2010年 07月 18日
ヨーロッパの夏といえば |
ヴァカンスのために働いていると悪口をいわれることの多いフランス人ですが、夏のヴァカンスを楽しみにしているのは何もフランス人に限ったことではありません。この時期、パリ付近の高速道路では、後部座席の天上まで荷物を積み込んで、自転車を家族の人数分積んで、あるいはキャンピング・トレーラーを引いて南下する北ヨーロッパのナンバーをつけた車を多く見かけます。
暗くて寒い季節をせっせと働いて過ごしたあとは、最高に気持ちのいい季節を十分に堪能して1年を終える、というのがこちらの人たちの生活に根ざした1年のとらえ方のような気がします。長い夏休みは1年間頑張ったご褒美みたいですね。
そういうわけなので、学校は9月から翌年の6月まで、成人向けの市民講座も街の音楽学校もそうです。劇場やオーケストラのシーズンも2010/2011という書き方をします。2010年の9月から2011年の6月までということです。
クラシックの好きな人はご存知の人も多いと思いますが、ベルリンフィルは毎年夏にヴァルトビューネというところで野外コンサートを開きます。これが開かれるのが、シーズン最後(6月後半)の日曜日なんだそうです。すり鉢型になった広い会場の底辺部分に屋根付きのステージがつくられ、聴衆は地面に座り込んでくつろいで音楽を楽しみます。いかにもシーズン最後、夏休み目前の時期にふさわしい、肩の凝らない楽しいコンサートです。
契約している音楽チャンネルのおかげで、このヴァルトビューネの録画をたびたび見られるようになりました。これは何回見ても楽しめます。毎年テーマを設定してそれにあわせて選曲されるし指揮者やソリストも異なるので、演奏会としてももちろん楽しいのですけれど、やはり野外コンサートならではの客席との一体感が感じられるのが嬉しいのです。
聴衆は、親しい人たちと一緒に思い思いの格好で地面に座り、肩を寄せあったり、体を揺らしたりしながらくつろいで音楽を楽しみます。子どももいます。始まる頃はまだ明るい午後だったのが、やがて太陽がオレンジ色の光を残して森の向こうに沈み、とっぷりと日が暮れます。コンサートは暗闇の中でクライマックスを迎えます。プログラムの曲が終わり、いくつかアンコールも演奏され、そして最後は必ず「ベルリンの風」で締めくくるというのがお約束なのです。
この曲が始まると、聴衆は総立ちになって、曲にあわせて手を叩いたり指笛を吹き鳴らしたり、肩を組んで踊ったり、花火を振ったり、文字通り客席とステージが一体になって盛り上がります。この時にはオーケストラの団員も指揮者もみんなくつろいだ笑顔になって、それは楽しそうなに演奏しています。そんな楽しげな表情を目にするのが文句なく楽しい!
YouTubeでもいくつか見つけられたので、もしお時間が許したら見てみて下さい。なんとなく気が晴れないなぁというときでも、見終わった後はまあいいかと吹っ切れるくらい気持ちがいいです。(相変わらずリンクが貼れなくてご迷惑をかけます)
2008年、指揮者はグスターヴォ・ドゥダメル。
http://www.youtube.com/watch?v=c-jQy1lCoJc&feature=related
指揮者のえくぼと揺れるカーリーヘアを見ているだけでも笑顔が出てしまいそうなくらい、めちゃくちゃ幸福感溢れる映像です。これを1つ見ただけで、ヴァルトビューネの楽しさがわかると思います。指揮者が途中で客席に向って「音量を下げるよ〜」と合図し、聴衆もそれに応えているのが楽しい。
2009年、指揮はサイモン・ラトル。
http://www.youtube.com/watch?v=J4VQ0C82AsQ&feature=related
この年はあいにくの雨模様でしたが、それでも聴衆は楽しんでます。指揮者が途中から演奏をコンマスにまかせてシンバルを演奏しにいってしまいます。
2006年、指揮はネーメ・ヤルヴィ。
http://www.youtube.com/watch?v=yyldy-NL0Qk&feature=related
2008年のドゥダメルとはまた違った意味で愛嬌のある指揮者です。要所を思い切りためたり、ちょっと遅めのテンポ設定にして聴衆がのりやすいように演奏しています。
1996年、指揮はクラウディオ・アバド。
http://www.youtube.com/watch?v=Zg5KEnwg6n0&feature=related
この年も雨のコンサート。大病を患う前のアバドです。この人の笑顔はいつも本当に嬉しそうなので好きなんです。曲の途中にヴェルディを紛れ込ませているのが、オペラ好きには嬉しいサービス。テンポ設定は他と比べるとかなり速いので、聴衆にとっては親切でなかったかもしれません。でも、単に曲としてみたら快活でスマートでいい感じだと思います。
音楽はやっぱりいいよ!と声を大にして言いたくなる、そんなコンサート風景です。楽しい、気持ちいい、それが音楽の醍醐味だなぁと実感します。このコンサートの映像では、湿度も気温も高い日本に住んでいるとちょっと想像もつかないような、夏のヨーロッパらしい風景も見ていただけると思います。日が長くて夜10時でもまだ明るかったり、昼間はタンクトップで気持ちがいいのに、夜はグッと気温が下がって長袖のセーターとかコート類、あるいは年によってはマフラーとか保温性のあるパーカーが必要になるという、これがヨーロッパの夏ですね。
パリは7月14日を過ぎたので、本格的なヴァカンス・シーズンです。多くの住民が出かけてしまって、路上の駐車スペースも空いているし車の通行量も減っていて、いつもの気短なパリとはまったく違った雰囲気です。こんな時にヴァルトビューネの映像を見ているとね、もうしみじみ夏休みになりにけり〜と感じるのであります。
