2009年 11月 24日
声つながりで |
昨日、クリスマスソングのことを書きながらクリスマスの聖歌をあれこれ物色しているうちにどんどん脱線して、結局思いつく限りの「聴きたい声」を聴いてしまいました。連想ゲームみたいで楽しかった。
「Libera」という英国の少年合唱グループ、日本でも随分人気があるようですね。この名前を目にしたら、反射的にLibera me (リベラ・メ)を思い出してしまうでしょ。リベラ・メといえば、レクイエム。レクイエムといえば、わたしはフォーレが好き。フォーレのレクイエムでリベラ・メを歌うのはバリトンですが、このバリトンは歌い始めの低音部分が十分に歌い込める重めの声の人が好みです。例えばこんな声です。
http://www.youtube.com/watch?v=56E0cVbq4y4&feature=related
ソプラノよりもメゾ、テノールよりもバス/バリトンが、わたしは圧倒的に好きです。ソプラノやテノールはたいてい主役級だから格好良いのは当たり前、むしろ脇役ながらもはっとするほどの魅力を見せてくれるメゾやバス/バリトンの方が、よくぞ聞かせてくれましたと言いたくなる喜びがあるでしょう。それにメゾやバス/バリトンが上手いと、重唱したときにソプラノやテノールの映え方が違うんですよ。オーケストラでヴィオラやコントラバスが上手いと響きが良くなるのとおんなじ理屈です。
そういう意味で素晴らしい歌手といえば、メゾならフィオレンツァ・コッソット、バスならニコライ・ギャウロフです(わたしにとっては、ね)。
その昔に行われたNHKイタリア・オペラ公演では、そんな凄い歌手たちがこれでもかというほど登場していました。たとえばコッソットはヴェルディの「アイーダ」で敵役のアムネリスを歌っていますが、これが主役のアイーダ役が霞むほどの存在感と声量で、嫉妬に苦しむ気位の高い王女の姿を鮮やかに浮かび上がらせました。当時の聴衆も彼女に感嘆して、この公演のタイトルは「アイーダ」じゃなく「アムネリス」にするべきだと言う人もいたとか。
そのコッソットは、同じ公演で「ラ・ファボリータ」をアルフレード・クラウスと、「カヴァレリア・ルスティカーナ」をドミンゴと歌っており、どちらも強くて伸びがあって美しい彼女の声を堪能することができます。
同じ公演で、ニコライ・ギャウロフが出演したのがグノーの「ファウスト」。ギャウロフがメフィストフェレス、ファウスト役にアルフレード・クラウス、マルグリーテ役にレナータ・スコットという、これも粒ぞろいのメンバーでした。ギャウロフは脂の乗り切った時期で、その風貌、演技、声で、もうこれ以上のメフィスト役はいないだろうというほどの素晴らしさでした。だいたい悪魔というのは逆らえないほどの魅力のある人物でなくちゃなりません。そうでなきゃ誘惑されないでしょ?ギャウロフのメフィストフェレスは知的で色っぽく、ヒロイックでもあり愛嬌もあって人を虜にする魅力に満ちています。
レクイエムに話を戻しますと、ギャウロフとコッソットはカラヤン指揮のヴェルディ「レクイエム」でも顔を合わせています。ヴェルディはフォーレなんかと比べると現世に未練たっぷりの感じで好みが分かれるところですが、正真正銘ヴェルディにしか書けないレクイエムで、ヴェルディの音楽と声を存分に楽しむことができます。特にこのソリストの顔ぶれ(プライス、コッソット、パヴァロッティ、ギャウロフ)が、他にはない地中海的な響きを醸し出していて魅力的。
http://www.youtube.com/watch?v=7UENK70U6Lk&feature=related
最初に出てくる女性ソリストがコッソット、それに加わる男性ソリストがギャウロフです。
レクイエム漬けの1日の〆となったのが、昨夜テレビでやっていた、カール・リヒターのバッハ「ミサ曲ロ短調」でした。ヴェルディの後だとリヒターのバッハは非常にドイツ的で厳格さが際立ちますね。ソリストにグンドゥラ・ヤノヴィッツ、ヘルタ・テッパー、ヘルマン・プライとこちらも魅力的な顔ぶれで、またまた嬉しくなってしまった次第です。
あと1ヶ月もしたら年末。お年越しの晩は第9という手もあるけど、何と言ってもシャンパン片手に「こうもり」鑑賞でございますわよ。
