2010年 03月 31日
料理指南書のご紹介 |
最近、どうも頭でっかちになり過ぎている感じ。春なのに。気分転換しなければ。
というわけで、がらりと指向を変えて、今日は料理本の紹介です。
フランスに来て何が困ったと言って、やはり野菜や肉などのラインナップが日本と違っていたことです。店先で珍しい素材を眺めているぶんには楽しいのですが、それを毎日の食生活に結びつけていくとなると難しい。なにしろ素材に関する基本知識が全然ないのです。旬もわからなければ料理法もわからない。何を基準に選んだらいいかもわからない。もちろん、1年2年と経つうちに経験からいろんなことがわかってきますが、それまで胃袋は待ってくれません。
そんな時に、どれだけお世話になったかわからないのがこの本です。
「パリっ子の食卓 四季の味90皿」佐藤真(河出書房新社)
オヴニー(Ovni)という日本語新聞で料理記事を連載している著者が、フランスの季節にあわせた料理(デザート含む)を紹介した本です。一緒に飲むならこのワインというお勧めも添えられているし、素材の選び方、調理法、付け合わせの例も載っていれば、便利な台所用品や食品の紹介などもあり、とても役に立っています。おいしい料理を作って、皆で楽しく食卓を囲もう、という著者の姿勢がダイレクトに伝わってくる、読んで楽しく作って美味しい、素晴らしい本です。
そうして、だんだん慣れてきて、この3冊が加わりました。
「修道院のレシピ」猪本典子(朝日新聞社)
凝った料理はひとつもないけれど、いわゆる伝統的な調理方法(主婦の覚書風)がわかります。肉魚の調理方法は基本的なものばかり。そのかわり、野菜の水煮瓶詰めの作り方や、素朴なポタージュのレシピ、飾らないデザートのレシピなどがあって参考になります。フランスの古い資料を翻訳したもので、日本に住む日本人向けに手を加えられているため、不便に感じるところもあります。できれば(翻訳ではなく)オリジナルの方を欲しかったと思う本です。
「ル・コルドンブルーのフランス料理基礎ノート」(文化出版局)
同じシリーズで野菜だけのレシピやお菓子、パンなどもあります。コルドンブルーのレシピですから、とにかく凝っている。普段使いには大変過ぎますが、手をかけようとすればここまでできる、というプロの技を見られるので気に入っています。ブイヨンのひき方、野菜や肉の切り方なども写真付きで解説してあり、勉強になります。
「Tout Robuchon」Joël Robuchon (Perrin)
言わずと知れたフランス料理界の重鎮、ジョエル・ロビュションの料理本です。830頁のずっしり重い本ですが、なんと写真は一枚もなし。全部字です。レシピはフランス料理の基本的なものばかり。素材の選び方、調理のポイントなどが懇切丁寧に書かれています。これを読んで練習したら基本的なフランス料理はほぼマスターできるであろう、バイブル的な本です。
うちの普段の食卓は和洋折衷ですが、やはり日本風。家族向けにはそれで良くても、お客がある時などは、どーんとした肉料理を中心に据えないとなりません。数日前からレシピ本をあれこれひっくりかえしてイメージを組み立てます。上に紹介した4冊を読み比べると、同じ名前の料理でも手のかけ方が全然違うのです。簡単なのと面倒なのを横目で睨みつつ、時間と手に入る素材とやる気を秤にかけて、さて今回はどんな調理方法でいこうか、と考えるわけです。
後ろにくっついてまわって料理を教えてもらうような相手もいない今、こういった基本的な料理本はとても有難い存在です。ロビュションの本以外は、かなり前に日本で買っておいたものですが、フランスに来て本棚の飾りから日常使いに昇格しました。本にとびちった汚れが、そのまま家族の食卓の記録です。
というわけで、がらりと指向を変えて、今日は料理本の紹介です。
フランスに来て何が困ったと言って、やはり野菜や肉などのラインナップが日本と違っていたことです。店先で珍しい素材を眺めているぶんには楽しいのですが、それを毎日の食生活に結びつけていくとなると難しい。なにしろ素材に関する基本知識が全然ないのです。旬もわからなければ料理法もわからない。何を基準に選んだらいいかもわからない。もちろん、1年2年と経つうちに経験からいろんなことがわかってきますが、それまで胃袋は待ってくれません。
そんな時に、どれだけお世話になったかわからないのがこの本です。
「パリっ子の食卓 四季の味90皿」佐藤真(河出書房新社)