暗くて寒い季節をせっせと働いて過ごしたあとは、最高に気持ちのいい季節を十分に堪能して1年を終える、というのがこちらの人たちの生活に根ざした1年のとらえ方のような気がします。長い夏休みは1年間頑張ったご褒美みたいですね。
そういうわけなので、学校は9月から翌年の6月まで、成人向けの市民講座も街の音楽学校もそうです。劇場やオーケストラのシーズンも2010/2011という書き方をします。2010年の9月から2011年の6月までということです。
クラシックの好きな人はご存知の人も多いと思いますが、ベルリンフィルは毎年夏にヴァルトビューネというところで野外コンサートを開きます。これが開かれるのが、シーズン最後(6月後半)の日曜日なんだそうです。すり鉢型になった広い会場の底辺部分に屋根付きのステージがつくられ、聴衆は地面に座り込んでくつろいで音楽を楽しみます。いかにもシーズン最後、夏休み目前の時期にふさわしい、肩の凝らない楽しいコンサートです。
契約している音楽チャンネルのおかげで、このヴァルトビューネの録画をたびたび見られるようになりました。これは何回見ても楽しめます。毎年テーマを設定してそれにあわせて選曲されるし指揮者やソリストも異なるので、演奏会としてももちろん楽しいのですけれど、やはり野外コンサートならではの客席との一体感が感じられるのが嬉しいのです。
聴衆は、親しい人たちと一緒に思い思いの格好で地面に座り、肩を寄せあったり、体を揺らしたりしながらくつろいで音楽を楽しみます。子どももいます。始まる頃はまだ明るい午後だったのが、やがて太陽がオレンジ色の光を残して森の向こうに沈み、とっぷりと日が暮れます。コンサートは暗闇の中でクライマックスを迎えます。プログラムの曲が終わり、いくつかアンコールも演奏され、そして最後は必ず「ベルリンの風」で締めくくるというのがお約束なのです。
この曲が始まると、聴衆は総立ちになって、曲にあわせて手を叩いたり指笛を吹き鳴らしたり、肩を組んで踊ったり、花火を振ったり、文字通り客席とステージが一体になって盛り上がります。この時にはオーケストラの団員も指揮者もみんなくつろいだ笑顔になって、それは楽しそうなに演奏しています。そんな楽しげな表情を目にするのが文句なく楽しい!
YouTubeでもいくつか見つけられたので、もしお時間が許したら見てみて下さい。なんとなく気が晴れないなぁというときでも、見終わった後はまあいいかと吹っ切れるくらい気持ちがいいです。(相変わらずリンクが貼れなくてご迷惑をかけます)
2008年、指揮者はグスターヴォ・ドゥダメル。
http://www.youtube.com/watch?v=c-jQy1lCoJc&feature=related
指揮者のえくぼと揺れるカーリーヘアを見ているだけでも笑顔が出てしまいそうなくらい、めちゃくちゃ幸福感溢れる映像です。これを1つ見ただけで、ヴァルトビューネの楽しさがわかると思います。指揮者が途中で客席に向って「音量を下げるよ〜」と合図し、聴衆もそれに応えているのが楽しい。
2009年、指揮はサイモン・ラトル。
http://www.youtube.com/watch?v=J4VQ0C82AsQ&feature=related
この年はあいにくの雨模様でしたが、それでも聴衆は楽しんでます。指揮者が途中から演奏をコンマスにまかせてシンバルを演奏しにいってしまいます。
2006年、指揮はネーメ・ヤルヴィ。
http://www.youtube.com/watch?v=yyldy-NL0Qk&feature=related
2008年のドゥダメルとはまた違った意味で愛嬌のある指揮者です。要所を思い切りためたり、ちょっと遅めのテンポ設定にして聴衆がのりやすいように演奏しています。
1996年、指揮はクラウディオ・アバド。
http://www.youtube.com/watch?v=Zg5KEnwg6n0&feature=related
この年も雨のコンサート。大病を患う前のアバドです。この人の笑顔はいつも本当に嬉しそうなので好きなんです。曲の途中にヴェルディを紛れ込ませているのが、オペラ好きには嬉しいサービス。テンポ設定は他と比べるとかなり速いので、聴衆にとっては親切でなかったかもしれません。でも、単に曲としてみたら快活でスマートでいい感じだと思います。
音楽はやっぱりいいよ!と声を大にして言いたくなる、そんなコンサート風景です。楽しい、気持ちいい、それが音楽の醍醐味だなぁと実感します。このコンサートの映像では、湿度も気温も高い日本に住んでいるとちょっと想像もつかないような、夏のヨーロッパらしい風景も見ていただけると思います。日が長くて夜10時でもまだ明るかったり、昼間はタンクトップで気持ちがいいのに、夜はグッと気温が下がって長袖のセーターとかコート類、あるいは年によってはマフラーとか保温性のあるパーカーが必要になるという、これがヨーロッパの夏ですね。
パリは7月14日を過ぎたので、本格的なヴァカンス・シーズンです。多くの住民が出かけてしまって、路上の駐車スペースも空いているし車の通行量も減っていて、いつもの気短なパリとはまったく違った雰囲気です。こんな時にヴァルトビューネの映像を見ているとね、もうしみじみ夏休みになりにけり〜と感じるのであります。
by poirier_AAA
| 2010-07-18 20:39
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