても安心してほっとした出来事でした。あぁこの街は大丈夫だ、そんな安心感です。
英語が出来ないとか、愛想がないとか、ヒステリックだとか、犬の落とし物を放っておいても平気だとか、休みのことばっかり考えていて働かないとか、どんな簡単なことでも1回で終わらないとか、午後5時から6時が帰宅ラッシュだとか、もう、いろいろな面で悪評高いフランス人(パリ人)ではありますが、今日のような場面に遭遇すると「いいところあるんだよ、フランス人」と俄然賞賛したくなります。
しゃべり始めるととまらないという無類のおしゃべり好きも、見ず知らずの人たちの会話にも首を突っ込んで行けるずうずうしさと度胸に裏打ちされたおせっかいも、こんなふうに何か困ったことが起きた時には、あぁ本当に役にたつのねぇ。たまたま居合わせた人たちの間でも、あっという間に相談がなされて必要な助けが提供される、この柔軟な対応能力よ。あんまり働かないと悪口を言われても、実は仕事やら時間やらに追われていないからこそ、こんなふうに倒れた人に付き添ってあげられるんだとも言えるわけです。
一人一人を見たら、日本人は優しいと思うんです。でも、あの通勤時間帯の東京駅構内を足早に歩く人々の様子を思い出すにつけ、どうせ転ぶんなら絶対パリの方がいいよ(道の清潔さについては非常な不安があるものの)などと思います。日本は本当に効率よく物事が動きますけれど、そこには効率を悪くする弱者の居場所はありませんよね。子ども連れの弱者の立場になった今は、のろのろしていて思うように前進できなくても、フランスの方が安心できるなぁと思います。
by poirier_AAA
| 2010-09-29 02:03
| 日々の断片
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