2010年 09月 15日
弦楽の秋 |
季節がすっかり秋になったせいでしょうか、春夏とは明らかに嗜好が変わってきました。ともすると寒さを感じる空気、からりと高い秋空、荒々しい生命力も今は影を潜めて、しっとりとした落ち着きが街をおおっているように感じます。そうすると、考えることもやることも、どんどんと自分の内面に入って行くような気がします。
こんなときは、音楽を聴いても体に直接響いてくる感じです。
ある日突然、ドヴォルザークの弦楽四重奏が聴きたくなりました。多分、彼の弦楽四重奏曲の中では一番有名な第12番(通称「アメリカ」)です。この曲、個人的にはかなり好きな部類に入ります。ときどき思い出したように聴きたくてたまらなくなるのです。でも何回か聴いているうちに、そういえば昔、この曲を演奏し終わった弦楽器仲間に「恥ずかしくなかった?」と聞いた人がいたなぁと思い出して、ちょっと可笑しくなりました。
アマチュア・オーケストラ関係者には、独特の了解事項というか共通認識みたいなものがあるのです。オーケストラ全体の共通認識もあれば、弦楽器や木管楽器、金管楽器といった仲間内での共通認識もあります。この曲で良い思いをするのはこの楽器、この曲で泣くのはこの楽器、というようなものから、作曲家毎の曲のイメージまでいろいろです。
で、件の弦楽四重奏曲に関しては「恥ずかしい」とか「格好悪い」と評する弦楽器奏者が結構いるのです。特にヴィオラ奏者は可哀そうにと同情されることが多い。第一楽章の冒頭に出てくるヴィオラの旋律が、この楽器の音域のせいもあり、なんだか滑稽に聞こえるから格好悪い、そして第四楽章の冒頭で刻むリズムが、これまたとっても泥臭くてはずかしい〜、というのです。確かに、下手に弾くとすごく野暮ったくなる部分かもしれませんよね。(ヴィオラの名誉のために書き添えると、例えばブラームスの弦楽六重奏第1番の第二楽章の冒頭などは、逆にカッコいいと羨まれます)この曲に限らず、ドヴォルザークの耳に残る旋律やわかりやすい盛り上がり方がなんだか安直すぎてイヤ、という声もあります。
でもね、久しぶりに聴いてみると、ドヴォルザークのわかりやすい旋律は本当に美しいです。やっぱり、旋律は音楽を楽しむための大事な要素だと思います。美しい旋律は、時代も人種も性別もすべて超えて人を喜ばせますよね。演奏する人からすると、いかにも大衆受けしそうな曲だなぁという気持ちが先立ってウンザリしてしまったりするわけですが、大衆受けする曲だっていいじゃありませんか。演奏家が照れていたら、せっかくの旋律が死んでしまいますって。
弦楽曲を聴くのが楽しいなぁ思っているうちに、弦楽器を弾きたい欲がじわじわと湧いてきました。できたらヴィオラがチェロがいいなぁ。もし弦楽器を弾くことになったら、ちゃんと練習して、是非人を集めて弦楽アンサンブルをやってみたいです。
下手だからとか尻込みせず、曲に照れたりせず、堂々と弾けるようになろう。楽しいだろうなぁ。音楽のない人生は出汁の入ってない味噌汁の如し、楽器を弾かない人生は、出汁は入っているけれど実の入ってない味噌汁の如し、なのであります。
《参考》(Copy/Pasteして使って下さい)
ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96, B.179 『アメリカ』
第一楽章
http://www.youtube.com/watch?v=SeMVaWx3fMA&feature=related
第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=tu4194jWp_Y&feature=related
第三楽章
http://www.youtube.com/watch?v=zhAbfuaK8cU&feature=related
第四楽章
http://www.youtube.com/watch?v=8gfYV6AlIZw&feature=related
ブラームス弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op.18 第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=a0Zuec49bO4&feature=related
こんなときは、音楽を聴いても体に直接響いてくる感じです。
ある日突然、ドヴォルザークの弦楽四重奏が聴きたくなりました。多分、彼の弦楽四重奏曲の中では一番有名な第12番(通称「アメリカ」)です。この曲、個人的にはかなり好きな部類に入ります。ときどき思い出したように聴きたくてたまらなくなるのです。でも何回か聴いているうちに、そういえば昔、この曲を演奏し終わった弦楽器仲間に「恥ずかしくなかった?」と聞いた人がいたなぁと思い出して、ちょっと可笑しくなりました。
アマチュア・オーケストラ関係者には、独特の了解事項というか共通認識みたいなものがあるのです。オーケストラ全体の共通認識もあれば、弦楽器や木管楽器、金管楽器といった仲間内での共通認識もあります。この曲で良い思いをするのはこの楽器、この曲で泣くのはこの楽器、というようなものから、作曲家毎の曲のイメージまでいろいろです。
で、件の弦楽四重奏曲に関しては「恥ずかしい」とか「格好悪い」と評する弦楽器奏者が結構いるのです。特にヴィオラ奏者は可哀そうにと同情されることが多い。第一楽章の冒頭に出てくるヴィオラの旋律が、この楽器の音域のせいもあり、なんだか滑稽に聞こえるから格好悪い、そして第四楽章の冒頭で刻むリズムが、これまたとっても泥臭くてはずかしい〜、というのです。確かに、下手に弾くとすごく野暮ったくなる部分かもしれませんよね。(ヴィオラの名誉のために書き添えると、例えばブラームスの弦楽六重奏第1番の第二楽章の冒頭などは、逆にカッコいいと羨まれます)この曲に限らず、ドヴォルザークの耳に残る旋律やわかりやすい盛り上がり方がなんだか安直すぎてイヤ、という声もあります。
でもね、久しぶりに聴いてみると、ドヴォルザークのわかりやすい旋律は本当に美しいです。やっぱり、旋律は音楽を楽しむための大事な要素だと思います。美しい旋律は、時代も人種も性別もすべて超えて人を喜ばせますよね。演奏する人からすると、いかにも大衆受けしそうな曲だなぁという気持ちが先立ってウンザリしてしまったりするわけですが、大衆受けする曲だっていいじゃありませんか。演奏家が照れていたら、せっかくの旋律が死んでしまいますって。
弦楽曲を聴くのが楽しいなぁ思っているうちに、弦楽器を弾きたい欲がじわじわと湧いてきました。できたらヴィオラがチェロがいいなぁ。もし弦楽器を弾くことになったら、ちゃんと練習して、是非人を集めて弦楽アンサンブルをやってみたいです。
下手だからとか尻込みせず、曲に照れたりせず、堂々と弾けるようになろう。楽しいだろうなぁ。音楽のない人生は出汁の入ってない味噌汁の如し、楽器を弾かない人生は、出汁は入っているけれど実の入ってない味噌汁の如し、なのであります。
《参考》(Copy/Pasteして使って下さい)
ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96, B.179 『アメリカ』
第一楽章
http://www.youtube.com/watch?v=SeMVaWx3fMA&feature=related
第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=tu4194jWp_Y&feature=related
第三楽章
http://www.youtube.com/watch?v=zhAbfuaK8cU&feature=related
第四楽章
http://www.youtube.com/watch?v=8gfYV6AlIZw&feature=related
ブラームス弦楽六重奏曲第1番変ロ長調op.18 第二楽章
http://www.youtube.com/watch?v=a0Zuec49bO4&feature=related
by poirier_AAA
| 2010-09-15 20:48
| 聴く
|
Comments(0)