2010年 07月 28日
気になるピアニスト |
初めて彼女を見たのは、ヴェルビエ音楽祭の録画だったと思います。クルト・マズア指揮でメンデルスゾーンのピアノ協奏曲を演奏していました。オーケストラも指揮者も全然目に入りません。とにかくピアノを演奏する彼女の姿から目を離せない。そのくらい、ひきつけられました。
一昨日は2009年のルツェルン音楽祭の録画で、アバド指揮のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を見ることができました。アバドやオーケストラ相手に一歩も引けをとらないどころか、指揮者までキリキリ舞いさせているような様子すらあって、すごい存在感だと感じました。
彼女の名前は、Yuja Wang(王羽佳:ユジャ・ワン)。
1987年に北京で生まれ、6歳からピアノを習い始めたのだそうです。コンクールの入賞歴こそ少ないものの、その才能は早くから認められていたようで、20歳前から世界のオーケストラと共演した経歴を持つ実力派です。
こんなに引きつけられている理由は何なのか、自分でもまだつかみきれません。ひとつには彼女の指の強さがあるのかなぁという気がします。彼女の弾き方が好きなんです。アジア人女性ですから体格だって決して大きくはない。彼女自身の外観は筋肉質の細身です。それが、ピアノを弾き始めると、どこにそんな力があるのだと驚くほど力強い演奏を聴かせてくれます。鍵盤を叩く指や手のひらや手首などを見ると、ものすごく強靭で且つしなやか、どこにも無理な力がはいらない理想的な状態で体の重さが指にかかって音が出ている感じがします。そして、指が舞うんです。迷いなく舞って、しかもきちんと音が出る、それが快感です。
それから、陶酔型ではないのだけれど、音楽の中に入って自分が楽しんでいる様子が見られて、それも好感を感じる理由かも知れません。
なにはともあれ、彼女の演奏を見て聞いていただきたいのです。
(リンクが貼れないので、URLをコピーしてご利用下さい。毎度すみません)
ちょうど音楽祭のシーズンなので、期間限定で演奏会の模様を見ることができます。
《2010年7月20日ヴェルビエ音楽祭リサイタル》(arte live tv)
http://liveweb.arte.tv/fr/video/Yuja_Wang_interprete_Liszt__Schumann__Scriabine_et_Prokofiev_au_Verbier_Festival/
プログラムは
- Liszt, Gretchen am Spinnrade S 558 N° 8, d'après le D 118
- Liszt, Auf dem Wasser zu singen S 558 N° 2, d'après le D 774
- Liszt, Erlkönig S 558 N° 4, d'après le D 328
- Schumann, Etudes symphoniques op.13
- Scriabine, Prélude en Si majeur op.11 N°11
- Scriabine, Prélude en si mineur op.13 N°6
- Scriabine, Prélude en sol dièse mineur op.11 N°12
- Scriabine, Etude en sol dièse mineur op.8 N°9
- Scriabine, Poème en Fa dièse majeur op.32 N°1
- Prokofiev, Sonate pour piano N° 6 en La majeur op.82
同じくarteのページから、今晩のコンサート(シューマンとベートーヴェン)の様子も見られるようになると思います。
《2010年7月16日ヴェルビエ音楽祭》(medici.tv)
http://www.medici.tv/#/performance/782/
プロコフィエフ作曲 ピアノ協奏曲第2番
シャルル・デュトワ指揮、ヴェルビエ・フェルティバル・オーケストラ
また、去年や一昨年の映像もYouTubeで見ることができます。
《2009年ヴェルビエ音楽祭リサイタル》
http://www.youtube.com/watch?v=5h8odyf6PNM
このリサイタルの様子はpart1からpart12まであって、初めから終わりまで(アンコールまで)見ることができます。プログラムはスカルラッティのソナタ、ブラームスのパガニーニの主題による変奏曲(part2の2分30秒あたりから)、ショパンのピアノソナタ第2番(part4の2分30秒あたりから)、Shchedrinの7つの即興曲(part7)、ストラビンスキーのペトルーシュカ(part9)。
《2009年ヴェルビエ音楽祭》
http://www.youtube.com/watch?v=zjIXLSaflVQ&feature=related
メンデルスゾーンのゼクステットです。ピアノが軽くて好きです。もっと聴きたい!