「Libera」という英国の少年合唱グループ、日本でも随分人気があるようですね。この名前を目にしたら、反射的にLibera me (リベラ・メ)を思い出してしまうでしょ。リベラ・メといえば、レクイエム。レクイエムといえば、わたしはフォーレが好き。フォーレのレクイエムでリベラ・メを歌うのはバリトンですが、このバリトンは歌い始めの低音部分が十分に歌い込める重めの声の人が好みです。例えばこんな声です。
http://www.youtube.com/watch?v=56E0cVbq4y4&feature=related
ソプラノよりもメゾ、テノールよりもバス/バリトンが、わたしは圧倒的に好きです。ソプラノやテノールはたいてい主役級だから格好良いのは当たり前、むしろ脇役ながらもはっとするほどの魅力を見せてくれるメゾやバス/バリトンの方が、よくぞ聞かせてくれましたと言いたくなる喜びがあるでしょう。それにメゾやバス/バリトンが上手いと、重唱したときにソプラノやテノールの映え方が違うんですよ。オーケストラでヴィオラやコントラバスが上手いと響きが良くなるのとおんなじ理屈です。
そういう意味で素晴らしい歌手といえば、メゾならフィオレンツァ・コッソット、バスならニコライ・ギャウロフです(わたしにとっては、ね)。
その昔に行われたNHKイタリア・オペラ公演では、そんな凄い歌手たちがこれでもかというほど登場していました。たとえばコッソットはヴェルディの「アイーダ」で敵役のアムネリスを歌っていますが、これが主役のアイーダ役が霞むほどの存在感と声量で、嫉妬に苦しむ気位の高い王女の姿を鮮やかに浮かび上がらせました。当時の聴衆も彼女に感嘆して、この公演のタイトルは「アイーダ」じゃなく「アムネリス」にするべきだと言う人もいたとか。
そのコッソットは、同じ公演で「ラ・ファボリータ」をアルフレード・クラウスと、「カヴァレリア・ルスティカーナ」をドミンゴと歌っており、どちらも強くて伸びがあって美しい彼女の声を堪能することができます。
同じ公演で、ニコライ・ギャウロフが出演したのがグノーの「ファウスト」。ギャウロフがメフィストフェレス、ファウスト役にアルフレード・クラウス、マルグリーテ役にレナータ・スコットという、これも粒ぞろいのメンバーでした。ギャウロフは脂の乗り切った時期で、その風貌、演技、声で、もうこれ以上のメフィスト役はいないだろうというほどの素晴らしさでした。だいたい悪魔というのは逆らえないほどの魅力のある人物でなくちゃなりません。そうでなきゃ誘惑されないでしょ?ギャウロフのメフィストフェレスは知的で色っぽく、ヒロイックでもあり愛嬌もあって人を虜にする魅力に満ちています。
レクイエムに話を戻しますと、ギャウロフとコッソットはカラヤン指揮のヴェルディ「レクイエム」でも顔を合わせています。ヴェルディはフォーレなんかと比べると現世に未練たっぷりの感じで好みが分かれるところですが、正真正銘ヴェルディにしか書けないレクイエムで、ヴェルディの音楽と声を存分に楽しむことができます。特にこのソリストの顔ぶれ(プライス、コッソット、パヴァロッティ、ギャウロフ)が、他にはない地中海的な響きを醸し出していて魅力的。
http://www.youtube.com/watch?v=7UENK70U6Lk&feature=related
最初に出てくる女性ソリストがコッソット、それに加わる男性ソリストがギャウロフです。
レクイエム漬けの1日の〆となったのが、昨夜テレビでやっていた、カール・リヒターのバッハ「ミサ曲ロ短調」でした。ヴェルディの後だとリヒターのバッハは非常にドイツ的で厳格さが際立ちますね。ソリストにグンドゥラ・ヤノヴィッツ、ヘルタ・テッパー、ヘルマン・プライとこちらも魅力的な顔ぶれで、またまた嬉しくなってしまった次第です。
あと1ヶ月もしたら年末。お年越しの晩は第9という手もあるけど、何と言ってもシャンパン片手に「こうもり」鑑賞でございますわよ。
by poirier_AAA
| 2009-11-24 20:55
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