オヴニー(Ovni)という日本語新聞で料理記事を連載している著者が、フランスの季節にあわせた料理(デザート含む)を紹介した本です。一緒に飲むならこのワインというお勧めも添えられているし、素材の選び方、調理法、付け合わせの例も載っていれば、便利な台所用品や食品の紹介などもあり、とても役に立っています。おいしい料理を作って、皆で楽しく食卓を囲もう、という著者の姿勢がダイレクトに伝わってくる、読んで楽しく作って美味しい、素晴らしい本です。
そうして、だんだん慣れてきて、この3冊が加わりました。
「修道院のレシピ」猪本典子(朝日新聞社)
凝った料理はひとつもないけれど、いわゆる伝統的な調理方法(主婦の覚書風)がわかります。肉魚の調理方法は基本的なものばかり。そのかわり、野菜の水煮瓶詰めの作り方や、素朴なポタージュのレシピ、飾らないデザートのレシピなどがあって参考になります。フランスの古い資料を翻訳したもので、日本に住む日本人向けに手を加えられているため、不便に感じるところもあります。できれば(翻訳ではなく)オリジナルの方を欲しかったと思う本です。
「ル・コルドンブルーのフランス料理基礎ノート」(文化出版局)
同じシリーズで野菜だけのレシピやお菓子、パンなどもあります。コルドンブルーのレシピですから、とにかく凝っている。普段使いには大変過ぎますが、手をかけようとすればここまでできる、というプロの技を見られるので気に入っています。ブイヨンのひき方、野菜や肉の切り方なども写真付きで解説してあり、勉強になります。
「Tout Robuchon」Joël Robuchon (Perrin)
言わずと知れたフランス料理界の重鎮、ジョエル・ロビュションの料理本です。830頁のずっしり重い本ですが、なんと写真は一枚もなし。全部字です。レシピはフランス料理の基本的なものばかり。素材の選び方、調理のポイントなどが懇切丁寧に書かれています。これを読んで練習したら基本的なフランス料理はほぼマスターできるであろう、バイブル的な本です。
うちの普段の食卓は和洋折衷ですが、やはり日本風。家族向けにはそれで良くても、お客がある時などは、どーんとした肉料理を中心に据えないとなりません。数日前からレシピ本をあれこれひっくりかえしてイメージを組み立てます。上に紹介した4冊を読み比べると、同じ名前の料理でも手のかけ方が全然違うのです。簡単なのと面倒なのを横目で睨みつつ、時間と手に入る素材とやる気を秤にかけて、さて今回はどんな調理方法でいこうか、と考えるわけです。
後ろにくっついてまわって料理を教えてもらうような相手もいない今、こういった基本的な料理本はとても有難い存在です。ロビュションの本以外は、かなり前に日本で買っておいたものですが、フランスに来て本棚の飾りから日常使いに昇格しました。本にとびちった汚れが、そのまま家族の食卓の記録です。
by poirier_AAA
| 2010-03-31 06:47
| 日本語を読む
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Comments(2)
『パリっ子の食卓』を紹介していただいてありがとうございました。長らく絶版になっていたのですが、18年ぶりに新装復刊されることになりました。そこでオヴニーに紹介記事を書こうと思うのですが、書いていただいたものを長く引用させてもらってかまわないでしょうか。
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Commented
by
poirier_AAA at 2013-05-22 00:28
>佐藤真さん、こんにちは。
「パリっ子の食卓」が復刊するのですね。おめでとうございます。
わたしもとてもお世話になりましたし、これからフランスで暮らそうとする人にとっても心強い味方になってくれる本だと思っていますので、復刊は嬉しいニュースです。続刊も出たら良いなぁと思っているくらいなのです。
拙文でお役に立つのでしたら、どうぞお使い下さいませ。
新装復刊した本が、また多くの人に読まれ、楽しい食卓の輪が広がるといいですね。
「パリっ子の食卓」が復刊するのですね。おめでとうございます。
わたしもとてもお世話になりましたし、これからフランスで暮らそうとする人にとっても心強い味方になってくれる本だと思っていますので、復刊は嬉しいニュースです。続刊も出たら良いなぁと思っているくらいなのです。
拙文でお役に立つのでしたら、どうぞお使い下さいませ。
新装復刊した本が、また多くの人に読まれ、楽しい食卓の輪が広がるといいですね。