《2008年ヴェルビエ音楽祭リサイタル》
http://www.youtube.com/watch?v=htCkUyNjPAM&feature=related
ラヴェルのラ・ヴァルスです。
彼女の映像を見ると、超絶技巧を見てごらんよと言わんばかりのものもあります。リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」とかね。ペトルーシュカだって、楽々弾いてます。
確かに彼女の技巧はそれは素晴らしいと思うけれど、それだけではないだろうという気がするのです。超絶技巧を前面に出して勝負すべき演奏者ではない、それではもったいなさすぎると思います。超絶技巧は彼女の力のほんの一部分に過ぎません。彼女には繊細なタッチもあるし、素晴らしい音もあるし、どんな指揮者や演奏者と共演しても負けないだけの強い個性があると思うのです。それに、まだまだ20代になったばかりですよ。これからどんなピアニストになっていくのかと考えると、先が楽しみでわくわくします。
こちらのクラシック番組は、大御所がぞくぞくと登場する一方で、若い実力のある演奏者たちを知ることもできるので楽しいのです。日本にいた頃は全く知らなかった日本人演奏者も登場します。昔のお宝録音を探すのも楽しいですが、なんとこんな人がいたのか、知らなかった!という現役の演奏者とめぐりあうのも、かなり嬉しいものですよね。
一昨日は2009年のルツェルン音楽祭の録画で、アバド指揮のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を見ることができました。アバドやオーケストラ相手に一歩も引けをとらないどころか、指揮者までキリキリ舞いさせているような様子すらあって、すごい存在感だと感じました。
彼女の名前は、Yuja Wang(王羽佳:ユジャ・ワン)。
1987年に北京で生まれ、6歳からピアノを習い始めたのだそうです。コンクールの入賞歴こそ少ないものの、その才能は早くから認められていたようで、20歳前から世界のオーケストラと共演した経歴を持つ実力派です。
こんなに引きつけられている理由は何なのか、自分でもまだつかみきれません。ひとつには彼女の指の強さがあるのかなぁという気がします。彼女の弾き方が好きなんです。アジア人女性ですから体格だって決して大きくはない。彼女自身の外観は筋肉質の細身です。それが、ピアノを弾き始めると、どこにそんな力があるのだと驚くほど力強い演奏を聴かせてくれます。鍵盤を叩く指や手のひらや手首などを見ると、ものすごく強靭で且つしなやか、どこにも無理な力がはいらない理想的な状態で体の重さが指にかかって音が出ている感じがします。そして、指が舞うんです。迷いなく舞って、しかもきちんと音が出る、それが快感です。
それから、陶酔型ではないのだけれど、音楽の中に入って自分が楽しんでいる様子が見られて、それも好感を感じる理由かも知れません。
なにはともあれ、彼女の演奏を見て聞いていただきたいのです。
(リンクが貼れないので、URLをコピーしてご利用下さい。毎度すみません)
ちょうど音楽祭のシーズンなので、期間限定で演奏会の模様を見ることができます。
《2010年7月20日ヴェルビエ音楽祭リサイタル》(arte live tv)
http://liveweb.arte.tv/fr/video/Yuja_Wang_interprete_Liszt__Schumann__Scriabine_et_Prokofiev_au_Verbier_Festival/
プログラムは
- Liszt, Gretchen am Spinnrade S 558 N° 8, d'après le D 118
- Liszt, Auf dem Wasser zu singen S 558 N° 2, d'après le D 774
- Liszt, Erlkönig S 558 N° 4, d'après le D 328
- Schumann, Etudes symphoniques op.13
- Scriabine, Prélude en Si majeur op.11 N°11
- Scriabine, Prélude en si mineur op.13 N°6
- Scriabine, Prélude en sol dièse mineur op.11 N°12
- Scriabine, Etude en sol dièse mineur op.8 N°9
- Scriabine, Poème en Fa dièse majeur op.32 N°1
- Prokofiev, Sonate pour piano N° 6 en La majeur op.82
同じくarteのページから、今晩のコンサート(シューマンとベートーヴェン)の様子も見られるようになると思います。
《2010年7月16日ヴェルビエ音楽祭》(medici.tv)
http://www.medici.tv/#/performance/782/
プロコフィエフ作曲 ピアノ協奏曲第2番
シャルル・デュトワ指揮、ヴェルビエ・フェルティバル・オーケストラ
また、去年や一昨年の映像もYouTubeで見ることができます。
《2009年ヴェルビエ音楽祭リサイタル》
http://www.youtube.com/watch?v=5h8odyf6PNM
このリサイタルの様子はpart1からpart12まであって、初めから終わりまで(アンコールまで)見ることができます。プログラムはスカルラッティのソナタ、ブラームスのパガニーニの主題による変奏曲(part2の2分30秒あたりから)、ショパンのピアノソナタ第2番(part4の2分30秒あたりから)、Shchedrinの7つの即興曲(part7)、ストラビンスキーのペトルーシュカ(part9)。
《2009年ヴェルビエ音楽祭》
http://www.youtube.com/watch?v=zjIXLSaflVQ&feature=related
メンデルスゾーンのゼクステットです。ピアノが軽くて好きです。もっと聴きたい!
《2008年ヴェルビエ音楽祭リサイタル》
http://www.youtube.com/watch?v=htCkUyNjPAM&feature=related
ラヴェルのラ・ヴァルスです。
彼女の映像を見ると、超絶技巧を見てごらんよと言わんばかりのものもあります。リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」とかね。ペトルーシュカだって、楽々弾いてます。
確かに彼女の技巧はそれは素晴らしいと思うけれど、それだけではないだろうという気がするのです。超絶技巧を前面に出して勝負すべき演奏者ではない、それではもったいなさすぎると思います。超絶技巧は彼女の力のほんの一部分に過ぎません。彼女には繊細なタッチもあるし、素晴らしい音もあるし、どんな指揮者や演奏者と共演しても負けないだけの強い個性があると思うのです。それに、まだまだ20代になったばかりですよ。これからどんなピアニストになっていくのかと考えると、先が楽しみでわくわくします。
こちらのクラシック番組は、大御所がぞくぞくと登場する一方で、若い実力のある演奏者たちを知ることもできるので楽しいのです。日本にいた頃は全く知らなかった日本人演奏者も登場します。昔のお宝録音を探すのも楽しいですが、なんとこんな人がいたのか、知らなかった!という現役の演奏者とめぐりあうのも、かなり嬉しいものですよね。
by poirier_AAA
| 2010-07-28 22:53
| 聴く
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