2010年 06月 25日
ひどい と ひどくない |
W杯フランス代表のチーム内のゴタゴタは、マスコミや大衆を騒がせるだけに留まらず、政府や大統領まで乗り出しての大騒ぎに発展しております。確かにW杯には国の誇りがかかっているし国民の士気にかかわる行事ではありますけれど、何も(門外漢の)(超多忙な)大統領ご本人が首を突っ込む問題でもないだろうと思ってしまいます。昨日はフランス全土で大規模なストがありました。定年を62歳に引き上げる法案に対する抗議です。代表者がテレビで「フットボールのチームのことを考える暇があるなら、もっと大事な、国民全体の生活に関わる問題を議論すべきだろうが」と話していました。
今回のフランス・チームの試合の放送中、よく耳にしたのが
C'est terrible. (セ テリーブル)
という台詞でした。C'est は英語の It's で、terrible はひどい、恐ろしい、凄まじいという形容詞です。つまり「ひどいプレーだ」と言っていたのです。しかも、形容詞の音節を強調して(特に”テ”を強く)発音するんです。セ テ リー ブル。これをニコリともしない口調で発音すると、それはそれは皮肉っぽく聞こえます。口にしている人も聞いている人も言われている人も、一様に気分が落ち込む台詞でした。
では、この文を否定してみるとどうなるでしょうか?
Ce n'est pas terrible. (スネパ テリーブル)
直訳すると、ひどくない、恐ろしくない、となります。
しかし、注意注意! 悪くないじゃないと言いたくてこの台詞を言うと、相手には間違いなくムッとされます。なぜなら、Ce n'est pas terrible は C'est terrible の婉曲表現だからです。悪くはないよね、と表面上はいいながら、そのこころは「全然良くない。どうしようもない」なのです。一応遠慮してダイレクトに言わないだけのことです。本当に「悪くないよね」と言いたいのなら、C'est pas mal (セパマル)と明るい口調で言いましょう。
フランス語のクラスではこんなことは習いませんでした。
その昔、夫と一緒にレストランに行ったとき、サービスがひどかったことがありました。ちょっとひどいよね、どう思う?そう夫に意見を求めたところ、返って来た返事が「Ce n'est pas terrible」。えー、あなたはこの無神経で失礼なサービスでも悪くないと思っているの?これはごくごく基本的な人間性の問題よ、将来的に夫婦間の亀裂を深める可能性がある見解の相違じゃない?、そう思っていたわたしです。よくよく問いつめて、ようやくこの婉曲表現に気がつきました。(夫は語学教師ではないので、生徒が仮説を立てて問いつめ、検証確認する方法しかとれません。時間がかかります)
というわけで、ちょっとトリッキーなCe n'est pas terrible ですが、昨日の日本対デンマークの試合の後で、テレビの解説者が使っていたんですよ。いわく「日本チームは、過去を振り返ると《Ce n'etait pas terrible》だったけれど、今回は文句なしに素晴らしい。こんなにいい試合を見せてくれるサムライ・ブルーですから、決勝トーナメント進出は当然のことですね」
昨夜の日本の闘いぶりについては、こちらでも手放しで好意的に評価されています。チーム内の亀裂が問題になっている国が多い中、チームでまとまりがあるし、攻めもいいし守備も(GKも)いい、なにより得点しようという熱意が感じられて気持ちがいい、そういった口調です。今回のW杯の試合の中では、抜群に面白かった試合のひとつだ、というコメントもありました。
9割くらい日本人になって応援していた夫は、試合後も大興奮。勝ったのも嬉しいし何よりすごくいい試合だった。日本チームは素晴らしい。本当によくやった。興奮覚めやらず、ネットで試合結果のレポートやコメントを読みまくって、それらが全面的にポジティブな評価だったといってはまた喜んでおりました。
夢のように美しく決まったFK2本も、3点目のゴールも、見ていて本当に気持ちよかった。素晴らしかったのひとことです。パラグアイ戦でも、いい試合を見せてね。
楽しみにしています。
今回のフランス・チームの試合の放送中、よく耳にしたのが
C'est terrible. (セ テリーブル)
という台詞でした。C'est は英語の It's で、terrible はひどい、恐ろしい、凄まじいという形容詞です。つまり「ひどいプレーだ」と言っていたのです。しかも、形容詞の音節を強調して(特に”テ”を強く)発音するんです。セ テ リー ブル。これをニコリともしない口調で発音すると、それはそれは皮肉っぽく聞こえます。口にしている人も聞いている人も言われている人も、一様に気分が落ち込む台詞でした。
では、この文を否定してみるとどうなるでしょうか?
Ce n'est pas terrible. (スネパ テリーブル)
直訳すると、ひどくない、恐ろしくない、となります。
しかし、注意注意! 悪くないじゃないと言いたくてこの台詞を言うと、相手には間違いなくムッとされます。なぜなら、Ce n'est pas terrible は C'est terrible の婉曲表現だからです。悪くはないよね、と表面上はいいながら、そのこころは「全然良くない。どうしようもない」なのです。一応遠慮してダイレクトに言わないだけのことです。本当に「悪くないよね」と言いたいのなら、C'est pas mal (セパマル)と明るい口調で言いましょう。
フランス語のクラスではこんなことは習いませんでした。
その昔、夫と一緒にレストランに行ったとき、サービスがひどかったことがありました。ちょっとひどいよね、どう思う?そう夫に意見を求めたところ、返って来た返事が「Ce n'est pas terrible」。えー、あなたはこの無神経で失礼なサービスでも悪くないと思っているの?これはごくごく基本的な人間性の問題よ、将来的に夫婦間の亀裂を深める可能性がある見解の相違じゃない?、そう思っていたわたしです。よくよく問いつめて、ようやくこの婉曲表現に気がつきました。(夫は語学教師ではないので、生徒が仮説を立てて問いつめ、検証確認する方法しかとれません。時間がかかります)
というわけで、ちょっとトリッキーなCe n'est pas terrible ですが、昨日の日本対デンマークの試合の後で、テレビの解説者が使っていたんですよ。いわく「日本チームは、過去を振り返ると《Ce n'etait pas terrible》だったけれど、今回は文句なしに素晴らしい。こんなにいい試合を見せてくれるサムライ・ブルーですから、決勝トーナメント進出は当然のことですね」
昨夜の日本の闘いぶりについては、こちらでも手放しで好意的に評価されています。チーム内の亀裂が問題になっている国が多い中、チームでまとまりがあるし、攻めもいいし守備も(GKも)いい、なにより得点しようという熱意が感じられて気持ちがいい、そういった口調です。今回のW杯の試合の中では、抜群に面白かった試合のひとつだ、というコメントもありました。
9割くらい日本人になって応援していた夫は、試合後も大興奮。勝ったのも嬉しいし何よりすごくいい試合だった。日本チームは素晴らしい。本当によくやった。興奮覚めやらず、ネットで試合結果のレポートやコメントを読みまくって、それらが全面的にポジティブな評価だったといってはまた喜んでおりました。
夢のように美しく決まったFK2本も、3点目のゴールも、見ていて本当に気持ちよかった。素晴らしかったのひとことです。パラグアイ戦でも、いい試合を見せてね。
楽しみにしています。
by poirier_AAA
| 2010-06-25 18:00
| 言葉を学ぶ
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